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家計が苦しむのが前提の株高の継続(KlugView)
2009/06/15 (月) 13:06
株価の上昇が続いています。
先週末(6月12日)、日経平均株価の終値は、1万0135円82銭と、昨年10月7日以来8カ月ぶりに終値で1万円を回復しました。また、米国株式相場のダウ工業株30種平均の終値は、8799ドル26セントと、1月6日以来の高値となっています。
いつものことですが、株価の上昇ペースが速いことで、この株高はいつまで続くのか?といったテーマを取り上げる新聞・雑誌が増えています。あくまで、簡単な確認でしかありませんが、新聞等でコメントを寄せる有識者と呼ばれる方々の中には、今回の株高は長くは続かず、いずれ下落する、と考える方も少なからず存在します。
株高が続かない、と考える理由の一つは、米国経済の回復が続かないと予想されるからです。米国経済を下押ししている住宅価格の下落は続いているほか、雇用者数も減少幅は小さくなっているとはいえ、依然として減少が続いています。住宅価格の下落と雇用の減少という2つの重石がなくならないかぎり、米国経済が低迷を続けると考えるのは自然のことといえます。
現在の株高は、世界的な金融危機(リーマン・ショック)に対する過剰反応の修正であって、過去の下落分を多少取り戻しただけに過ぎない、という見方もあります。たしかに、日経平均株価は、昨年9月に7千円を一時割り込むほどの反応を示しました。今になってみれば、あのときの株安は、過剰反応といえなくもありませんので、金融危機の可能性が後退したことで、株安を取り戻す動きがでてくるのも不思議ではありません。
こうした考え方は、それなりに合理的なものといえ、否定しきれるものではありません。しかし、最近の原油高・長期金利の上昇が、世界的なインフレを示しているのであれば、足元の株高も、インフレとともに、それなりに続いてしまうのかも捨て切れません。
一般的な金融理論では、株価は、企業収益(利益)に連動すると考えられています。企業収益は、売上高と各種費用(コスト)の差額になりますので、コストの伸び(増分)よりも売上高の伸びが大きければ、企業収益は増えることになります。
売上高は、一般に販売単価と販売数量に分解できます。つまり、インフレが進み、販売単価が上昇すれば、販売数量が増えなくても売上高は増えることになります。
インフレが進めば、売上高だけでなくコストも増えます。しかし、企業のコストは、モノだけでなくヒト(人件費)で構成されます。インフレが進んでも、人件費(賃金)が増えなければ、コストは売上高ほど増えず、結果として企業収益は拡大します。
こうしたロジックを紹介すると、賃金が増えないのに、インフレが進むのか?という疑問をいただくことが多くあります。ただ、インフレは、需要が高まる時だけでなく、流通するお金の量(マネーサプライ)が拡大しても生じます。
なぜなら、物価は、お金とモノとの交換比率を示したものですので、お金の量が増えれば、相対的にモノ不足となり、インフレとなります。日本だけでなく欧米各国で量的緩和政策を実施することで、ドルを中心にマネーサプライは飛躍的に拡大しています。お金の量が一気に増えている以上、以前に比べてインフレの可能性は高まっているといえます。
景気対策として、過去最大の財政支出を世界各国で実施していることも、インフレの可能性を高めます。賃金を得て消費をする家計での需要が増えなくても、政府が景気対策の名の下に財政支出を増やせば、インフレは進みやすくなります。
理由が何であれ、インフレが進もうが、株高が続くのだから良いではないか、という考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、上記シナリオは、企業収益の拡大が、インフレと賃金の伸び悩みのセットが前提となったものです。つまり、一般的な給与所得者にとっては、生活水準が低下することが前提となります。株高が本当に良いかを考えるには、こうした視点もあわせる必要があるのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日経平均株価が終値で1万円台を回復!
これっていつ以来?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2008年10月7日以来(8カ月ぶり)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/06/15/005764.php