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(回答先: 米中の戦略・経済対話、27日からワシントンで 投稿者 gikou89 日時 2009 年 7 月 23 日 16:18:02)
http://mainichi.jp/life/today/news/20090723ddm008020015000c.html
国際会計基準審議会(IASB、本部・ロンドン)が進めている国際会計基準の見直しが日本の政府、金融界を揺るがせている。昨年秋のリーマン・ショック以降相次いだ米欧の金融機関の経営危機を踏まえ、財務内容の透明性を高めることが見直しの狙い。だが、保有する有価証券の時価評価の範囲が広がるため、大量の持ち合い株や国債を保有する日本の金融機関は、市場環境の変化次第で巨額損失の計上を迫られかねない。金融庁は15〜16年にも、国際基準の適用義務化を目指すが、株や国債の大量売却につながるとの懸念も広がっている。【井出晋平、斉藤望、宇都宮裕一】
日本の会計基準は、有価証券を3区分に分類している。時価評価が必要な「投資目的」、時価評価しない「満期保有」、価格が5割以上下落した時に評価を見直す「その他」。持ち合い株は「その他」に分類され、値下がり率が5割未満なら時価評価の必要はない。
一方、IASBの見直し案は「その他」を廃止し、「投資目的」と「満期保有」の2区分に変更、「投資目的」の中に(1)時価評価する(2)しない−−の区分を作る。持ち合い株は(1)か(2)のどちらかに分類され、(1)に入れると、株価の変動が決算に影響する。(2)では、株価下落による評価損の計上は不要だが、業績が苦しい時に株を売却して利益計上する「益出し」もできなくなる。
また、金融機関などが保有する国債も現在は、大半が「その他」に区分されている。日本のメガバンクは1行で20兆円前後の国債を抱えており、(1)に区分すると、1%の値下がりで数千億円の損失計上を迫られる。一方、すべて満期保有に区分すると機動的な売却、益出しができなくなるため、国債で資金運用する利益が薄まる可能性がある。
銀行(ゆうちょ銀を含む)の国債保有額は3月末で248兆円と全体の36・4%を占めるなど、日本では、金融機関が国債を保有する割合が高い。財務省幹部は「見直しにより邦銀が国債を買わなくなったら、長期金利の上昇(国債の値下がり)を引き起こしかねない」と危機感を募らせる。
◇時価評価しても、しなくても 生保・銀行「経営への影響大」−−再考・柔軟運用を促す
国際会計基準審議会の見直し案に、日本の生命保険、銀行業界は反発している。海外金融機関に比べて、大量の株式や国債を保有しており、見直し案がそのまま適用されると、業績が大幅に悪化しかねないためだ。
日本、第一、明治安田、住友の大手生保4社の09年3月期決算は計5407億円の最終(当期)利益を計上したが、投資目的の(1)を選んだ場合、リーマン・ショック後の株安が一気にのしかかり、最大計約5兆円の赤字に転落する。
一方、(2)を選ぶと、株安による損失拡大は免れるが、生保が収入源としてきた株式の売却益や配当を決算に計上できなくなる。いずれにしても「経営成績に非常に大きな影響を与える」(生命保険協会長の佐藤義雄・住友生命社長)と再考を促す方針だ。
一方、3メガバンクは株安が響いて、09年3月期に計1・2兆円の最終赤字となったが、(1)を選ぶと、最終損失はさらに拡大する。
(2)なら、3メガの09年3月期の株式減損処理1・3兆円がゼロになり、その分はプラスだが、株式の売却益や配当が計上できなくなる。国債を機動的に売買しにくくなる可能性もあり、全国銀行協会は「(国ごとの)事情を加味しない会計基準はおかしい」(会長の永易克典・三菱東京UFJ銀行頭取)と基準の柔軟な運用を働きかけていく方針だ。
◇欧州では年内決算から適用
世界の会計基準は、欧州主導の国際基準▽米国基準▽日本基準−−の三つに大別される。国際基準は投資家への情報開示を徹底する観点から、保有資産の厳格な時価評価を求めるのが特徴。米国は従来、独自基準を維持しつつ国際基準とのすりあわせを進める方針だったが08年、国際基準を14年以降に採用すると表明。金融庁の企業会計審議会(長官の諮問機関)も今年6月末、国際基準を15〜16年にも企業に義務づけるとする中間報告をまとめた。金融危機後の、主要20カ国・地域(G20)の金融サミットでも企業会計の透明性向上が主要議題の一つに取り上げられている。IASBは見直し案についての意見を9月14日まで受け付け、欧州などでは年内の決算から適用される見通しだ。