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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu189.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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麻生首相は、自民党本部でカツカレーを食べながらサルコジ仏大統領を
ボコった武勇伝を披露した。ロンドン会合でもメルケル独首相をボコった。
2009年4月11日 土曜日
◆【ドル帝国溶解】(上)新決済通貨「SDR」 中国提案に米は狼狽 4月9日 田村秀男
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/989669/
「ドル帝国」が揺らいでいる。19世紀の大英帝国は、植民地・南アフリカの豊富な金資源をもとにポンドによる世界帝国を築いたが、ドイツなど新興国の挑戦で弱体化した揚げ句、米国に世界の覇権の座を譲った。ただ、新秩序移行までは2度の世界大戦、その間の大恐慌という大災厄を経なければならなかった。今、二の舞いを避けるためだろうか、浮上しているのがドル溶解案である。ロンドンで開かれた主要20カ国・地域(G20)の金融サミット(首脳会合)を機に事態は動き出した。
ドルを多国通貨と混ぜて溶かし込み、新たな合成通貨をつくったらどうか−。口火を切ったのは、中国人民銀行の周小川総裁である。周氏はロンドン・サミット前に「主権国家と無縁な通貨をドルに代わる貿易・金融取引の決済手段とするのが理想」という論文を発表した。
この新決済通貨とは国際通貨基金(IMF)が発行する「特別引き出し権(SDR)」を指す。ドルや円は米国や日本の政府が保証するが、IMFが発行して各通貨との交換権利を約束するのがSDRである。SDRの交換レートはドル、円、ユーロ、英ポンドの4通貨の相場を総合して決めており、ドルが下落しても円やユーロの上昇で相殺されて価値は下がらない。
この主張にオバマ政権は狼狽(ろうばい)した。周氏の背後には「脱ドル」に方向転換する共産党中央、いや胡錦濤総書記・国家主席がいるはずだ。周氏は親米派の市場重視派とみなされ、本来はドル基軸体制擁護派の胡総書記に取り入ってきた。
それだけにオバマ大統領は論文が伝わった3月24日、ドルに代わる新たな国際通貨の創設は「必要ない」と否定。ガイトナー米財務長官もその翌日、「米ドルは依然として世界の基軸通貨であり、長期間にわたってそうあり続ける」と強調した。
ドル換算で約2兆ドルの外貨準備を保有する中国のドル総資産は、米国債を中心に一兆数千億ドルに上るとみられる。世界最大の米国債保有国であり、米金融市場の安定の鍵を握る。昨年8月、米連邦住宅金融公社2社の株価が急落したとき、ブッシュ前政権はただちに2社を政府管理下に置いたが、それは「2社の債券を大量に持つ中国への配慮だった」(サマーズ国家経済会議委員長)という。
クリントン国務長官は先の訪中時に、胡総書記に対し、中国の米国債購入継続を「評価する」とわざわざ言及し、中国の人権侵害は口にしなかった。ワシントンでは中国を取り込もうと、「米中G2」論が相次ぐほどだ。
北京の独立系エコノミストの仲大軍氏によれば、中国国内では暴落するリスクが高まっているドル資産を大量に持たされる現状について、「中国は米国に拉致されたのも同然だ」との不満が高まっているという。だが、ドル債急落の引き金を引いて国富を喪失するのはまずい。結局は「ドルに代わる基軸通貨はただちにはないが、基軸通貨の役割が小さくなる漸進的な移行過程に入った」(中国社会科学院国際研究部の張蘊嶺主任)と判断するしかない。このためか胡国家主席はG20の場で「主要準備通貨の為替相場の安定性維持と、多様な国際通貨制度の開発が必要だ」と発言し、具体的なSDR代替案への言及は避けた。
オバマ政権は時間稼ぎになると踏んでいるのだろう。「SDRの役割拡充に向けた検討は排除しない」(ガイトナー長官)とし、米国の支配力が強いIMF内部での論議にまかせる算段だ。
しかし、ドル体制を溶かそうとするエネルギーの封印は解かれた。欧州、ロシア、産油国とマグマは動いている。(編集委員 田村秀男)
◆【ドル帝国溶解】(中)独仏の迂回作戦 「租税回避地」狙い撃ち 4月10日 田村秀男
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/989670/
紙幣を乱発すれば価値を失い、国家は破滅的打撃を受けるという経済学の常識は米国には通用しない。
米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年9月に勃発(ぼっぱつ)した金融危機に対応するため、わずか4カ月で一挙に平時なら十数年もかかる追加資金供給に踏み切った。同時にゼロ寸前まで金利を引き下げたがドル相場は安定し、インフレ懸念もない。
原油など国際商品や金融資産の大半はドルで取引されている。金融商品に投資していた欧州の金融機関が危機後、清算しようとしたらドルが払底し、欧州各国は米国に頭を下げてドル資金を融通してもらうしかなかった。商品市場からもドルが消え、原油相場は暴落、産油国ロシアからは投資資金が逃げ出した。
金融危機までは、ドイツやフランスは欧州統一通貨「ユーロ」圏を拡張したが、危機の波及でユーロ圏から脱落する国が出そうな情勢になった。ロシアのプーチン首相はルーブル建ての石油輸出の準備を進めてきたが、今やその野望も吹き飛んだ。
米国発金融危機のもう一つの側面は、挑戦者の意気をくじく米国の「焦土作戦」とも映る。米国自体、大量の失業者を抱え、大手金融機関や大手自動車3社の経営危機に見舞われているが、同時に基軸通貨ドルの威力を見せつけた。
これに対し、フランスのサルコジ大統領は怒り、危機打開のためにワシントンで開かれた昨年11月の第1回20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で「米ドルはもはや世界の基軸通貨ではない」とぶち上げたが、あえなく不発に終わった。
今月2日にロンドンで開かれた第2回サミット前夜、サルコジ大統領はメルケル独首相と長電話し、金融規制の強化要求で一致した。最も重視したのが、「租税回避地(タックスヘイブン)」への監督・規制強化である。米議会でも課税逃れする企業や金融機関が問題視され、オバマ大統領も同意したことで独仏案はほぼ全面的に通った。
ドルに代わる基軸通貨の検討を促した中国の胡錦濤国家主席やロシアのメドべージェフ大統領に比べると地味だが、周到に熟慮を重ねた上での独仏連合の対米本土迂回(うかい)作戦である。
タックスヘイブンとは何か。主に英国領ケイマン諸島などカリブ海のリゾート地なのだが、超低税率を餌に世界の企業や金融機関、投資家の本社を帳簿上受け入れている。
米国の金融機関の利用が活発化した契機は、2001年の「9・11」米中枢同時テロ後に制定された「愛国者法」である。愛国者法はテロ資金の監視強化を定めたが、中東産油国や中国の資本家など身元を知られるのを嫌う者が拠点をロンドンとケイマン諸島など英領に一斉に移した。世界の余剰資金はこれらの地域を経由し、米国のヘッジファンドや金融機関の投資ファンドに流入。米財務省統計によれば、昨年9月末で米金融機関の対外負債の4割、約180兆円がカリブ海にある。
その米金融機関は住宅ローン債権などをベースにした証券化商品や金融派生商品を大量発行し、米欧を中心に販売した。タックスヘイブンはドルの信用を増殖させる米金融資本の巣窟(そうくつ)になっている。これらを厳しく取り締まれば、ドルの金融パワーは大きくそがれる。ケイマンに直結しているロンドンからユーロ関連の金融取引シェアを奪回できる。独仏連合はオバマ政権を欧州の規制の土俵に呼び込めば、焦土作戦に巻き込まれなくて済むと踏んだのだろう。米欧間の国際通貨の主導権争いはこれから本番を迎える。(編集委員 田村秀男)
◆【ドル帝国溶解】(下)アジア共通通貨構想 限界に来た日米G2 4月11日 田村秀男
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/989673/
日米同盟の礎を築いた祖父・吉田茂の遺伝子なのか、麻生太郎首相の対米協調の決意は並ではない。ロンドンでの第2回金融サミット(首脳会合)を控えた先月、麻生首相は自民党本部でカツカレーを食べながら「サルコジ仏大統領をボコった武勇伝を披露した」(田村耕太郎参院議員のブログ)。ロンドン会合でも「メルケル独首相をボコった」(同)。サルコジ大統領は昨年11月、ワシントンでの初回サミットで基軸通貨ドルをおとしめ、メルケル首相は米国からの財政出動要請に反撃していた。
麻生首相が独仏の抵抗に危機感を抱いた背景には過去の苦い教訓がある。ドル安を加速させた1985年9月の「プラザ合意」当時は黒字国の日本とドイツ(当時の西ドイツ)が協調していたが、ドイツが金利を引き上げ、対米金融協調で「ノー」と言った途端に起きたのが87年10月の株価の大暴落「ブラックマンデー」だった。結局、ジャパンマネーが米市場を支えたが、日本はバブルを呼び込んだ。
90年代の米民主党クリントン政権は日本に黒字減らしを強要した半面で、IT(情報技術)革命を起こし、世界の投資家を引き付けた。ブッシュ前政権は日本からの超低利資金を住宅ブームと重ね、証券化商品、金融派生商品(デリバティブ)により天文学的規模でドル信用を増殖させたが、バブルとなって崩壊したのが、現在起こっている未曾有の金融危機である。米国内総生産(GDP)の2倍以上もあるとみられる問題金融資産の処理にどれだけの年数がかかるかメドが立たない。
黒字国の出番だと思いがちだが、麻生首相がいくら力んでも日本はデフレ不況と高齢化の進行で所得は減り続けている。貯蓄率が急落し、倹約意識に目覚めた米国に逆転されかねない。
対照的に、高い貯蓄率を維持する中国は昨年9月、日本を抜いて世界最大の米国債保有国となった。日本は米国債保有をむしろ減らしている。その中国も「ドル債暴落」を恐れ始めている。利にさとい中東産油国も対米投資に腰を引く。
独仏にとっては日本の批判はさておき、周辺国を共通通貨「ユーロ」圏に取り込む好機である。旧東欧はユーロに加盟しようと自国通貨を切り上げる。するとドイツの対外資産はユーロ換算でかさ上げされる。今年ユーロに加盟したスロバキアの通貨は3年間で24%切り上がった。隣国のチェコも加盟に向け通貨切り上げに躍起だ。
ユーロ圏に入ればドイツ企業はそこで為替変動リスクに煩わされず、低コストで製品を現地生産し、ドイツ国内と同じ価格で売って高収益を挙げられる。決済通貨ユーロの普及で日本企業のようにドル相場の下落で巨額の損失を被ることがないし、日本のようにデフレ病にかかることもない。政府がエコカーへの購入補助など消費者の背中を押すだけで成果を挙げている。
ユーロをモデルに浮上しているのが「アジア共通通貨単位(ACU)」構想である。ACUは参加国通貨を混ぜ合わせて仮想通貨をつくる試みだが、円、人民元、韓国ウォンの主要3通貨間の比重すら決まっていない。中国は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の国際決済通貨化を軸に、ドル、ユーロを超越した第3の国際通貨構想を練っている。河合正弘アジア開発銀行研究所所長は「SDRとACUは共存できるはず」とし、ドル基軸後に向け、中国、韓国、インド、東南アジアとの調整を促す。
対米協調は堅持しても、円がドルを支える日米G2の限界をあらわにしたのが今回の金融危機だ。日本は多様な選択肢を持つときがきたのだ。(編集委員 田村秀男)
(私のコメント)
アメリカのドル帝国の座は1970年代から揺らいできたのですが、それは日本やヨーロッパ各国が戦災で大きなダメージを負った為であり、日本やヨーロッパが復興してくると、アメリカ経済の一人勝ちは出来なくなった。特にヨーロッパにおける二度の大戦は、ヨーロッパから資本や技術や人材をアメリカに移す原動力になった。
しかし戦後の平和が60年も続けば日本やヨーロッパの工業力も復活して、他の新興国も世界市場に参入してきた。70年代から90年代はドル帝国を脅かす存在は日本の円ぐらいだったから、日本に対しては構造協議などで手かせ足かせをして日本叩きをしていればよかったのですが、1999年にユーロが登場してドル帝国の座を脅かすようになった。
フランスのサルコジ大統領は「もはやドルの時代は終わった」と演説するまでになりましたが、アメリカが仕掛けた二度にわたるヨーロッパの大戦に対する恨みは大きい。ヒトラーを登場させたのもアメリカの資本家たちであり、資本家にとっては戦争は莫大な利益をもたらす。しかし核兵器の登場は20回世界を全滅させるだけの威力があり、世界規模の戦争は出来なくなった。
アメリカは朝鮮戦争やベトナム戦争などのような地域戦争しか出来なくなり、戦争でアメリカの国力を維持する事は出来なくなってきた。アメリカの経済力が陰りが出てきたのでアメリカは金融で世界支配を目論みましたが、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなどの投資銀行は17世紀の東インド会社を思わせるような国策企業でありアメリカ帝国を支えてきた。
現在もドルが国際決済通貨であり、ドルの一元的な決済機能がないと貿易そのものが出来なくなり、イランや北朝鮮はそこから弾き出されてローカルな決済しか出来なくなってしまった。ドルが暴落するよりもドルが奪い合いになっているのは、今までのファンドの投資を解約清算するにはドルが無いと出来ない為だ。しかし新興国への投資は多くが焦げ付いてしまって回収が難しい。
アメリカの大手銀行が抱えている不良債権も、CDOやCDSなどを清算しようとしても細分化された債権はどのように処理がなされるのだろうか? さらにはタックスヘイブンで運用されていた金融商品は欧米の政府が手を出せるのだろうか? G20ではタックスヘイブンに対する規制が決められましたが、税金逃れにタックスヘイブンを利用する事が難しくなるだろう。
このような闇資金も多くがドルであり、慌ててタックスヘイブンから他に持ち出そうにもドルが必要だ。日本から出て行った闇資金もタックスヘイブンで運用されてきましたが、規制がかけられて税務署の調査が入るようになれば、再び日本に戻ってこざるを得なくなるだろう。その為に闇資金をマネーロンダリングするには株式市場が一番であり、八百長博打みたいにして表に出すようになるだろう。
アメリカの投資銀行はタックスヘイブンを利用して税金を払わずに資産運用して儲けてきましたが、規制がかかるようになれば今までのようなやりたい放題は出来なくなる。アメリカの投資銀行は銀行ではないので自己資本に関わらず30倍ものレバレッジをかけた運用で大きな利益を稼いで税金も払ってこなかった。
このような国際的な脱税行為は外資系投資銀行の独壇場であり、日本国内の投資資金の多くがそれらの金融機関に流れて行ってしまった。だから90年代から日本の不動産や株式は売られて欧米の株や不動産が買われる様になったのは、外資系投資銀行とタックスヘイブンが関係している。
G20の会議でタックスヘイブンの規制が決められて以来、4月に入っても日本の株式が意外と堅調なのも、タックスヘイブンに資金を置いていても税金や規制がかけられるのならば日本に資金を戻そうと言う事なのだろう。サブプライム問題から起きた世界的な金融危機はカネでカネを稼ぐことには限界があるということであり、デリバティブ商品開発ではカモがいなくなればネズミ講のように破綻するしかない。
金融でマネーを膨らませていくにしても、実物経済の4倍程度が限度であり、アメリカのように実物経済の10倍にも膨らんだマネーの利子は実物経済の規模では払いきれなくなるのは当然の理屈だ。その差は負債となって残るわけですが、働いて返すか意図的にインフレを起こして返すしかないだろう。インフレというのは国民全体にかかる税金のようなものだ。
日本人は辛抱強く20年かけてバブルの清算をしてきましたが、アメリカはGDPの二倍もあるような問題金融資産の処理に数十年もかけて返済していくことに耐えられるだろうか? 日本や中国などの対外債務はデフォルトで踏み倒すことは可能ですが、国内的にはハイパーインフレになる。こうなるとドルは基軸通貨でも国際決済通貨でもなくなり、新たなる国際通貨が必要になる。