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リーマンは救済せずに、なぜAIGは救済したのか。AIG救済が決定されたときよく話題になったことだ。AIGは保険会社だからというもっともらしい説明があったが、ローリングストーン誌に寄稿しているBatt Taibbi氏によればまるで違う真相になる。AIGが保険会社という認識自体が誤っている。Democracy Now!でのインタビューで彼が語ったことをまとめると次のようになる。
・ AIGが保険会社でなくなった最大の動きは、Glass-Steagall Act法を没にした1999年のGramm-Leach-Bliley法による規制緩和。この法律のおかげで、CitiやBank of America、AIGなどの巨大企業が成立し、基本的には保険会社であったAIGが非常に複雑なヘッジファンド、投資銀行、その他さまざまなものを手がける巨大企業になった。
・ 新法の下では、AIG自体が金融監督機関(OTS)を選べるようになった。AIGが選んだ金融監督機関は監督機関として最小で、実際のところ、保険の専門家は一人しかいなかった。それがある種制御不能な状態になった理由である。
・ AIG上層部へのボーナスがニュースを賑わせたが、そもそもその頃はAIGの株式は80%国が保有しており、基本的にはやりたいことができた。
・ ゴールドマンサックスなどの投資銀行は住宅市場に莫大な金額の投資をしていて、それが債務不履行になるのを恐れた。AIGは一種の保険としてクレジットデフォルトスワップ(CDS)という保険証券を発行し、ゴールドマンはCDS保険を掛けた。住宅ローンなどが債務不履行になった場合、ゴールドマンはAIGから保険金の支払いを受けることができる。
・ CDSには法的規制はない。これは、2000年のCommodity Futures Modernization Act(商品先物現代化法)に基づく。この法のおかげで、CDS商品はいっさいの法的規制を受けず、極端な話し、元手が1円もなくても、いくらでもCDS保険を販売できるようになった。
・ ゴールドマンがCDS保険でAIGから受けた保証額は約2兆円。つまり、AIGはゴールドマンに2兆円の借りがあったから、AIGを救済することはゴールドマンを救済することだった。
・ AIG救済を仕組んだのは誰か?前財務長官、ハンク・ポールソンで、ゴールドマンの元CEO。救済以後AIGのCEOに就任したのは誰か?これまたゴールドマンの元社員のエド・リディー。で、現財務長官ティモシー・ガイトナーの主任補佐官はマーク・パターソンは、これまたゴールドマンの元幹部。つまり、AIG救済を仕組んだ人たちはゴールドマンの卒業者で溢れている。
・ 全体として、AIG救済は国家が助成するヘッジファンドによるボロ儲け状況。つまり、政府がウォールストリートによって乗っ取られた状況である。
ソース:AIG and the Big Takeover: Matt Taibbi on “How Wall Street Insiders Are Using the Bailout to Stage a Revolution”(AIGと巨大乗っ取り:マット・タイビ「ウォーストリートのインサイダーはいかにして救済を利用して革命を成し遂げているか)
http://www.democracynow.org/2009/3/25/aig_and_the_big_takeover_matt
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これまで動きを追ってきたかぎり、タイビさんの分析は正しいと考えられる。何ともコメントのしようがない。一般に考える保険と違い、法的規制がなく、元手ゼロから始められるCDS保険という元々AIGが法的規制なしにやっていた保険販売に対して、政府が救済するという訳の分からない状況になった。AIGのやっていたことは詐欺だ。払えるカネもないのに、CDS保険を販売し、保険料をもらって、その間幹部は高給をもらっていた。ゴールドマンは自己責任のはずなのだが、どういうわけか税金によって救済された。
最近の日本で言えば、少し前に詐欺事件として騒がれた円天を政府が救済すると言いだしたら、日本国民はどういう反応をするだろうか。
湘南の片田舎から
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/