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ケインズ流、涙の結末 バーナンキ政策で「70年代再来」?
2009/4/17
バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、ノーベル経済学賞を受賞した米経済学者ミルトン・フリードマン氏ではなく、英経済学者ジョン・メイナード・ケインズ氏の考えを支持し、金融システムに大量の資金を供給している。
FRB史の著作があるカーネギー・メロン大学のアラン・メルツァー政治経済学教授は、過去の例からみて、バーナンキ議長の取り組みが涙の結末を迎えると指摘。インフレ率は「1970年代を上回る水準に上昇するだろう」との見通しを示した。70年代末の消費者物価指数(CPI)伸び率は、前年比ベースで13.3%に達した。
◆2けたのインフレ
25年ぶりの高水準にある失業率と、過去最低水準にある設備稼働率がインフレを抑制するというバーナンキ議長の賭けは、ケインズ氏の学説をそのまま反映したものだ。
これに反し、インフレは常にどの国でもマネー拡大がもたらす金融の現象というフリードマン氏の学説の正しさが証明されれば、バランスシート(貸借対照表)を膨らませて金融システムに1兆ドル(約99兆円)超の資金を供給したバーナンキ議長の取り組みは、消費者物価の大幅な上昇を招く恐れがある。
一方、これまでのところ投資家と経済指標は、バーナンキ・ケインズ組を支持しているようだ。
4月6日現在、インフレ連動国債(TIPS)を基にした長期インフレ率見通しは2.5%と、過去10年間の平均(2.8%)を下回った。
バーナンキ議長の取り組みが高インフレの再来につながるとみているのは、メルツァー氏だけではない。
米ヘッジファンド「アーマード・ウルフ」のCIO(最高投資責任者)を務めるジョン・ブリンジョルフソン氏は6日、FRBの資金供給の取り組みはまだ始まったばかりだと指摘。野球をたとえ話に「少なくとも今後9イニングはリフレーション(通貨膨張)が続く。最終的には恐らく2けたのインフレが待っているだろう」との見通しを語った。
◆膨らむ通貨供給量
投資家もTIPSを買って物価上昇リスクに備え始めている。メリルリンチの指数データによると、TIPSは3月の投資リターンが6.1%と、1997年の導入以降の最高を記録した。
投資家が警戒心を募らせる理由として、FRBのバランスシートが過去1年間で1兆2000億ドル分増加し、2兆900億ドル規模へと拡大したことで、国内のマネーサプライ(通貨供給量)が増加したことが挙げられる。FRBは先月、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)などを1兆1500億ドル買い取る方針も明らかにしており、供給量はさらに拡大する見込みだ。
マネーサプライの指標の一つであるM2(現金通貨+預金通貨+準通貨)は過去6カ月間で年率14%増加した。過去10年間は平均して6.3%増だった。
カーネギー・メロン大学のメルツァー教授は、景気が回復しても、政治的な圧力によって、バーナンキ議長や同僚の政策立案者らによる素早い流動性の吸収が妨げられるのではないかとの見方を示す。同様のことが70年代にも起こっている。当時のアーサー・バーンズFRB議長は、ニクソン大統領からの失業率抑制の圧力に抵抗できなかったか、あるいは、抵抗する気がなかったため、過度なマネーサプライの拡大を許した。そのことが、70年代の高インフレ時代につながった。(Rich Miller)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200904170020a.nwc