★阿修羅♪ > 国家破産63 > 120.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
「中国1人当たりGDP3000ドル超の重大な意味合い」(徐 向東)
http://www.asyura2.com/09/hasan63/msg/120.html
投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 5 月 27 日 22:53:33: mY9T/8MdR98ug
 

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/xu.cfm?i=20090520c7000c7&p=1

わずか5年で3倍の急成長

 中国国家統計局の2009年1月の発表によると、08年に中国の国内総生産(GDP)は30兆670億元に達した。ドル換算すれば約4兆3274 億3200万ドルに相当する。08年の中国の人口は13億2465万5000人で、1人当たりのGDPが3266ドルとなる。すなわち昨年、中国は1人当たりのGDPが3000ドルを突破したわけだ。

 今から30年前の1979年、事実上の最高指導者になったばかりのケ小平氏は、中国を訪れた大平正芳首相(当時)に対して、「中国は『小康社会(いくらかゆとりのある社会)』の実現を目指す」と宣言した。当時の1人当たりのGDPは200ドルに達していなかった。「小康社会」とはいわば中国の「国民所得倍増計画」。その目標は1人当たりGDP1000ドルであった。

 この1000ドルの目標を達成したのは03年(1090ドル)だったが、中国はすでに「小康社会」の目標を3000ドルに引き上げていた。そしてわずか5年間で3倍の急成長を果たし、北京五輪の年に3000ドルを達成したのである。1人当たり1000ドルから3000ドルになるまでにかかった年数を見ると、米国20年、フランス17年、西ドイツ13年、日本11年、韓国10年。これらの国に比べると、中国はここ数年、実に猛烈なスピードでGDPを伸ばしたことになる。

 一般的に1人当たりのGDPが3000ドルを突破すると国民の消費生活が急速に変わり、自動車や家電などの耐久消費財、あるいは高付加価値の商品やサービスの消費が活発になるといわれる。中国は3000ドル達成とほぼ同じ時期に世界的な経済危機に直面した。危機の影響を食い止めようと最近、従来の外需依存型経済から巨大な内需がけん引する新しい成長モデルへの転換を急いでいる。

内需けん引型の新成長モデルに挑戦

 政府が08年11月、内需拡大を刺激するためインフラ整備などに4兆元(約56兆円、1元=14円)規模の投資を発表しているのは周知のこと。それ以外でも最近、追加の刺激策が相次ぎ導入され、一定の効果を上げている。例えば昨年、政府は小型車取得の際の税率引き下げを発表した。そして今年1月の自動車販売台数で中国が初めて米国を抜き世界一に。勢いがこのまま続けば、今年の販売台数は1000万台を突破しそうだ。

 政府は昨年1月、「家電下郷」という農村での家電普及を目指す消費刺激策も導入した。対象になるのはカラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電3種と携帯電話。単価1000元以上の家電製品を購入した農民に対し13%の補助金を与える政策だ。

 商務部によると、この「家電下郷」はすでに一定の効果を上げている。農村で販売された家電製品は今年1〜3月に270万台となり、販売額は40億元(約560億円)に達した。また、3月の農村での家電製品売り上げが22億4000万元(約314億円)に達し、前月比72%増だった。

 さらに政府は4月、新しい医療保障制度改革の枠組み案を公布した。米国の過剰消費に対し中国は過剰貯蓄だといわれる。高貯蓄率は中国の内需の足を引っ張る最大の要因でもある。中国人が貯蓄に励む背景には医療などの費用に対する漠然とした不安がある。これまでの20年間、中国の庶民の収入は20倍近く増えたが、医療費の負担がそれをはるかに上回る133倍にもなった。新しい医療保障制度の狙いは、庶民の「未来への不安」を和らげ消費拡大につなげることにある。

 今回の新しい医療保障制度は、基本的な医療保障の「公共財」としての位置付けを明確にした点が特徴だ。今後中国では、一般的な薬や治療を国の保障対象として無料に近い形で提供する。今後3年間で基本医療保障のカバー率は国民の90%以上に達し、20年までに農村を含めた中国全土をカバーする基本医療保障制度を確立する見通しだ。

中国の内需は世界の経済地図を変える

 中国の内需拡大は世界経済を変えるパワーを秘めていると感じる。米国の歴史に照らし合わせながら考えてみよう。

 米国でもかつて車は一握りの富裕層しか買えないぜいたく品だった。しかし「誰でも買える車を造る」というフォードの強い意志によって、1908年にT型フォードが生まれた。改良を重ね、23年に価格が当初の850ドルから260ドルまで下がり、27年に1500万台という記録的な生産量になった。低価格車の量産化によって、20年代以降に米国の重工業の隆盛を促し、米国が世界で最も繁栄した市場となった。

 中国の調査大手「新華信」が02年から06年までに実施した全国24都市1万5000人のカーオーナーの調査結果を見ると、車購入者の年齢が年々低下し、06年には平均32.3歳まで下がった。今の中国市場の主役は活力に満ちた若者層だ。彼らは日本の女子高生が「ルイ・ヴィトン」を買うように、背伸びしてでも車を手に入れようとする。月の給与3000〜5000元(4万〜7万円)の普通の「80後」(80年以降に生まれた)世代の若者が数万元から 10万元(数十万円から140万円)もする車を買っている。内陸部では自動車を持っていない家庭がほとんどだから、これからは10万元以下の低価格車市場が急速に拡大するとみられる。1人当たりのGDP3000ドル達成後に一般消費者が車を買い始めると、米国でかつて起きたことが、これから中国でも別の形で再現されるだろう。

 このような予兆を象徴するような出来事を紹介しよう。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が昨年、広東省の新興自動車メーカー、比亜迪(BYD)の株式10%を取得した。同社がいずれ世界最大の自動車メーカーになると見込んでの投資だ。BYDは昨年、日米企業に先駆けて家庭での充電で 100キロ以上走る「F3DM」を製品化した。最近では1回のフル充電で400キロ走る車を発表。中国政府が公用車として購入することが決まっている。さらに量産化が進めば、価格は1万ドルを切るだろう。

 BYDの中国での販売台数は1月が2万4000台、2月は2万6000台、3月も3万2000台に増えた。中国ブランドの車としてはトップの実績を続けている。バフェット氏がBYD株取得後に同社の株価は上昇し続け、5月にはバフェット氏が取得したときの3.5倍以上になった。

 BYDの社名の意味は「あなたの夢を築こう(Build Your Dreams)」だという。BYDが描く中国の自動車社会は「電気自動車があふれ、ガソリン車並みの速さで充電できる。外国ブランドの車を買う高所得者ではなく、これから消費が爆発する庶民層もマイカーの夢をかなえられる」。それをリードするのがBYDということだろう。

 後世の研究者が歴史を振り返れば、GDP3000ドル達成は世界の消費市場における米中逆転のターニングポイントだったと記すかもしれない。そうなれば、これは新興国と先進国が逆転するという16世紀以来の世界経済の変化の重要な一幕になる。

世界市場は大逆転が起きる

 これまでの世界経済の構造は、旺盛な消費意欲に支えられた米国市場に向けて日本や中国などのアジア地域が輸出し成長する構造だった。日本が 1987年に1人当たりのGDPで米国を抜き世界一に躍り出た原動力は、電機や自動車、工作機械、精密機械などの輸出依存度の高い機械工業であった。

 それらの機械工業の規模は現在も日本のGDPの約15%を占めるが、こうした機械工業の担い手はほとんど大企業だ。大企業の最終製品の需要は欧米に偏重している。中国を中心とするアジア向け輸出が近年拡大しているものの、その多くは部品の輸出。つまり日本から輸出した部品を使って、中国で造られた完成品が欧米に輸出されるということだ。

 90年代以降の日本経済は、大企業中心のこうした直接かつ間接的な欧米への依存が強まっている。これは金融危機を引き起こしたわけでもない日本が、欧米発の金融危機でこれほどのダメージを受ける理由である(水野和夫「製造業立国・日本の終焉」中央公論、2009年4月号参照)。

 08年に米国で発生した金融危機は、過剰消費に依存する米経済の行き詰まりの表れである。同じ年に中国がGDP3000ドルを達成したのは、中国のような新興国市場の存在感の高まりを示す出来事である。先進国は自国市場の行き詰まりから、今後、投資先はますます新興国に向かう。そうすれば新興国の近代化が加速、いつか先進国と新興国の市場が逆転するという新しい時代の到来も現実味を帯びてくる。

 そういう文脈で考えると日本経済の将来にとっての最重要課題は、中国やインドなどアジア新興国市場の需要をどのように日本経済の次の新しい成長に組み入れるかだろう。

生き残れるのは新興国市場で勝てる企業

 日本に先行して中国市場に本腰を入れたのは韓国だ。中国と韓国が国交を樹立したのは1992年。ほとんどの韓国企業の中国への本格進出は97年のアジア通貨危機以降だった。だが韓国企業は進出当初から中国市場の巨大な潜在力を見込んだ大規模な投資を行い、その勢いは90年代後半に日本企業と肩を並べた。特に電子、自動車、化学といった先端分野での対中投資額が大きく、投資先も中国の北から南までの広い範囲に及んだ。

 92年の国交樹立当初、韓国の最大の投資先は米国であり、対中投資は海外投資額の11.6%にすぎなかった。その後、対中投資額は毎年3〜4割拡大し、02年に米国を抜いて韓国の最大の海外投資先となった。07年の韓国企業の対中累積投資額は388億ドル(中国外交部のウェブサイト08年7月16 日の発表)。韓国の大手企業は中国での長期戦略を重視しており、サムスンは中国で「第2のサムスン」をつくると発表している(サムスン中国法人の朴根熙社長、06年4月8日「中国経営報」)。

 BYDが中国で売れているのとほぼ同じころ、インドの民族企業「タタ自動車」が20万円を切る超低価格車「ナノ」を発売したことも話題となった。同社は今年末までに年間25万台の生産体制を目指すという。

 BYDやタタのケースが示唆しているのは、中国やインドのような大量の安い労働力が存在する新興国では、低価格の商品が大規模に生産・販売される市場になるに違いないということだ。資源を安く買い、工業製品に付加価値を付けて高く売るやり方で富を築いた先進国とはまったく異なる成長パターンになっていくのだろう。

 こう考えると、日本企業はこれからの時代において低価格商品が大量に消費される新興国市場でも、勝負できる体質にならなければならない。そのために、新興国で今まで以上に真剣に挑んでいく必要があるのは自明の理であろう。「やるか」「やらないか」。日本企業は今、歴史的な決断を迫られている。


徐 向東氏
株式会社中国市場戦略研究所・上海伝沐商務諮詢有限公司代表

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 国家破産63掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。