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米中経済戦略対話の中心は「人民元」(切り上げ)より「米国債権」の安定
二兆ドル超の外貨準備の威力。中国は250億ドルをAPECへばらまき
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嘗て台湾の高雄港は世界第三位の貨物取扱量を誇った。
いまは世界十傑から転落して十三位の地位に甘んじる。中国の港が年率40%増となって、高雄も確かに年率4%で増加してきたが、かの大陸の勢いには適わなかった。
台湾は2001年にWTOに加盟したが、国家としてではなく、「関税地域」としての加盟であり、これは五輪方式に似る。国連保険機構(WHO)加盟も、『地域』としての加盟扱いであり、しかも毎年毎年申請する必要がある。
これほど差別される台湾が、しかし経済的に生き延びる道は中国と貿易、通商の拡大しかない。
台湾を代表するパソコンメーカーのエーサー(ACER)は、世界が非難したフィルター付きパソコンを大陸仕様分として量産している。
中国は「中国ASEAN経済インフラ協力資金」として100億ドルを拠出し、くわえて別途150億ドルをASEAN諸国へ信用枠として貸し出す。対象から台湾は外されている
さて26日から米中経済戦略対話が再開される。
議題は米国債の安全性?
対中外交腰砕けのアメリカは人民元の切り上げを要求する意欲さえなく、議題から人民元をはずすという。
通貨バスケットSDRへの人民元加盟に関しても話し合わない。
▲しかし、この回復は本物なのか?
新車販売が世界一、各地は建設ブームに沸きあがる中国だが、これはV字型回復ではなく、W字型回復の左側。もう一回失墜があるだろう。
カンフル注射としての57兆円注入と銀行貸し出しの100兆円が、表面上の活気を産んでいるけれども、上海など火の消えた静けさ。
中国は巨大なディレンマを抱える
第一は保有外貨の70%以上が米ドル建て金融商品である以上、ドルの暴落防止には、アメリカと同様に気配りする必要がある。
これまで外交の武器と考えられてきた外貨が、守りの姿勢を堅持する方針に転換している。
第二に外貨を有効に投資するために海外企業、海外鉱区、資源輸入先払いのほかにアフリカ、ASEANにソフトローンを組んで貸し付ける。皮肉にも、これらはドル建てである。
そして人民元の高騰を抑えるために為替に介入せざるを得ず、これは日本がそうであったように(03年から四年間、日本は為替介入に43兆円を投じた)、巨大なバランスシートの決壊を招きやすい。
第三は流入し続けるホットマネーを放置すれば猛烈なインフレを将来するため、不動産投機、株式投機(年初来68%高騰)への冷却政策を元に戻さなければならない。独自の通貨政策をとる余裕が薄れており、要するにドル相場への介入に限界がみえてきた。
すなわち人民元を劇的に切り上げる必要性がある。
米中対話は深刻な問題を先送りして当面はドルの安定、米国債権の安定を求めざるを得ず、長期的に中国の国益になるかどうか、やっぱり日本と同様に『ドルの罠』に落ちたのか?