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楽観的とすら言える日本政府の成長率見通し(KlugView)
2009/04/28 (火) 19:44
4月27日、政府は、今年度(2009年度)の国内総生産(GDP)成長率見通しを実質マイナス3.3%としました。昨年12月に発表された成長率見通しは、実質ゼロでしたので、大きく下方修正されたことになります。
また昨年度の成長率見通しも、実質マイナス0.8%から同3.1%に下方修正されています。仮に政府見通しの通りとなれば、経済成長率が二年連続マイナスとなり、しかも二年とも成長率が戦後最悪水準のマイナスとなります。
政府は、政府見通しを発表した同じ日に追加経済対策を裏付ける09年度補正予算案を国会に提出しています。補正予算の歳出規模は、過去最大の13.9兆円となり、補正予算案と当初予算を合わせた09年度の一般会計総額は102.5兆円にもなります。これだけ巨額の財政支出を計画するにもかかわらず、昨年度だけでなく今年度(09年度)も成長率が3%以上のマイナスになることに違和感をもたれる方も多いかもしれません。
ただ、昨年度のGDPの推移を見ると、今年度の成長率見通しは、それほど不自然なものとはいえません。やや細かいことですが、昨年度の経済成長率が、年度後半に急速に悪化したために、今年度の経済成長率は、マイナスの「ゲタ」を履いており、これが今年度の経済成長率を引き下げているからです。
ゲタとは、ある一定期間の平均値に対する一定期間の最後の水準の伸び率です。たとえば、昨年度の平均値が100で、昨年度末の値が70の場合、ゲタはマイナス30%(=70%−100%)となります。ただ、こうした考え方はわかりにくいので、新聞などでは、ゲタのことを「発射台」と表現したり、「当初から水準が変わらなかった場合の伸び率」などと表現することもあります。簡単に書けば、ゲタがマイナスのときは、その後の伸び率は低めになりやすい、ということです。
報道によると、今年度の成長率のゲタは、マイナス4%台を見込んでいるそうです。5月20日に発表される今年1-3月期の実質GDP成長率によりますが、エコノミストの予想などを見る限り、ゲタに関して政府の見通しに大きな狂いは起きないでしょう。
ゲタがマイナスの4%台ということは、仮に今年度の実質GDPがずっと横ばいで推移すると、今年度の成長率はマイナス4%台となります。言い換えれば、政府の今年度の見通しがマイナス3.3%ということは、今年度の実質GDPは、3月末より増える、つまり政府は、表面的な成長率はマイナスだが、実質的な意味ではプラス成長する見通しを示したといえます。
ただ、この見通しにはカラクリもあります。政府の見通しでは、前提として、追加経済対策が実施され、その効果で成長率は1.9%押し上げられることになっています。言い換えれば、追加経済対策がなければ、今年度の成長率は5%以上のマイナスとなり、ゲタの効果(マイナス4%台)を考慮しても、日本は、実質的な意味でマイナス成長になってしまうことを暗に示しているのです。
政府見通しが二年連続のマイナスであることから、日本経済の先行きが暗い、という悲観的な論調が出ているようです。ただ、政府の見通しは、追加経済対策の実施という条件付きとはいえ、経済が回復軌道に戻ることを示しています。つまり、政府見通しは、悲観的な内容ではなく、むしろ楽観的なものと言えるのです。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
成長率の「ゲタ」ってどういう意味?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
ある一定期間の平均値に対する一定期間の最後の水準の伸び率。
新聞などでは、ゲタのことを「発射台」と表現したり、
「当初から水準が変わらなかった場合の伸び率」などと表現することもある。
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/04/28/005278.php