★阿修羅♪ > 国家破産63 > 122.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
株価上昇で喜んでばかりいられない米国政府(KlugView)
2009/05/27 (水) 16:15
ここ数日、世界的に株価が上昇しています。5月26日の米国株式市場は、同日に発表された消費者信頼感指数が、昨年9月以来、8カ月ぶりの高水準となったことから大きく上昇しました。ダウ工業株30種平均は、196ドル17セント高の8473.17ドル。ナスダック総合株価指数は、58.42ポイント高の1750.43で終えました。
米国株が上昇したことで、翌日(27日)の日本株、アジア株も上昇しています。27日の日経平均株価は、取引時間中に年初来高値を上回る場面もあり、午前の終値は、135円99銭高の9446.80円となりました。アジア株でも、香港ハンセン指数が年初来高値を上回るなど、総じて堅調です。
一般に株価が上昇すると、投資家はリスクを受け入れる余力(リスク許容度)が高まり、リスクの低い投資商品からリスクの高い投資商品に資金を映す傾向を強めます。
昨年8月のリーマンブラザーズの破綻をきっかけに、世界の投資家は、投資資金をリスクの低い商品に映す動きを強めていたことも考えると、今回の株価上昇をきっかけに、世界の投資家が、投資資金をリスクの低い商品から引き出し、リスクの高い商品に映す動きを強める可能性が考えられます。
世界の投資家が、リスクの低い商品として考える代表例が米国債です。米国債は、世界最大の経済国である米国の政府が発行する債券であることから、世界の投資家がリスクを回避する際の投資商品として人気があります。
つまり、今回の株価上昇をきっかけに、世界の投資家が米国債を売却する可能性が高まったといえます。すでに米10年債利回りは、3.5%を上回り、昨年11月以来(約半年ぶり)の水準まで上昇しています。このまま米国債の利回りが上昇すれば、いずれ米10年債利回りは4%台を突破することになります。
ただ、数年前の米国と異なり、現在の米国で長期金利が上昇することは、米国政府の資金調達が難しくなることを意味し、米国政府の財政懸念を高めることになります。
あまり知られていないようですが、米国の要人の中からは、米国債の格付けが引き下げられる可能性を指摘する声がでています。
米国の会計検査院(GAO)の元長官であるウォルカー氏は、社会保障費の赤字増加と、金融危機対策による財政赤字の急増が止まらない場合、米国債の格付けは引き下げられると予測しています。仮に、この予測どおりとなれば、米国債が最優良格付けを失うのは、1913年以来のこととなります。
格付けが引き下げられれば、米国債の利回りは、さらに上昇するでしょう。それは、米国政府の財政懸念をさらに高める結果となり、米国経済の重石になります。
世界的な株価上昇で、米国債の利回りが上昇し、結果として米国経済の回復を遅らせることになるのは皮肉なことです。しかし、これが世界経済の現実であり、株価が上昇するだけで回復が遅れる可能性があるのが、米国経済の現実といえそうです。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
米国債の格付けが引き下げられると予想しているのは誰?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
米国会計検査院(GAO)の元長官ウォルカー氏
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/05/27/005549.php