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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu190.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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FT紙は、投資家は、出資の50%くらいに解約申し込みをしていると報じて
います。「08年秋で、ヘッジファンドと投資銀行は終わった」のです。
2009年4月21日 火曜日
◆わが国政府の、50兆円枠の株価対策の帰結 4月19日 吉田繁治
http://archive.mag2.com/0000048497/index.html
▼問題になるのは、ヘッジ・ファンドの動き
問題は、日本の株の25%(現在時価で70兆円分)をもつ、米英系のヘッジ・ファンドの動きです。(注)米英と言う理由は、両者がほぼ同じ動きをするからです。世界からマネーを集める世界金融の司令塔は、ウォール街とシティにあります。以降では、あまり知られていないヘッジ・ファンドの動きを、見ます。
■5.ヘッジ・ファンドの動き
ヘッジファンド(約8000本)は、2008年の6月末が、元本出資額のピークであり、合計で$1.9(180兆円)でした。
●この元本に、数倍〜10倍のレバレッジ(商業銀行や投資銀行等からの借金)をかけ、運用資産を1000兆円〜1500兆円に膨らませて、株・証券・社債・国債・穀物・資源・原油・不動産等を、ポートフォリオにし、買っていました。バブル的な価格は、ヘッジ・ファンドが先鞭をつけ、演出したと言っていい。
●2000年代で、米欧の商業銀行と投資銀行大手の、自己資本に対するレバレッジ率(負債倍率)も、10年間も続いた超低金利のため、20倍から30倍へと無理な拡大をしていました。
2008年8月まで、世界のマネー供給は、全開状態だったのです。これを、実体経済を上回る信用膨張(つまり資産価格バブル)と言います。マネーは中央銀行が供給するだけではない。民間金融機関やファンドも、そのレッジで拡大できます。
(注)日本の銀行は預金を融資する商業銀行に当たりますが、米欧では証券と銀行の垣根をなくしたユニーバーサルバンク(総合銀行)になっています。証券の取引が主になっています。
最近、租税逃れのタックスヘブン(租税回避地)の総資金量が、すこし明らかになってきて、総額は$11兆(1045兆円)と言われています。公的集計がなかったヘッジ・ファンドは、カリブ海や太平洋のタックスヘブンや、各地のオフショアを、名目上の本拠地にして、投機しています。
●タックスヘブンの資産額から、ヘッジ・ファンドの、明らかでなかった、レバレッジかけた運用の総額も推計できます。ヘッジ・ファンドは、元本(投資家の出資金)は$1.4兆くらいですが、レバレッジで膨らんだ運用額(投資額)は、その8倍の1000兆円規模でしょう。ヘッジファンドは、その拠点を、運用益に対する各国の課税を逃れるため、タックスヘブンに置きます。
【損失】
これらヘッジ・ファンドの2008年の、元本に対する運用利回りは、株価・資源価格の下落を主因に、平均でマイナス23%くらいでした。当然に、資金を預託する投資家からは、解約が殺到しました。この損失と2008年中の部分解約で、2008年末のヘッジ・ファンドの元本は、$1.4兆(133兆円)に減っています。
●ヘッジ・ファンドへの投資元本が、解約で仮に50兆円減ると、投資額ではその8倍の400兆円余が、株式市場、証券化市場、資源市場、不動産市場、通貨市場が抜けると見ていいでしょう。ヘッジファンドの投資・投機行動は、金融当局の、規制の外にありました。英米の「金融立国論」が、政治に、規制をかけないことを求めたからです。こうした解約申し込みは、世界の市場で、400兆円規模の巨額マネー抜けることを意味します。
後で述べるFT紙は、投資家は、出資の50%くらいに解約申し込みをしていると報じています。自身がクオンタム・ファンド(=ヘッジ・ファンド)を作ったジョージ・ソロスが言うよう、「08年秋で、ヘッジファンドと投資銀行は終わった」のです。
▼ところが・・・ロックアップ条項とゲート条項がある
「ロックアップ条項」とは、契約期間まで、解約できないとする契約です。「ゲート条」とは、仮にロックアップ期間が終わっても、ファンド・マネジャーの裁量で、売れば価格が下がるからと、解約を拒否できる条項です。
多くのヘッジ・ファンドは、ロックアップの契約期間を過ぎても、この「ゲート条項」を盾(たて)に、今は解約を阻止しています。(当然に、その額の公表はない)昨年の12月、ヘッジ・ファンドの元本に対し、100兆円分(約50%)くらいの解約希望が、投資家から出ている恐怖を報じたのは、英FT紙(Financial Times)でした。この恐怖とは、ヘッジ・ファンドが売ることでの、あらゆる市場の、価格下落です。
ところが、解約しようにも、投資していた株価が平均で50%も下げ、住宅証券には値がつかず、資源価格でも原油は$140から$40付近に下落していて、解約に応じることができなかったのです。
(注)今、欧州の、ユニバーサルバンクを通じた、中欧・東欧への投資(総額300兆円規模)のうち、150兆円は回収不能と言われます。金融危機の火種は米国に加え、欧州なっています。
(1)以上をまとめれば、「ヘッジ・ファンドで30%以上の損をした投資家は、解約を申し込みし続けている」
(2)しかし「ファンド・マネジャーが処分売りをすれば、投資したものの価格がもっと下がるからという理由で、ゲート条項を発動している」状況があると言えます。
●更にまとめれば、現在の元本$1.4兆(133兆円)のヘッジ・ファンドは、少なくとも50兆円規模の、強い解約圧力に晒(さら)されています。レバレッジで、金融機関から借りた運用総額では800兆円に相当するでしょう。
■6.50兆円枠で株を買うという政府の愚策は、ヘッジ・ファンドに利益を与えて終わる
以上のような、解約に迫られている状況で、ヘッジ・ファンドは、日本株の時価で、70兆円分(25%)を持ちます。
日本政府は50兆円枠で、
(1)下げれば買い支える、
(2)上げるために買うと表明しています。
こうした買いの手の内を、ガイジン・ヘッジファンドに見せることは、株式投資の世界では愚かです。政府は、政府資金(要は国民のマネー)で愚劣な損をします。結論は、言うまでもないでしょう。
【結論】
今70兆円の日本株をもち、解約を迫られている英米系ヘッジ・ファンドは、政府機関の資金投入で、株が、ある程度持ち上がったというピークを判断し、売りに出るでしょう。売りは、利益を出してあるいは損を少なくして、行うものだからです。
●背景になる理由は、ファンド・マネジャーは「ある程度は、投資元本の回復をして、投資家の解約申込みに応じなければならない」からです。
昨年来の政府は年金資金を11兆円使い、09年4月以降は、政府機関に保証し政府が持ち上げる株価は、いずれ、70兆円の株をもつヘッジ・ファンドから売られ、株を買った政府機関が、損をします。これが結論です。
(注)当然に、政府資金で高くなった株を売る「空売り」を含めてもいい。ヘッジ・ファンド同士で株を借り貸しすれば、空売り規制も逃れることができます。以上のように、政府が手の内を見せた株の買いは、容易に、ヘッジ・ファンドに利益を与えます。
株価下落の損は、政府機関が被りますが、その損を政府が保証すると言うため、政府機関は必要な「投資の吟味」をしません。実に、愚策です。
財務省幹部は、何を、どう考えているのか? 政府機関が株を買うのなら、誰がどう買ったか、分からないように買うべきです。選挙民向けに、50兆円枠での買いを表明してしまったので、後の祭りですが・・・
ヘッジ・ファンドが持つ70兆円の株は、巨額です。10兆円分でも売りに出れば、もともと1日に1.4兆円くらいしかない薄商いの日本市場の株価は、ひとたまりもない。
薄商いの理由は、多くの人が、株を買っていないからです。政府資金を受けた投資信託(元は年金基金)の買いだけが、目立っていた。わが国の個人にも、このヘッジ・ファンドの売りを真似た行動も出るでしょう。
●政府の株買いは、いずれ「終わらざるを得ない」。
政府は、どんなに、損をしても、どんどん買うというわけにはゆきません。公金、つまり政府資金が流失するからです。政府には、説明責任があります。
●ヘッジ・ファンドは、「世界が楽観的になって、株価が上がる時期」を狙っています。実体経済が回復に向かわない限り、株価は上がらないのです。政府策は、一時的なものです。
「政府機関が買って、株価が持ち上がれば、解約を迫られているヘッジ・ファンドに、お土産をつけて、送り出すことにしかならない」
一刻も早く、財務省は、株の買い方で、方針転換をすることです。買うのが、悪いことではない。アナウンスした上での買い方が、株の国際化が進んだ今は、最悪なのです。財務省は、政府は万能と錯覚しているのでしょうか? 相手は、ヘッジ・ファンドです。
●1990年代とは異なります。1990年代は、財務省の株価PKOの相手は、財務省の幹部が頭取に電話をかけて言えば、すぐ従う国内の金融機関でした。そのため、株の買い支えをアナウンスしてもよかったのです。その買い支えによる利益は、国内の金融機関に行きました。今回は、違います。
【結論】
繰り返しますが、今度の政府の相手は、70兆円もの日本株をもつ、ガイジン・ファンド(ヘッジ・ファンド)です。ヘッジ・ファンドの手法は、リスクヘッジであり、市場が高く評価しすぎているものを売り、逆に、低く評価しすぎているものを買うことです。
こうした手法に対し、政府が「50兆円の枠で株価を買い支える」と言うのですから、実に簡単に「高すぎる株」を発見できます。これによってPKOで株に投じた国民の富を、かすめ取られます。
また、世界で、1日の為替市場に投じられる資金量は、数十兆円と言われます。1ヶ月での総計は、おそらく500兆円を超えます。そこでは、政府資金といえども、小さいのです。
【後記】
「日銀しか、大量発行される日本国債の、主な買い手はない。」と世界の金融市場が認識すれば、それは、円の信用下落です。海外ファンドは、円売りに出るでしょう。日本株を売って、円を手にし、米国へ送金すればドル買い・円売りです。
【記憶事項】
(1)なお、日本にある投資銀行を含む外銀の、総資産のピークは07年2月の59.9兆円でした。09年1月にはこれが38.1兆円に減っています。2年で20兆円の引き揚げ(円売り・ドル買い)があったことになります。
(2)海外及びタックス・ヘブン(租税回避地)が本拠の、ガイジン・ファンドは、わが国では、2008年には、10.3兆円の長期債・短期債・株を売り越しています。このうち、株の売り越しは、7.5兆円分です。これが、昨年秋以後の株価下落の主因でした。政府が、4月以後、50兆円枠で株を買うことは、また、ガイジン・ファンドに売り越しの利益を与える機会を作ります。
(3)米欧系の、投資銀行(投資家から預託を受けて投資するヘッジ・ファンドと同じ)は、事実上、消滅しました。今、精算売り(ポジション解消)の機会を狙っているのです。この認識は重要です。
(私のコメント)
昨年9月のリーマンショックから半年以上たっていますが、投資銀行やヘッジファンドで運用されていた資金はレバレッジを効かせて1000兆円以上と想定されています。ところが金融破綻で解約が殺到していますが、ヘッジファンドや投資銀行は解約に応じていないようです。
アメリカの投資銀行やヘッジファンドは世界的な規模で運用してきましたから、その影響も世界的規模になってしまう。FT紙によれば50%もの解約が殺到しているそうですが、金融機関やヘッジファンドは解約払い戻しに応じていない。株式などは換金しやすいのですが下げてしまっては損失が確定してしまうので売るに売れない。
投資銀行が作り上げた金融商品は非常に細分化して複雑な仕組みになっているから清算するのも困難であり、それらの金融商品を市場で売ろうとしても買い手がいないと言う現実がある。ガイトナープランでは政府が資金を出して売れない金融商品を流動化させようというプランですが、高く売れなければ金融機関の損失が大きくなる。
ヘッジファンドにしても情報が公開されていないので見当もつかないのですが、タックスヘイブンで運用されているからなおさら分からない。G20でタックスヘイブンを何とかしようと言うことで決まりましたが、多くが税金逃れの資金であり情報が公開される事を非常に嫌う資金だ。
今まではアメリカやイギリスが金融立国を目指してきたせいもあり、タックスヘイブンに手をつけようとしても米英の金融業界はもちろん反対であり手が出せなかった。しかしアメリカ発の金融破綻で責任追及の声が大きくなり、G20などの国際会議でのタックスヘイブンの情報公開決議で世界中のアングラ資金は大慌てだ。
日本のバブル崩壊もアングラ資金がタックスヘイブンに逃げたからだという説もありますが、日本にも昔は無記名預金や無記名の割引債があってアングラ資金はそこで運用されてきたのですが、規制によって無記名預金や無記名の割引債は無くなって、タックスヘイブンに逃げてしまった。金額にすれば100兆円くらいになるのかもしれない。
日本の資金運用などもタックスヘイブンに資金を預けて、そこから売買されている事が多く日本の税制には引っかからない。情報が公開されないのだから日本の税務署もお手上げであり、税金を払いたくない人はみんなタックスヘイブンに会社を作ったり口座を開いて資金をそこに置いている。
真面目に働いて給料をもらっているサラリーマンには想像もつかない世界ですが、纏まった資金があれば税金も払わずに資金運用で生活している人がたくさんいる。日本で生活していてもヘッジファンドに金を預けて高利回りで運用している法人や個人もたくさんいる。ところが今回の金融危機でそのようなところが軒並みやられてしまった。駒澤大学や早稲田大学など100億円以上もの損失を出しましたが、投資銀行で運用していたからだ。
私などもアメリカの投資銀行が高利回り運用出来るのか、金融工学という秘法でもあるのかと思いましたが、アメリカ政府ぐるみでインサイダー取引をやっていたら、思い切った投資も出来るでしょう。CIAなどは冷戦の崩壊で仕事が無くなり経済スパイとして情報を集めてきた。日米の経済交渉でもCIAが通信を傍受して情報が筒抜けでは勝敗は目に見えている。
アメリカ政府の国家政策とゴールドマンサックスなどの経営戦略とは一致しており、BRICSへの投資は金融で世界を支配しようという目標に沿ったものだ。1997年のアジア金融危機ではタイやインドネシアや韓国などが餌食となり外資によって買収されてしまった。日本に対してもその触手は確実に伸びてきており、三角合併でやられるところだった。
日本の株式の25%がヘッジファンドで運用されていますが、処分されたのは一部に過ぎない。時価総額にして70兆円ほどになりますが、高くなれば売り浴びせてくると見るべきでしょう。不動産投資も売れるものは全部売りたい状況なのでしょうが、日本のミニバブルも弾けてしまった。
中国やインドやブラジルなどへの新興国への投資は金融立国アメリカの金融投資戦略であり、中国やインドの経済的発展はアメリカへの金融収益をもたらすものだ。中国に溜まった巨額なドル資金もアメリカに還流して再投資に回される。まさに金融立国アメリカの繁栄はゴールドマンサックスとともに続くと思われてきた。それがあっけなく破綻したのは彼らの強欲の為であり、ヘンリーカ・ウフマン氏が言うように金融は経済の補佐役に過ぎない。
アメリカの金融と中国の製造業が組み合わされれば、まさにG2体制そのものであり、中国の巨大な人的な資源がアメリカの繁栄を支える原動力になるかと思われた。日本の製造業も中国への資本や技術の移転が行なわれて、アメリカの国家戦略を支えるような形となった。しかし今やアメリカの金融は破局を迎えており、中国の製造業も壁に突き当たって失業者が爆発的に増えている。
まさに米中の抱き合い心中状態ですが、日本はこれに巻き込まれてはならない。ヘッジファンドは運用資産を1000兆円〜1500兆円に膨らませて、株・証券・社債・国債・穀物・資源・原油・不動産等を、ポートフォリオにし、買っていました。それらは解約の嵐に見舞われており、政府や中央銀行が買い支えている。少し状況が良くなってもこれらの債務を解消するには日本のように20年以上もの時間を要するだろう。