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再び激しいデフレスパイラル(所得線の下降局面)に陥った日本
今年の年初はまだ半信半疑だったが、既に間違いなくデフレスパイラルに入っているようだ。昨年から、市場からの資金の減少(ガソリン価格の高騰、リーマンショックの輸出の急減による。)は続いていたが、企業の低価格競争はまだ始まっていなかった。しかしここにきて顕著になり始めている。
最近出た統計から5月の企業物価指数が大幅な下落になっており、既に5カ月連続前年の指数を下回ったということだ。
消費者物価が下落することは誰しも予想しよう。昨年の原油高騰と円高により、予想の範囲である。
企業物価指数も下落することは、生産素材価格の下落から誰もが予想していることだが、問題は大幅な下落ということだ。
生産素材の下落以上に企業が利潤を抑えなければならないほど買い控え、あるいは、消費の減退が進んでいると考えられる。
大手スーパーイオンなどの安売り攻勢、ニトリ家具店や、ユニクロなどの衣料品の値下げ、そして総菜店の弁当の値下げなどから、消費意欲の減退、消費額の減少は明らかである。このことから既に所得線の激しい下降局面(デフレスパイラル)に入った事は確実である。
さらなる低賃金化、非正規雇用の道が広がり、工業生産指数の伸びが、単なる数量の増大に過ぎず、なんら利潤に反映されないデフレの生産増をを物語っている。
これは2千2年2月から始まり、2千7年10月まで続いた、あのいざ凪を越えたという不毛の成長の二の舞いをもう一度やろうとしているのである。
歴史的窮乏化を再び繰り返そうとしているのである。
日本は1990年代初頭のバブル崩壊後所得線が四五度より以下に角度を下げたままのデフレ状態にある。しかしここにきて再び激しい所得線の角度の下降に見舞われている。この角度の降下こそがデフレスパイラルなのである。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou 日本の経済的位置関係参照。)
1998年の消費税率アップによる突然死状態を経て、2千零年から2千3年頃までの急速なデフレスパイラルによってほとんど資金の底まで所得線が下がってしまった。
銀行合併による貸し剥がしと、異常な低金利や、公共投資の削減によって、消費者側への資金の供給が完全に断たれたからである。
この当時、日本経済はまだ少し余裕があった。乾いた雑巾を絞っても、まだ水分を絞り出すことができた。それでも恐るべき価格の低下が波状的に襲い、瞬く間に底に達してしまったのだ。輸出が好調なため、辛うじてそれ以上の角度の下落を抑えていたのである。
しかし今回の下落は昨年前半の原油価格の高騰による消費資金の減少と、欧米の金融危機による輸出の激減
が原因となり、再び大きな角度の下降圧力になっている。
今回の下降は、日本経済にほとんど余力が無いため非常に厳しいものとなる。カンカンに乾いた雑巾をどんなに絞ってももはや、水分は出てこない。そういう状況なのである。
日本の内需専業の多くの企業は、下がっていく価格に対してほとんど何もできず傍観状態である。今安くできる製品の多くは低賃金国の輸入品であり、それに対応することはさらなる国内労働者の低賃金化と過剰労働を招く。
激しい下降の前回と今回との違いは、低価格循環が長く続かないということだ。多くの企業がそれに追随できないのである。日本経済の受ける衝撃が軽い分けではない。その分企業の廃業、倒産が多くなるのである。ついていけない企業が多いのである。
皮肉にも政府の補助金を出した関連部門がいち早く値下げ競争を行っているように思える。定額給付金に関する、あらゆる商店での1万2千円に対するサービス過剰、エコ家電や、エコ車などが大きく販売を伸ばしている。
エコ対象の冷蔵庫や、エアコンが対象外の機種の販売を軽く上回ったそうである。またハイブリッド車の販売が他の車のシェアを奪っている。
デフレが進むとこのようなよかれとした政策も逆目に出る。
イオンや、ユニクロのような比較的好調企業はさらに他の追い落としを狙い安売り攻勢を仕掛け始めた。
しかし多くの日本の国内企業は、安売りをしてほしくないのだ、これ以上値引き対応はできない状態なのだ。これ以上賃金を下げたり、納入価格を引き下げることはできない状態なのである。
茶らけた経済評論家や学者は、低価格競争に対応するような評論をしがちである。デフレに対応したあたかも与えられた命題のように、低所得者向けの商品や製品を増やせとか、工夫をせよ。などである。
日本の経済学者のほとんどは、どうすればデフレスパイラルを止めることができるのか、とか、どうすれば低所得化を防ぎ、再び中流階層が増大するのかという考えがないことである。非常に残念なことだ。それがまたテレビの製作担当者や、コメンテーターに影響を及ぼし負け犬のような主張をしがちである。(例、日本潜在成長率の見積もりの低さ。もはや成長余地のないようなもの)
政策というものはより良い方向へ社会を導くものである。情勢を事細かに分析したり、悪い情勢に対して適応する方法を探るものではない。
さてこのような所得線の角度の下降が始まった時、それを妨げる最も効果のある政策が、消費税の減額である。
所得線は、生産量と資金量の関係からその角度が決まる。1対1であればその角度を45度線とすると、それ以上の角度は、インフレであり、それ以下の角度はデフレであり、生産量に比べ資金量が著しく減少している場合である。
消費税というものは、売上にかかるものである。それ故消費税率の上昇は、商品価格を上げるものであり、
資金を市場から奪い税金として国に入るものである。
それ故国民所得を形成する市場から資金が流出する性質をもつ。これは生産量に比べ資金量を減少させるため、デフレの性質をもっている。(所得線の角度を下げる性質。)
逆に消費税率の減額は、市場に資金を増やす性質をもっている。インフレを促す性質である。(生産量より資金量が多いので角度は上昇する。)
このことから分かるように所得線の角度の下降(デフレスパイラル)は、資金量の減少から生じる。それ故資金量の増加をもたらす消費税率の低減が角度の下降を阻止するのである。言い換えると消費税の減額は、インフレスパイラル(所得線の上昇局面)を巻き起こすものである。
現在日本の多くの経済学者、評論家、政治家や政策担当者、メディアが、消費税の増税を提案している。しかしそれは、明らかにデフレを促進するものである。
角度を下降させる性質を持ちデフレスパイラルをもたらすのである。
消費税の減額は、デフレスパイラルに嵌まった時、正しい政策なのである。私達は自信を持って消費税を減額の主張しなければならない。
しかもこの激しい所得線の降下をすぐに止めなければ、日本経済が立ち直れないほどの深手を負うであろう。
一刻も早く、消費税を2%に下げるべきである。
またデフレスパイラルにおいて生産量の増大を図ることは、資金量に比べて生産量を増やすことになり、ますますデフレを深刻化させていく。昨今の政府の補正予算に見る内容は、ほとんどが生産量の増大策である。補助金、公共投資、これらを増やせば増やすほどデフレになっているのである。
今、世界の主要20カ国がなした共同の経済対策も
ほとんどが生産刺激策であり、全世界が低金利政策を実施していることは、さらにデフレを促進しているのである。経済は、消費と生産が連用したものであり、消費のない生産は消耗に過ぎない。
世界の金融危機は、資金量を大幅に減らしたものである故に、先ず始めに消費者に直接資金を注入し購買力を増やす政策を取らなければならないのである。先に生産量を増やしても誰も買わない。それ故に生産刺激策はデフレから脱出することはできない。
一刻も早く間違った経済学の桎梏から解放され、正しいデフレ解消策を取ることを祈って止みません。
消費税を2%に下げる事が簡単な日本のデフレ脱出の道です。(デフレ・インフレの一般理論)
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
一言主。