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借金頼みの経済対策 将来に禍根を残さないか(西日本新聞)
2009年4月10日 00:11 カテゴリー:政治
腹ぺこで入った食堂。すぐエネルギーになるうどんを注文したのに、頼んでもいない肉料理や魚料理がどんどん出てくる。全部平らげたらどうなるか。代金は締めて15兆円‐。
与党の追加経済対策がまとまった。2009年度補正予算は15兆円だが、財源がなく、国債の追加発行額は10兆円に上るとみられる。首相自ら「借金王」と称した小渕恵三政権と同じような借金頼みの財政出動は、将来に禍根を残すのではないかと思う。
まず中身がお寒い。目玉である省エネ家電やエコカーへの買い替え補助は、急激な輸出の落ち込みに苦しむ「産業支援」そのものだ。海外の需要減を内需で肩代わりさせる「時間稼ぎ」の先にどんな展望があるのか。エコノミストには「単なる需要の先食い」と冷めた見方が少なくない。
公共事業、社会保障、農業分野の多くは筋の悪い「便乗」だ。省庁と族議員が当初予算から漏れた事業を「復活」させたというのが実態で、景気刺激策とはほとんど関係がない。当初予算の事業費を単に積み増しただけの転作奨励制度や耕作放棄地対策はその典型だろう。
がん検診の自己負担免除や介護施設整備の助成なども便乗と言わざるを得ない。高速道路、港湾、空港、整備新幹線の整備促進は、公共事業の意義を説く決まり文句である「競争力強化の基盤整備」として盛り込まれた。
見逃せないのは、これで社会保障費の伸びを2200億円抑制し公共事業を5%カットした当初予算が完全に形骸(けいがい)化することだ。昨年末の予算編成時に「どうせすぐ補正がある」と、声を潜めていた与党幹部の読みは当たった。財政健全化を基本とした構造改革路線の転換を意味する施策が、何の議論もないまま平然と潜り込んでいる。
補正予算により、09年度一般会計は史上初めて100兆円を超える。「臨時異例の措置」はいずれ元に戻さなければならないが、手当てした社会保障を絞り、いったん始めた公共事業を止めることができるのだろうか。
空腹に任せた「先食い」のツケを払うのは私たちであり、その子孫である。
(東京報道部・植田祐一)
=2009/04/10付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/88532