★阿修羅♪ > 国家破産63 > 191.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
キャリートレードの巻き戻しが急激な円高の背景に−日銀リポート 6月4日
(ブルームバーグ):
日本銀行は4日、2007年夏以降の急速な円高進行の背景に、低金利の円を調達し、海外の高金利通貨で運用する「円キャリートレード」の急速な巻き戻しの動きがあった、とするリポートを公表した。
リポートは「キャリートレードと為替レート変動−金利変動が市場参加者のリスク認識に与える影響」。
日本は09年1−3月の実質成長率が2期連続で2けたのマイナスとなり、金融混乱の震源地である米欧を上回る急激な落ち込みを見せた。リポートは「外需依存度がもともと高い中にあって、世界景気の悪化と円高の急激な進行から、輸出が大幅に減少したことなどが影響している」と指摘。
円高進行の背景として、キャリートレードのポジション構築が進み、高金利通貨の増価と円の減価をもたらす一方、「その後の金融混乱をきっかけとしたポジション巻き戻しによって為替レートは反転し、高金利通貨の大幅な減価と円の大幅な増価をもたらした側面がある」としている。円の対ドル相場は07年7月に1ドル=124円台の安値を付けた後、円高に反転。足元では同96円台前半で取引されている。
リポートはまた、「投資通貨と調達通貨の金利差が大きいほど、あるいは、キャリートレードの超過収益が大きいほど、先行きにおいて投資通貨の急落リスクが高まる」と指摘。にもかかわらず、投資家がキャリートレードのポジションを積み上げる背景には「群衆行動」があるとしている。
金融危機の教訓
ヘッジファンドなどの投資家は07年夏まで、金利差や超過収益が拡大する中、群集行動や旺盛なリスクアペタイト(選好)を背景に投資通貨の急落リスクを過小評価し、円キャリーポジションを拡大させた。しかし、07年夏以降の金融危機をきっかけに、投資通貨が急落すると、「超過収益の低下から投資家のリスクアペタイトは急速に低下」し、キャリーポジションの巻き戻しをもたらした一因となったという。
その上で、今回の金融危機は、為替レートや資産価格の見通しなど先行きに関する楽観的な想定に基づき金融経済活動が積極化すると、グローバルな金融資本市場で行き過ぎたポジションが構築され、資源配分を歪めることがあり得ることを示していると指摘。こうした行動は「短期的には景気や資産価格を押し上げることがあっても、その後の深い調整を余儀なくする」ことをあらためて示したとしている。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=angRI6TmjIhE&refer=jp_japan
キャリートレードと為替レート変動
―― 金利変動が市場参加者のリスク認識に与える影響 ――
2007年夏まで続いた世界的なマクロ経済の安定化や先進国の緩和的な金融環境は、投資家のリスクアペタイトを高め、様々な金融資産価格の上昇をもたらした。為替市場におけるキャリートレードを背景とした投資通貨の増価もその一例とみることができる。
円キャリートレードの超過収益の発生は、新たな投資家を次々と呼び込み、投資通貨の増価と調達通貨である円の減価をもたらし、それがまた、トレードの収益拡大を自己実現化させるという循環につながった。
しかし、キャリートレードの超過収益は、「カバー無しの金利裁定式」からの乖離によって発生するものであり、収益が拡大するほど、投資通貨の急落リスク(円の急騰リスク)を溜め込んでいく性質がある。その意味で、キャリーポジションの拡大は、いわゆる「金融の不均衡」の拡大の一形態と解釈することもできる。
サブプライムローン問題の顕在化やリーマンブラザーズの破綻を契機とした、金融経済環境の不確実性の拡大や資金流動性制約のタイト化が、投資家によるキャリーポジションの巻き戻しを誘発し、投資通貨の減価と円の増価という形で、為替レートの大幅な変動を引き起こす一因になったと考えられる。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev09j05.htm