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失業「予備軍」過去最多の607万人に【読売】
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090724-OYT1T00428.htm
日本企業が実際の生産に見合った水準を超えて抱えている「過剰雇用者」の数が2009年1〜3月期に過去最多の607万人に達したとの政府推計が24日、明らかになった。
林経済財政相が同日の閣議に提出した09年度年次経済財政報告(経済財政白書)で示された。企業業績がさらに悪化すれば失業しかねない「失業予備軍」とみることもでき、日本経済の重しとなる懸念がある。
白書によると、過剰雇用者は、金融機関の大型破綻(はたん)が相次いだ後の1999年1〜3月期(359万人)をピークに減少傾向にあったが、昨秋以降の急激な景気後退に伴う生産縮小で、最近になって急増した。
各企業は、大量の非正規雇用者との契約を打ち切るなど対応を急いだが、正規雇用者の解雇には踏み出す事例は少ない。このため、生産水準を大幅に上回る労働力を抱え込まざるを得ない状態だ。
白書では、こうした雇用調整圧力に加え、日本経済の需要不足が年間45兆円に上り、「09年以降の基調的物価を大きく下落させる恐れがある」として、デフレが深刻化することへの懸念を示した。
副題を「危機の克服と持続的回復への展望」とした今回の白書は、08年9月の「リーマン・ショック」をはさんだ景気後退局面について、「速さ」と「深さ」がこれまでにないレベルで進み、「長さ」も過去の平均程度に達したと分析。現在は持ち直しの動きが見られるものの、生産水準の低さやデフレ懸念に加えて海外経済の先行き不透明感が下ぶれリスクだとしている。
雇用や社会保障制度に対する不安感が、家計行動に及ぼす影響にも触れた。個人消費の主役となるはずの30〜40歳代で貯蓄率が上昇傾向にあり、内需を下押ししている可能性を指摘した。
昨年以降の4回の景気対策に対しては、公共投資を上向かせ、企業倒産や失業の急増を緩和していると評価した。同時に「財政収支は急速な悪化を示しつつあり、十分注意を払う必要がある」と懸念を示した。
また、日本銀行によるコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い切りなど企業の資金繰り支援策については、「状況によっては拡充が必要となる」とし、追加的な対応の必要性も示唆した。
若年から中年の現役世代の所得格差を是正するために、減税と給付金の支給を組み合わせて低所得世帯を支援する「給付付き税額控除」の導入も提言している。
(2009年7月24日11時37分 読売新聞)