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ロジックがやや甘いワールドダラー拡大によるインフレ懸念(KlugView)
2009/06/24 (水) 15:52
6月24日付の日本経済新聞は、「投資マネー再び膨らむ」という記事の中で、「ワールドダラー」が4兆5,000億ドルまで拡大したと紹介しています。ワールドダラーとは、米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)が米国内に供給するベースマネーと、米国以外の国が外貨準備として保有するドルを足し合わせたものです。
記事のタイトルが示すように、記事の趣旨は、ワールドダラーが急速に拡大したことで、株式市場や商品市場にマネーが流れ込み、インフレ懸念が高まっているというものです。記事に示されたグラフを見ると、2007年ころのワールドダラーが3兆ドル程度となっているので、足元のワールドダラー(4兆5,000億ドル)は、2年前の1.5倍に拡大していることがわかります。
ワールドダラーがここまで拡大したのは、FRBが量的緩和政策に踏み切ったためです。FRBは、米大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻後、自らの資産規模を2倍に膨らませ、民間金融機関に資金を供給しました。
ワールドダラーが拡大することで、資金があまり気味となり、あまった資金の一部が株式市場や商品市場に流入する、という図式は、それなりにわかりやすいものに思われます。特に最近では、原油価格が持ち直してくるなど、インフレ加速を予感させるような現象も生じていますので、それなりに説得力のあるロジックのようにも見えるかもしれません。
ただ、気をつけなくてはいけないことは、ワールドダラーは、FRBが供給するベースマネーと外貨準備の合計であって、いくらワールドダラーが拡大しても、市中のマネー拡大につながる保証はないということです。
本来であれば、ワールドダラーを構成するFRBのマネタリーベースが拡大すれば、銀行の信用創造機能を通じて、市中のマネー(マネーサプライ)も拡大するはずです。しかし、現実を見ると、米国のマネーサプライ(M2)の伸びは、前年比10%にも達しておらず、銀行の信用創造機能が完全に機能しているといえません。
もちろん、いずれ銀行の信用創造機能が回復すれば、ワールドダラーの拡大がマネーサプライの拡大につながり、インフレ圧力も高まるでしょう。しかし、多少落ち着きを見せてきたとはいえ、米国を初め世界の金融機関は、まだまだ多額の不良債権を抱えており、素直に与信を増やせる状況にありません。
また、米国政府が金融規制改革案を発表したように、今後、各国政府は、信用創造が大きくならないよう規制を強化する方向にあります。油断は禁物とはいえ、ワールドダラーの拡大だけでインフレ懸念を論ずるのは、ややミスリードなロジックのように思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
ワールドダラーって何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
米連邦準備理事会(FRB)が米国内に供給するベースマネーと、
米国以外の国が外貨準備として保有するドルを足し合わせたもの
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/06/24/005876.php