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(回答先: 「ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報」の中田氏はまったく無能か?!反論できないものだからDdogをスパム認定した! 投稿者 Ddog 日時 2009 年 6 月 08 日 23:18:46)
この議論は副島隆彦のバ学問道場も投稿に対しての、批判である。
当のアルルの男・ヒロシは私が、下記投稿の批判である事を直ぐに察知したようだ。
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「1042」 世間では「陰謀本」ブームである。しかし、ここで冷静になってconspiracy theory の訳語の正しさについて考えてみたい。 アルル記 2009.6.2
http://www.snsi-j.jp/boyaki/diary.cgi
アルルの男・ヒロシです。今日は2009年6月2日です。
文章を書く人間にとって、「おまえの言っていることはまるで陰謀論だな」といわれることは、もっともひどい評価を下されることを意味する。実は、数年前に最初の本である「ジャパン・ハンドラーズ」を上梓したとき、学生時代の友人に、「君はユダヤ陰謀論の本を出したんだってね」と言われたことがある。その時は私は苦笑してやり過ごすしかなかったが、後で一応、「私はユダヤ人の陰謀史観には興味がないよ」とメールを出しておいた。
最近、私はコンビニエンス・ストアのマンガ売り場には、薄手のカバーで、「●●の陰謀」という本が並んでいるのをよく見かけるようになった。実際に手に取ってみてみると、「ブッシュが起こした911テロ」とか「郵政民営化はアメリカの陰謀」などといった話題の他に、「FBI超能力捜査官マクモニグル」とか「NASAがひた隠す火星移住計画」などといったテーマで書かれたマンガが掲載されている。その横には、「世界マル秘・都市伝説」といったタイトルの同種のマンガ本が並んでいる。
私はこの並び方を見て、「なるほど、陰謀論というのは都市伝説と同じ扱いなのか」と理解した。都市伝説というのは、「トイレの花子さん」とか「ハンバーガーの原料はミミズとネズミ肉だ」という根拠のない与太話のことである。陰謀論とは、一言で述べれば、私の理解では「ある政治的な出来事の背景に表には出ない権力者の共謀が存在する説」というものである。この二つは明らかに違うのだが、なぜか同じものとして扱われている。
そこで英語の辞書に立ち返って、conspiracy theoryの意味を調べてみた。
conspiracy theory (複合名詞):物事が利害関係を持った集団の「共謀」の結果として起こるという理論。とりわけ、何らかの強力な権力を持った非公式機関−通常、動機において政治的、その意図において他者を苦しめる目的を持つ−が、説明のつかない出来事を引き起こす原因になっている、とする信念。
(原文)the theory that something happens as a result of a conspiracy between interested parties; esp. a belief that some powerful covert agency (typically political in motivation and oppressive in intent) is responsible for an unexplained event.
出典:Shorter Oxford English Dictionary
このように英語では、conspiracy theory (コンスピラシー・セオリー)という言葉は、「物事が利害関係を持った集団の「共謀」の結果として起こるという理論」のことである。
時に「陰謀説」と表記される場合もあるが、多くは「陰謀論」と書かれる。「説」と書いてある場合には、そう書いた側には、「書いた側がある種の信憑性(しんぴょうせい)のない妄想癖(もうそうへき)にとらわれている」という含みを込めて使っている場合が多い。
上のOEDによる定義が示しているとおり、このコトバは、共謀(conspiracy)と、理論(theory)という二つの言葉の持つ意味にプラスアルファの意味が加わっている。それは、belief(信念・信条・信仰)である。「その正しさを疑わない」という意味合いが加わっているわけだ。
また、用法をあわせて説明しているおもしろい英英辞典である「コウビルド英語辞典」には、「君は、ケネディ暗殺に関して謀略があったという説を受け入れられるかい?」(Did you ever swallow the conspiracy theory about Kennedy?)という用法が書かれている。あるいは、最近の場合では、Kennedyをthe 911 (ザ・ナイン・イレブン、2001年9月11日の米同時多発テロ事件)と置き換えた例文も考えられるだろう。
オリバー・ストーン監督が映画『JFK』(ケヴィン・コスナー主演、1991年製作)で取り上げたように、ケネディ暗殺には、何らかの政府機関がケネディ大統領の暗殺をもくろんで暗躍したという説が今も根強くある。また、911事件においても、政府の公式見解だけではすべてを説明できないとして、真相解明を求める動きが厳然として存在しており、その動きにはアメリカ以外の政府高官からの支持もある。
これらは、主流のマスメディアでは「ケネディ暗殺陰謀説」「911事件陰謀説」として扱われる。日本における「田中角栄失脚」「郵政民営化」におけるアメリカの関与を論じる議論も存在する。これらの議論は、時に本来は全く無関係な「ユダヤ陰謀史観」(戦争や災害などの世界史上の出来事には、すべてユダヤ民族が黒幕として関わっているという歴史観)とひとまとめで批判されることもある。個々の事件の背景にユダヤ人や白人や黒人や中国人が関わっている場合はもちろんある。しかし、当然のことながら人種差別的なユダヤ陰謀史観は排除されるべきだろうし、それを理由にして言葉狩りを行うことも同様に自制されるべきだろう。
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上の辞書の定義は、確かに実際の使われ方において適切である。「陰謀論」という言葉自体、日本でも海外でも「ネガティブな意味合い」を付与されているのである。
しかし、conspiracyもtheoryもそれ自体では、いいもわるいもない、「価値中立的」な言葉である。後で詳しく述べるが、前者は法律学の用語辞典(Oxford Dictionary of the Law)にも出ているが「共謀」という意味であり、後者は、「アインシュタインの相対性理論」(relativity theory)などといった使われ方をする。
しかし、この二つが結びつくと、なぜか、英語でいう、urban legend、すなわち「(あやしげな)都市伝説」と同じ意味で使われるようになる。 なお、urban legendについて、OEDは、「さも真実であるとして流布されるが、出所がはっきりしない、人を楽しませるストーリーや情報のこと」と定義している。日本で私たちが、陰謀論という場合、この意味がぴたりと当てはまると思う。
さて、1980年代に、ハリウッド映画でメル・ギブソン主演の『陰謀のセオリー』(リチャード・ドナー監督、1997年製作、原題はズバリ、conspiracy theory)という映画があった。この映画では主人公のメル・ギブソン演じるタクシー運転手が、周囲のちょっとしたことに国家の陰謀が隠されているという強迫観念に取りつかれている、というストーリーである。彼は日常の新聞記事の一見関係なさそうな記事を結びつけて、そこから政府の大がかりの秘密を読み解く。彼は様々な「都市伝説」をまとめたニューズレターを発行しているという設定である。
このセオリーが次々と現実のものになっていくというサスペンス映画だ。主人公は、この映画では明らかに普通ではない人物として描かれる。
そして、この「明らかに普通でない」という特質を組み込んだ上で、このコトバの定義を行っている辞典もある。英語圏ではもっとも手に入りやすく定評のある思想辞典である「ノートン思想辞典」では、conspiracy theoryの説明として次のように書かれている。
「ある巨大で悪意に満ちた共謀が存在し、それまでの人々の生活の転覆や、究極的には破壊の原因になっているという被害妄想的な信念のこと」(The paranoid belief that there exsits a gigantic and sinister conspiracy dedicated to , or responsible for , the subversion and ultimate destruction of a way of life)Norton Dictionary of Political Thought, page 162
このあと、この「ノートン思想辞典」は、アメリカのリベラル派の知識人・歴史家である、リチャード・ホフスタッター(『アメリカの反知性主義』(みすず書房)という著作がある)の言葉を引用している。
すなわち、「被害妄想的なconspiracy(この場合「陰謀」と訳すべきだろう)の特徴として、その考えを支持する人々は、ある大がかりな極秘計画(a vast plot)こそが、歴史における様々な出来事の原動力となっている」というのである。
このホフスタッターに代表される、アメリカの知識人たちは、アメリカ東部のリベラルで穏健な、いわゆるエリート大学(アイヴィーリーグ)文化を体現しているといってよい。彼らは、アメリカ南部の泥臭い、非インテリの労働者階級たちが持っている不満が、何らかの事件にまつわる陰謀説、陰謀論で表明されることを、「反知性主義」といって否定的に捉えたのである。簡単な言葉で言えば、「奴らは気が狂っている。パラノイアだ」ということになる。
よく、アメリカではポピュリスト(草の根保守主義者)たちは、エリート知識人やワシントンの大新聞の記者達は、この反知性主義者として扱われる。ポピュリストたちは、陰謀論者であるとして権力者からは忌み嫌われているのである。
以上、見てきたように、OEDとノートン思想辞典と辞書によって、嫌悪する度合いは違うが、欧米知識人の間では、このコトバは最悪のさげすみコトバとして理解されているわけだ。
しかし、conspiracy とtheory に分けてみると、そもそもconspiracy theoryというコトバそのものが成り立たないことがわかる。それはどういうことかを以下で説明しよう。
<ハイポセシス、セオリー、ロー(ラー)>
学者の議論では、theory(理論)というのは、hypothesis(仮説)と法則(law)の間に挟まったコトバとして位置づけられる。法則というのは、「観察から演繹された、ある特定の条件が存在すれば、特定の自然現象や科学現象が常に起こるという趣旨の事実の記述」(a statement of fact , deduced from observation , to the effect that a particular natural or scientific phenomenon always occurs if certain conditions are present)である。
また、仮説というのは、「 さらなる調査の出発点のためになされた、限られた証拠に基づいた想定ないしは提示された説明」(a supposition or proposed explanation made on the basis of limited evidence as a starting point for further investigation)となっている。そして、肝心の「理論」であるが、これは以下のように説明されている。
<<theory (名詞):(a) 芸術や学問に関する一般原則や方法論の知識や解釈。特に、その実践からは区別される。(b) 何かを説明する際の一連の思想や説明のこと。特に、その説明するべき対象から独立した一般原則に基づくもの。あるいは、観察や実験によって確認され、確立された仮説であり、既知の事実についての説明になると認められたもの。
3. (a) The Knowledge or exposition of the general principles or methods of an art or science, esp. as distinguished from the practice of it. (b) A system of ideas or statements explaining something, esp. one based on general principles independent of the things to be explained ; a hypothesis that has been confirmed or established by observation or experiment and is accepted as accounting for known facts.>>
となっているのである。(以上のlaw , hypothesisの定義はOED second editionから)
つまり、内容として学問的に内容の確かさが立証された順番に並べると、law > theory > hypothesis となる。アインシュタインの相対性理論も、ダーウィンの進化論(evolution theory)にしても、普遍のlawでは無いわけである。
上のケネディや911事件の例でもわかるように、conspiracy theory が説明の対象としている出来事は、学問的な実験は不可能(ケネディの暗殺を再現することはそもそも不可能)であるし、その当時において観察することはある程度可能であるにしても、theory のレベルに至る確立した説明を与えられるわけがないのである。
ただ、一つ一つの出来事に関して、conspiracyがあったと仮説を立てることまではでき、事実に基づいてその仮説を証明することは可能性の議論としてあり得るだろう。ここが実は重要なのだ。
<「共謀」とは、同じ場所で息を吸う行為>
そこで、次にconspiracyの意味について語義に立ち返って理解していこう。conspiracy theory(陰謀論) には違和感があるが、conspiracy hypothesis(共謀があるとする仮説)というコトバは、まだ意味の通るコトバとして「あり得る」のである。
con-spiracy というコトバは元々、ともに(con,com)息をする(spire)という意味であり、ラテン語のconpirareから来ている。companyが仲間(同じパンを食った仲間)という意味であるのと同じように、頭に付くconはtogetherを意味し、spireはto beatheという意味なのだ。ここから、出てくるのは陰謀ではなく、共謀という意味をもつconspiracyである。
例えば、実際に911事件を起こして、何らかの目的を実現しようとした一団が居たとしよう、ケネディの暗殺を決めた一団の人々がいたとしよう。
この場合、彼らがアラブ人のテロリストであるか、ブッシュ元大統領あるいはウォール街の財界人、はたまた軍需産業のCEOたちであるかはこの場合、問題にならない。
というのは、共謀という意味を持つconspiracyには、以下の意味があるからだ。以下は「コウビルド英語辞典」からの引用。
<<conspiracy(名詞) 1.共謀行為とは、一人以上の人々によって、何らかの違法なことを実行することを秘密裏に決めること。2.共謀とは、他者が、間違っているか、有害であると見なされる可能性がある一人以上の人々の間での合意のこと。
1 Conspiracy is the secret planning by a group of people to do something illegal.(He believe there probably was a conspiracy to kill President Kennedy) 2. A conspiracy is an agreement between a group of people which other people think is wrong or is likely to be harmful.>>
こう述べた上で、次にconspiracyというコトバがどのように使われるかを説明していこう。ここでご登場頂くのは、極東軍事裁判の結果、いわゆる「A級戦犯」として処刑された、土肥原賢二(どいはらけんじ)・陸軍大将である。
ある英字新聞に、土肥原の「まるで職務を遂行することが、共謀行為を構成するといわれているようなものだ」(It is as if to argue that carrying out one's duties represents a conspiracy)という発言が紹介されている。(IHT/Asahi 2008/12/26 by Norio Yatsu "15 Class-A criminals took issue with court ")
この場合、共謀行為とは、「連合国側が認定した一連の大日本帝国政府・軍部によって開かれた、アジア大陸への侵略行為の決定会合」のことを指す。戦勝国である「勝者の裁き」である東京裁判にはいろいろな問題があり、実際に会合には直接参加していない人物まで裁かれていることが指摘されている。
しかし、ここで重要なのは、裁判の是非ではなく、共謀行為というコトバの持つイメージである。「閉鎖的な空間で、一般に報じられないまま、一連の決定が、一人以上の限られた数の人々の間で行われること」を「共謀(conspiracy)」というのである。刑法理論には、共謀共同正犯(きょうぼうきょうどうせいはん)ということばがあるが、この「共謀」も同じ意味である。
要するに、conspiracyというのは裁判で使われる「共謀」のことなのだ。ネガティブな価値評価が加わっている「陰謀」という意味は後から付け加わったものなのである。共謀行為というのは単なる事実認定の対象であり、裁判ではその事実を認定するために、証拠の提示や目撃者の証言などが行われる。
その事実を認定するのは、大抵、陪審員(ばいしんいん)たち(日本では裁判官や裁判員)である。
この意味における共謀を証明しようとする行為は、なぜかマスメディアや知識人によって、陰謀論とレッテルを貼られる場合がある。むろん、妄想に基づいた、事実の裏付けが何も存在しないヨタ話のたぐいはいくらでもある。
しかし、ケネディ暗殺にしても、911事件にしても、必ずしも政府公式発表では説明が付かないのでないかという疑問点は今も残るのである。そして、それを裏付ける事実についてもいくつも提示されている。その中のいくつかは信憑性のないものが含まれているにしても、全部が否定されたわけではない。
そこで、真相究明を行おうとする人々(truhters, truth activists)は、裁判で行うように、証拠固めを行い、第一目撃者(first responders)の聞き取り調査を行うことになる。
例えば、911事件に関して真相究明を求める学者の会(Scholars for 9/11 Truth & Justice)という団体がある。この団体は、市民陪審法廷(the Citizens Grand Jury)を結成し、法廷で行われる厳密性をもって、9/11事件の真相究明を行おうとしている。この法廷では、元NY市長のジュリアーニを起訴、元副大統領のチェイニー、NY金融家のロックフェラーらを告発している。
彼らが行っているのは、「大量殺戮(さつりく)に関する共謀行為の訴追に関する調査」(Futher Investigation for the charge of "conspiracy to commit mass murder")である。実際、彼ら活動家は、これらの人物に会いに行き、直接質問を投げかける活動を行っている。
彼らの突撃インタビューの行動を、どのように評価するかは議論の対象になるだろう。が、conspiracyというコトバがこの場合には決して、陰謀などという訳の分からない意味ではなく、法律学における共謀として使われることが一目瞭然である。
(動画は、一般市民の活動家がデイヴィッド・ロックフェラーにに面と向かって、911事件への関与の有無を問いただす動画)
このように、陰謀というのは法律学上の「共謀」のことである。英語圏でも、日本人が理解するような、謀略(悪の秘密結社の秘密会議における)という意味として、コンスピラシーという言葉が使われないというのではない。しかし、私たちは、言葉の本来の意味を理解する必要がある。
コンビニエンス・ストアなどで、「911内部犯行説」や「郵政民営化」に関する話題を扱った書籍の中に、UFO(未確認飛行物体)やFBI超能力捜査官の話題が巧妙に織り交ぜられているのをよく見かける、と冒頭に書いた。
本来何も関係の無い話題を十把一絡げ(じっぱひとからげ)にして、重要なテーマ、公共の関心事であるべきテーマを覆い隠すというのは良く行われる手である。このような扱いを行うことが、新聞社やテレビ局の編集会議などの場で、すなわち一般に見えない密室で行われた事実が一つでもあった場合、これは紛れもないコンスピラシー(密室における共謀行為)である。
私は、「conspiracyというコトバは今後、theory というコトバとくっつけて、urban legend という意味合いを与え、本来の法律学上の意味合いとしては報じない事とする」「陰謀論と都市伝説を同じものとして報じる」という、マスコミ関係者の間での暗黙の共同了解ができあがっていると思う。共謀を本来の共謀として報道させないという共謀が行われた、ということである。
私たちは安易に「陰謀」という言葉を使いすぎる。コンスピラシーという言葉からミステリアスな装いをはぎ取り、「共謀があったかどうかの事実」だけに基づいて論じていくべきではないか、と私は思うのです。
アルルの男・ヒロシ(中田安彦)拝