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出口政策の情報発信は重要、日本の出口政策はスムーズにいく公算大＝水野日銀審議委員（ロイター）2009年 06月 5日 23:20 JST
［東京 ５日 ロイター］ 日銀の水野温氏審議委員は、５月２８日に開催されたアジア金融協力センター主催のセミナーで、主要国の中央銀行が採用している「非伝統的政策」について、政策の狙いや出口政策等について十分に情報発信をしておくことが重要だ、との認識を示した。
その上で、日銀の場合はバランスシートコントロール力を相応に確保しているとして、出口政策はスムーズにいく公算が大きい、との見方を示した。
日銀が５日、ホームページで公表した。
水野委員は「最近の経済情勢と中央銀行の政策対応──中央銀行の意思でバランスシートの拡張・縮小ができるかがポイント」と題した講演で、中央銀行は非伝統的な金融政策を採用している以上、
１）高度な透明性、すなわち、その非伝統的な金融政策の狙いおよび想定する実体経済への波及メカニズム、
２）バランスシートのき損を抑制する手法、
３）「出口政策」、すなわち事態が好転した場合に非伝統的政策から離脱する手法──に関して、市場参加者に理解を求めておくことが重要だ、と指摘。
「中央銀行の信認を確保し、ファンダメンタルズに合致しない長期金利上昇や自国通貨の過度な下落といった潜在的コストを回避するために、その異例な政策の狙い、出口政策等について十分に情報発信をしておくことは重要だ」と繰り返し強調した。
日銀の政策については、
１）豊富かつ高度な金融調節技術を有している、
２）コマーシャルペーパー（ＣＰ）・社債という民間債務購入策では、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）と同様、市場環境が正常化すれば利用頻度が減り、その分バランスシートが縮小する仕組みとしている、
３）企業金融支援特別オペレーション等の今回の施策の多くに時限を設定している、４）国債保有残高に対する上限ルールを保持している──ことから、「バランスシートのコントロール力を相応に確保している」との認識を示した。
その上で、最近、ＣＰや社債の買い入れオペでオファー額に応札額が満たない「札割れ」が頻繁に生じていることに触れ、「市場のニーズ次第で残高が減少する仕組みが有効に働いていると認められる」として、「日本銀行が現在採用している非伝統的政策からの出口政策は、スムーズにいく公算が高い」との見通しを示した。
また、水野委員は、追加経済対策が打ち出され、これまでにない国債増発が見込まれる下で「日本の金融市場では金利の安定性確保が一つのテーマとなっている」と指摘。日銀は、潤沢な資金供給を行う中で、
１）ターム物金利への働きかけを通じ、イールドカーブの短期ゾーンを安定させたり、２）長期資金供給手段を一層活用して円滑な金融市場調節を行う趣旨から、一定のルールに基づいて、国債買入れオペを活用したり──することが可能であり「これら積極的な流動性の供給が、結果として金利安定に寄与することはあり得る」との見方を示した。
このうち、国債買入れオペについては「国債需給悪化への不安を緩和する副次的効果はあり得る」としながらも「中央銀行が財政ファイナンスのため国債を購入しているということになると、金融政策運営に対する信認が損なわれ、かえって国債市場は不安定化する。財政法第５条の国債の市中消化の原則の観点からも問題がある」とあらためて警鐘を鳴らした。
水野委員は「日本の国債市場は足元落ち着いた動きをみせている」との見方を示したが、「欧米の長期金利の大幅な変動やポジティブ・サプライズともいえる最近の株価上昇のほか、国際商品市況の上昇といった気になる動きもある」と警戒感も示し、「実体経済と金融市場動向に乖離があるとの見方もできるだけに、日本において国債買入れに関する一定のルールは重要だ」と語った。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-38423820090605
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