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〔焦点〕日銀が「異例の措置」延長、最終需要次第で再延長も否定できず(ロイター)
2009年 07月 15日 21:29 JST
[東京 15日 ロイター]
日銀はコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取りなど「異例の措置」の延長を決めたが、白川方明総裁は「先行きの金融・経済情勢については不確実性が高い」と強調、依然として下振れリスクを強く意識している姿勢をにじませた。
延長期間を半年ではなく3カ月にとどめるなど、足元の金融・経済の改善を色濃く反映させたものの、副作用から縮小か見直し観測が出ていた企業金融支援特別オペをそのまま残したことからもわかるように、先行きについて決して楽観しているわけではないようだ。在庫調整が完了したあとの「最終需要」の動向次第では、再延長になる可能性も否定できない。
<雇用調整はこれから正念場も>
市場は最悪期は脱して安定化に向かっているものの、ぜい弱性を抱えたまま走っていることには変わりはない。在庫調整にようやくメドがつき、生産が回復してきたが、資本ストック調整に入るのはこれからが本番だ。
企業は十分な収益を生まない資本ストックを抱えながら、利払いをしなければならず、これは収益の圧迫要因になる。過剰設備は過剰債務の増加につながり、金融機関からみれば、不良債権の増加、信用コストの膨張につながる。
一方、雇用情勢についても、むしろこれから雇用、賃金の正念場を迎えるとの見方が多い。現在は雇用調整助成金などの政策対応もあり、過剰雇用すべてが失業者になってはいるわけではないが、生産水準が戻ってこなければ、企業も余剰人員に手をつけざるを得ない。仮に余剰人員に手をつなければ企業は過剰雇用を抱えたまま走ることになり、これは賃金抑制圧力につながる。
現在は、企業の成長期待が大きく落ち込んでいないため、そこまでの極端な調整になるとの見方には至っていないが、白川総裁は「今後、生産が落ち込むことがあれば、雇用者数に影響があるだろう」と述べ、最終需要の動向次第ではもう一段の調整もあり得ると警戒を強めている。
<世界経済の回復に確信持てず>
設備投資は弱いままで、雇用・所得環境が厳しさを増す中で個人消費も強まることは想定しにくいが、輸出と公共投資がなんとか最終需要を支えて、これ以上、落ち込むことはない──。これが現時点の日銀の見方だが、先行きの景気を左右する最終需要はやはり海外に頼らざるを得ない。
その海外は、米国は金融システムに対する過度な不安感は後退したものの、家計の過剰債務の問題など、構造問題は何ら解決していない。家計の過剰債務の解消は金融機関の不良債権の解消と表裏一体の関係にある。日銀内には、家計のバランスシート問題が残っている限りは、消費もあまり伸びず、本格回復にはならないとの見方が多い。
中国は持ち直しの動きが見られるものの、一国で世界経済を支えるのは難しく、また、欧州経済も中東欧という火種を抱えていることから、米国以上に先行きを慎重にみている。
<終了・再延長両にらみながら、下振れ意識>
白川総裁は今後について「情勢が一段と改善していけば、新たな期限である年末には、各種時限措置の終了または見直しを行うことが適当だ」と強調。一方で「今回の中間評価でも指摘されるように、先行きの金融・経済情勢については不確実性が高いとみている。
したがって、情勢が十分改善せずに必要と判断する場合には時限措置を再延長することになる」とも述べ、企業金融や金融市場の展開を注意深く点検して見極める姿勢をあらためて示した。
ただ、カギを握る世界経済については「世界経済が回復していけば、日本の最終需要に対してもプラスになってくるが、そうした動きについてはまだ現時点ではなかなか確信を持てない」と、先行きを見通しづらい状況だ。
白川総裁は、金融環境について、足元の改善と全体としての厳しさの両方を強調したが、全体を通してみれば、とても楽観的に見ているとは感じられない発言ぶりだった。下振れを意識しているとすれば、再延長の可能性も否定できないだろう。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-10065820090715?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0