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(回答先: 財政危機で「借用書」 米加州知事「7月末までに現金底をつく」 投稿者 gikou89 日時 2009 年 7 月 05 日 19:53:30)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090705-00000543-san-bus_all
公的資金を活用して一般企業に資本注入する異例の緊急措置の適用第1号に半導体大手のエルピーダメモリが決まった。「日本のハイテク産業を支える半導体メーカーはつぶせない」という“国策”支援だ。だが、その舞台裏では復権をもくろむ経済産業省と、財務省の意向が透けて見える日本政策投資銀行(政投銀)、それにリスクを官に押し付けたい民間銀行の3者が、ドロドロの駆け引きを繰り広げていた。三者三様の思惑が交錯し、足並みは乱れたまま。エルピーダ再生の前途は多難だ。
■見切り発車
民間銀行担当者「損失が出れば政府が8割も補填(ほてん)してくれるのに、300億円の出資だけというのはおかしい」
政投銀担当者「昨秋に民営化したばかりで、厳格な審査基準は崩せない」
6月下旬の都内某所。三菱東京UFJ、三井住友、みずほコーポレート、住友信託の4行と政投銀の担当者の協議は難航を極め、平行線をたどったまま日付が変わった。
交渉を主導する経産省としては、エルピーダの株主総会が開かれる6月29日月曜日の前の26日金曜日に支援策を発表したかった。だが、発表は30日にずれ込む。しかも「とりあえず必要な金額をつけた支援ありきの見切り発車」(関係者)だった。
支援総額1600億円の内訳は、政投銀が300億円の出資と100億円の融資を行い、4行は1000億円の協調融資を実施。エルピーダと提携予定の台湾メーカーも200億円を出資する。
だが、4行の融資は負担割合が決まっていないばかりか、経産省幹部が「必要額を出すと確認している」と答えるのが精いっぱいというあやふやさだ。
■復権の好機
昨秋の金融危機を引き金とした世界同時不況で経営が急速に悪化したエルピーダに対する支援交渉が始まったのは、昨年末にまでさかのぼる。切り札と位置付けられたのが、経産省がひそかに検討していた公的資金による資本注入制度だ。
それまでの景気回復で産業界への影響力が低下した経産省にとって、経済危機は復権の絶好の好機。所管する産業活力再生法特別措置法(産業再生法)を改正し、「どさくさに紛れて新たな権限をまんまと手に入れた」(政府関係者)。
ところが、4月30日に制度はスタートしたものの、金融市場の混乱はすっかり沈静化。「安全網として制度を創設したことで役目は終わった」(市場関係者)との声が上がり始める。
「(半導体の)供給確保は国民生活や産業活動を支える上で極めて重要」(二階俊博経済産業相)という理屈で強引にまとめたエルピーダ支援には、“役所の実績づくり”という影がちらつく。
■巧妙な二枚舌
経産省の権限拡大に面白くないのが、政投銀の背後にいる財務省だ。出資先企業が破(は)綻(たん)すれば、財政支出を強いられるうえ、国民負担への批判も浴びる。さらに「経産省が勝手に政投銀を組み込んだ」(関係者)との不満もあった。
政投銀がエルピーダへの出資額を渋った背景には、そんな財務省の縄張り意識が透けて見える。
もっとも、財務省も危機対応を大義名分として、政府が政投銀の全株を放出する完全民営化を先送りさせることに成功し、権限を温存でき、“漁夫の利”を得ている。
煮え湯を飲まされたかにみえる民間銀行も実はしたたかだ。
政投銀の完全民営化の先送りには、全国銀行協会が「『官業は民業の補完に徹する』との大きな流れ、原則は不変」との声明を発表するなど表面的には反発している。だが、一方で、新制度に伴う官民の負担割合については、「あくまでケース・バイ・ケース」(永易克典全銀協会長)として、政投銀に応分の負担を求め、巧妙に立場を使い分けている。
「価格が1年で10分の1に下落するような半導体メーカーへの融資は一種のギャンブル」(メガバンク幹部)というのが、民間の言い分だ。
だが、民間銀行が負うべきリスクを負わず、十分な金融仲介機能を果たせていないことが、公的金融の肥大化を招いている。
権限拡大に余念がない役所と、リスクから逃げ腰の民間銀行に、エルピーダを支え、再建に導くことができるのだろうか。(吉村英輝、藤沢志穂子)