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新しい金融システムの構築を視野に入れた店頭デリバティブ規制の強化(KlugView)2009/05/14 (木) 20:00
5月13日、ガイトナー米財務長官は、デリバティブ(金融派生商品)の規制強化策を発表しました。
具体的には、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)だけでなく、全ての標準的な店頭デリバティブの決済を金融当局が監督する清算機関に原則一元化するとともに、大規模にデリバティブ取引をする金融機関には一定の資本規制を導入します。また、ガイトナー長官は、すべての取引参加者の持ち高に上限を設け、市場操作や詐欺の摘発を強化する考えも示しています。
店頭デリバティブ取引は、金融機関同士の相対取引が多く、取引所取引は株式取引のように盛んではありません。ガイトナー長官の発表内容が実施されれば、デリバティブ取引の動きは、かなり透明化され、かつ、取引参加者は、強引な取引をすればするほど、摘発という名のもと手足を縛られます。
ガイトナー長官を始めとする米金融当局者は、こうした規制を施さないと、店頭デリバティブ取引の規模をコントロールできず、過度に金融システムに刺激を与えることで実体経済に悪影響を及ぼすと判断したのでしょう。
米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が、デリバティブ取引のために事実上の破綻に追い込まれたのは良い例です。今回のデリバティブ規制の動きは、銀行に準備預金という制度を設けることで、行き過ぎた信用創造に歯止めをかけ、実体経済の健全性を保とうとすることと本質は同じといえます。
世界的な金融収縮の流れの中で、店頭デリバティブ取引は、すでに自由を失いつつある状況でした。国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)によると、店頭デリバティブ取引のために差し入れられた担保総額は、2008年に4兆ドル(約390兆円)と、前年比で86%も増加しています。金融危機で取引先の倒産を警戒する動きが強まり、担保を求める動きが強くなったと思われます。
担保の積み増しを迫られるだけでなく、取引が清算機関で一元化され、さらに取引の持ち高に上限が設けられてしまうと、デリバティブ取引で荒稼ぎをしていたトレーダー達は、かなりやりにくくなると思われます。おそらく、店頭デリバティブ取引で派手に動いていたトレーダー達は、もっと動きやすい取引ができるところに移動するのでしょう。
トレーダーの立場からいえば、ガイトナー長官が発表した規制は、自らの収益機会を奪う「暴挙」ともいえます。しかし、行政の役割は、一部の人間のために動くのではなく、国全体を見渡し、できるだけ多くの方にとって望ましい(と思われる)結果になるよう動くことです。市場関係者の間からは、今後、このような規制に対して反対の意見も数多くでるのでしょうが、CDSを始めとする店頭デリバティブ取引の動きが、実体経済に大きな影響を及ぼした以上、規制強化の流れが止まることは当面ないと思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
店頭デリバティブ取引のために差し入れられた担保総額は、
2008年にどれくらいになった?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
4兆ドル(約390兆円)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/05/14/005410.php