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週刊文春(5月28日号)を買って読んでいました。
何気なく見ていたら皆さんご存知の経済学者である中谷巌さんと阿川佐和子さんの対談が載っていました。
通り過ぎようと思ってたのですが、何となく気になって少し読んでみようという気が起こりました。
気になったのです。今朝、竹中さんと加藤さんの対決を唄ったテレビ番組を珍しく見て、その後、植草さんのそれへの感想も読んでいたので、その影響もあり、「もしかして中谷さんは本気で大切な事を語っているかもしれないな…」とふと思ったのです。
ところが、彼はやはり大切な事を言っていました。
彼は自分の反省をさりげなく言っています。関西人らしく飾る事無く率直に語っています。
そのせいで、彼の指摘した思考の間違いの原点について多くの人達は読んでも気が付かないのではないだろうか?
余りにも淡々と語っています。
文明論的な重要な事を淡々と語っています。
今後の米国と欧州の経済のそして政治の行動において彼らの文明が歩むであろうその姿についてそのスタイルについて予測を行う上で必須として理解しておかなければならないことを彼は語ってくれたと私は理解します。
それで、以下において、部分部分を抜粋して転載しておきます。
(前略)
中谷 (中略)やっぱり新自由主義とか市場原理主義的なものはちょっと違うぞ、これは欧米の階級社会の産物だという過激な考え方になってきたのでね。
(中略)
阿川 竹中さんは今もその考えに間違いはなかったとおっしゃってますよ。でも本当は少し反省してるのかしら。
中谷 彼は大臣として実行された人だから、僕みたいに無責任なこと言えないでしょうけど…まずかったと思ってるかどうかはわからないなあ。
阿川 言えないのか。で、中谷さんの考えが変わってきたのは…。
(中略)
中谷 これと同じで、欧米は階級社会で、マーケットメカニズムもその産物なんです。奴隷階級からスタートした下層階級の人が調整弁、バッファーとして存在していることが、マーケットが機能する為に重要なんです。勝者は称賛され、バッファーは不況になったらクビを切られて当たり前という。
阿川 日本は違うんですか?
中谷 日本は征服されて奴隷になった歴史がないから社会が一体化してる。そこで「マーケットの調整であなた切ります」と言われたら、みんな一緒だと信じてたのに精神的な支えがなくなって、一人で生きていけなくなる。下層階級的な意識がないから諦めてないんですよ。それがようやくわかった。
阿川 中谷さんでさえ…。
中谷 言ってみれば、西洋中心史観、自虐史観からの脱皮なんです。(中略)
(中略)
中谷 だから、日本人に切り捨ての思想は危ないんです。それでもやっていける階級社会と、全然合わない日本の社会が、同じ論理で政策やっちゃいけないんですよね。
(後略)
(転載以上)
私が重要と思った部分だけを抜粋したものなので、本当は本文を全部読まれたほうがいいでしょう。
問題は欧米が階級社会であるということであり、その様な社会が採りえる行動すなわち政策のその「性格」というものが予測できる筈であるという事です。
階級社会は本音の社会ではありません。簡単に言えば嘘の社会、虚構支配の社会なのです。
従ってそこでは宗教とイデオロギーが発生します。支配の為に必要だからです。
そしてさらに重要な事は、彼らがそれ以外の行動様式を知らない事、そしてたとえ知ったにしても、ビル・トッテン氏のように日本に帰化しない限り、階級社会で生活する限り「郷に入り郷に従う」他に行動の採りようがないということなのです。
米国は階級社会の植民地社会です。だから剥き出しの乱暴な行いが出来るのです。欧州は歴史を積み重ねた階級社会だから支配の様々な方法にスマートな手段を採る事が出来るのです。
しかし、夫々の家には家風があるのとおなじく、彼らにも文明の性格があり、それから外れることはありません。
中谷さんの「日本は征服されて奴隷になった歴史がないから社会が一体化してる。」との指摘は正しいのです。
学校教科書においてイデオロギー的な影響からそして欧米学問の影響から日本が外国勢力からの侵略から成立した国家であるとの認識を基にした記述がなされてきました。
確かに、外国からの亡命勢力が日本で優遇された事により日本の完全支配を企んだ事はありでしょう。しかしそれらは完全な成功にいたることはなく、彼らはやがて日本社会に馴染んでいってしました。
しかし残念ながら古代からの動乱の負の遺産をいまだに引き摺って完全には解決させていないのが日本社会ではありますが。
いわゆる同和問題(部落問題)がそれであり、過去にはサンカの問題もありました。サンカの問題も本質的解決を得てはいません。
しかし、日本が外国勢力から完全支配を受けた事により奴隷を生み出した経験を経た資本主義社会ではないことは確かなことです。
階級社会と言ってもノルマン人の侵略支配を受けた英国と仏・独などでは大いに違っています。
奴隷化の程度が違うのです。
米国は植民地国家ですから奴隷制は形を変えて活き続けています。奴隷制は支配としては最も効率的であるから支配者には好まれます。
今後の米国の問題解決に採用される政策を予測する上でも欧米階級社会論は必要な知識です。
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