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出口戦略議論の影響力をなくす日本のデフレ進行(KlugView)
2009/06/26 (金) 14:03
総務省が発表した5月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(コア指数)が、前年同月比マイナス1.1%と、3カ月連続で前年を下回りました。また5月の下落率は、データの比較可能な1971年以降、過去最大の落ち込みとなっています。
消費者物価指数が、過去最大の落ち込みを記録した最大の要因は、ガソリン価格の下落です。昨年5月は、暫定税率失効によるガソリン価格下落の影響がなくなったため、ガソリン価格が大きく上昇しました。このため、今年5月の前年同月比(昨年5月との比較)は、それだけ大きく下落することになります。
マスコミ報道でも、5月の消費者物価の下落は、「ガソリン価格急騰の反動」と説明しています。また、ガソリン価格は、昨年8月まで高水準だったことから、前年同月比でみた下落率は、今年8月まで拡大する可能性が高いことも指摘しています。
こうした指摘は、誤ったものではなく、今後の推移についても、おそらく指摘の通りになるのでしょう。ただ注意したい点は、消費者物価の下落は、ガソリン価格の急騰の反動による一時的なものではなく、今後も続く可能性が高いことです。
あまり報じられていませんが、5月の消費者物価では、生鮮食品を除く食料の価格が、前年同月比で上昇しており、消費者物価指数(総合)の伸びを0.30%も押し上げています。つまり、生鮮食品を除く食料の価格上昇がなければ、5月の消費者物価の下落率はもっと大きかったことになります。
しかし、生鮮食品を除く食料の価格は、昨年10月からほとんど同じ水準で推移しています。このため、生鮮食品を除く食料の価格上昇による効果は、遅くとも今年10月にはなくなってしまい、たとえガソリン価格急騰の反動が少なくなっても、消費者物価指数の下落は続くことになります。
薄型テレビやパソコンといった耐久消費財の価格が下落を続けているように、供給過剰気味の製品では、依然として物価下落が続いています。特に、最近では景気後退によって家計所得が減少していますから、消費は低迷基調を強め、物価は今後さらに下がりやすくなる見込みです。
これは、いわゆる需給ギャップの拡大による物価下落です。現在の日本の需給ギャップは、40兆円から50兆円程度といわれています。これだけ大きな需給ギャップだと、ギャップが物価下落を促さない程度に縮小するまで、少なくとも1年程度の時間が必要と思われます。
市場関係者の間では、世界の金融当局者が、行き過ぎた金融緩和策を元に戻す「出口戦略」を考えつつあるのでは、と懸念する声も出始めています。たしかに欧米を中心とする先進国での金融緩和策は、過去に例を見ない規模で実施されており、このままでは通貨価値の下落(インフレ)が加速する恐れがあるのも事実です。
しかし、日本の物価下落が、当面続くことを考えれば、日本の金融当局者が「出口戦略」を本気で検討するのは、かなり先の話といえます。
これから「出口戦略」のあり方については、いろいろと議論が出るのでしょうが、現実の政策として実施されるのが当分先の話である以上、「出口戦略」で金融市場が大きく動くことは、考えにくいことに思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
2009年5月の消費者物価指数のうち
変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(コア指数)の
前年同月比はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
マイナス1.1%
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/06/26/005907.php