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元本割れでも諦めないでほしい東京都債券市場構想(KlugView)
2009/07/03 (金) 18:30
7月3日付の日本経済新聞は、東京都主導の社債担保証券の元本割れが確定したと報じています。社債担保証券とは、企業が発行する社債をSPC(特別目的会社)が買い取り、買い取った社債を担保に新たに発行した証券のことです。社債担保証券は、CBOと呼ばれることもあります。
東京都の石原知事は、単独では社債を発行できない中小企業でも無担保・無保証で資本市場から資金調達できるようにすることを目的に、1999年の知事選のころから「東京都債券市場構想」を提唱し、2000年にスタートしました。同構想のもとCBOは7回発行されています。
今回記事で取り上げられたのは、同構想のもと7回目に発行されたCBOです。このCBOは、東京都だけでなく他6自治体も連携する「広域型」と呼ばれるもので、2006年に中小企業1269社の社債が担保となっています。債券市場では、この広域CBOは、事実上、7自治体からお墨付きを与えられたものと、当初は考えられていました。
記事によると、この広域CBOは、返済順位別に4つの証券で構成されています。返済順位が最も高い「A号」は、全額償還(返済)されましたが、次に返済順位が高い「B号」は、元本の約85%のみ償還(返済)され、返済順位が低い「C号」と「D号」はまったく償還されないそうです。
広域CBOのうち「B号」は、発行当初、大手米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)から最上級格付けであるトリプルAが与えられていました。しかし、2007年からS&Pは格下げを繰り返し、7月2日には「B号」の格付けはダブルC(「債務者は現時点で非常に脆弱である」という意味)まで低下しています。
7自治体が(事実上の)お墨付きを与えたにもかかわらず、元本割れする事態になってしまった理由として、審査の甘さが指摘されています。各種報道によると、広域CBOを組成するにあたっては、組成することが優先され、担保となる社債を発行する中小企業のなかには、信用力がきわめて低いところが、相当数含まれていた可能性が指摘されています。
これは、経営難で知られる「新銀行東京」と同じ図式です。新銀行東京も、中小企業への資金供給を目的に設立され、中小企業への資金供給を優先するがあまり、審査が甘くなり、結果として多額の損失を計上することになりました。銀行とCBOと、形は違うものの、信用力の低い中小企業に資金を供給し、損失を出すという意味では、新銀行東京も広域CBOも同じものと言えます。
こうしたことから、日本経済新聞の記事でも、この広域CBOの元本割れを問題視するトーンで作成されています。問題の多い新銀行東京と、基本的な構図が同じですから、新聞社の記者が、広域CDSの元本割れを問題視したくなる気持ちは理解しなくもありません。
ただ、資金繰りが苦しい中小企業に対して、資金調達の多様化の道を検討することは、決して悪いことではありません。中小企業の場合、たとえ収益性が高い企業であっても、資金繰りの苦しさから破綻する場合も多いだけに、CBOを使って社債発行の道を開くことは、それなりに良いアイデアと思われます。
石原知事の構想に過ちがあるとすれば、実際の業務を民間企業ではなく、東京都という公的組織が直接、担ったことでしょう。
石原知事は認めたくないかもしれませんが、公的組織が、企業を審査するという業務に長けているとは思えません。東京都は、今回の件で尻込みをせず、「東京都債券市場構想」をビジネス展開する民間企業を側面支援する立場に転換することで、「東京都債券市場構想」の成功を目指していただきたいと思います。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
CBOって何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
企業が発行する社債をSPC(特別目的会社)が買い取り、
買い取った社債を担保に新たに発行した証券(社債担保証券)のこと
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/07/03/005992.php