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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu189.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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武田薬品、ソニーや三菱商事、三井物産、マツダなども追徴課税され
ているが、いずれもタックスヘイブン絡みの脱税的行為と判断された。
2009年4月7日 火曜日
◆明るみになる大富豪への脱税指南 4月7日 日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090406/191100/?P=1
先週閉幕したG20(20カ国・地域)首脳会合(金融サミット)は、脱税の温床とされるタックスヘイブン(租税回避地)の監督強化で合意した。G20と時期を同じくしてOECD(経済協力開発機構)は透明性で問題点のあるタックスヘイブンを新たに公表した。
国際的に合意された税務情報の交換の基準に従っていない、いわゆるブラックリストに掲載された国及び地域にはコスタリカ、フィリピン、マレーシアのラブアン島、ウルグアイの4カ所が掲載された。
また基準に従っているが導入面でまだ課題のある、いわゆるグレーリストに掲載されたタックスヘイブンはリヒテンシュタインやモナコ、オランダなど30、さらにその他の金融センターとしてオーストリアやチリ、シンガポール、スイスなど8カ所が挙げられた。
秘密のベールを破り始めた2つの事件
G20でも問題視されたタックスヘイブンは、前回の記事で紹介したようにタックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)の代表、ジョン・クリステンセンによれば11兆5000億ドル(約1100兆円)の個人資産を持つ。
タックスヘイブンがこれだけの富をかき集めてきた裏には、世界中の富豪が脱税目的で保有する隠し口座との関係を取り沙汰されている。しかし、OECDが問題視してきたように、情報開示に非協力的な彼らの姿勢から、その実態は分厚い秘密のベールに包まれてきた。ところが、そんな状況を一変させるかもしれない大きな事件が、2008年に2つ起きたのだ。
1つは2008年2月に起きた事件だ。これはタックスヘイブンで悪名高いリヒテンシュタインのLGT銀行の元従業員でデータ入力係のハインリッヒ・キーベルが1400人ほどのクライアントの情報をDVDに入れて盗み、数カ国の当局に売った事件だ。各国の当局はそれぞれ数億円の報酬を払ったと言われている。
これによってドイツ当局は600〜700人の顧客情報を入手し、それを基に2008年2月14日にビジネス界の大物などを脱税で起訴した。さらにその1週間後には、米内国歳入庁(IRS)は150人の米国人の脱税調査に入った。
これと同時に英国、イタリア、フランス、スペイン、オーストラリアも米国にならい、次々と脱税調査に入った。現在、キーベルは逃走中だが、元CIA(米中央情報局)要員の知人は「南米に潜んでいると聞いている」と言う。
(中略)
米顧客の約4万7000人が米国で納税していない
事件は先に述べたように今年2月18日に、UBSが米当局の求めに応じて、285人の顧客の口座情報を提供して一段落したかのようだが、そうはいかなかった。それから1週間もしないうちに、数十人の米国人顧客が、スイスの銀行機密法を破ったとしてUBSを訴えたのだ。一方、米司法省は、約5万2000人(昨年推定の1万9000人から増加)の米国人すべての口座記録を提出するように要求している。
今年3月4日に上院の国土安全保障・政府問題委員会で開かれた「タックスヘイブン銀行と米国の租税順守」に関する公聴会で、先の上院議員、レビンはこう述べた。
「他の国は、脱税に目をつぶり、タックスヘイブンにある金融機関が、その脱税から利益を得ることを許しているオフショア・タックスヘイブンにうんざりしている」
先の恒久調査小委員会で証言したマーク・ブランソンは、UBSにある口座で米国の税金を払っていない米国人は約4万7000人いる、と証言している。一方、IRSのダグラス・シャルマン長官は、同じ場で「オバマ政権は、オフショアの税金の悪用に対し、積極的な行動を取ると確約している。裕福な個人がオフショアを利用して、処罰を受けないで脱税する環境を許すわけにはいかない」と強調した。
提供口座情報を基に脱税会計士を逮捕
シャルマン長官の厳しい姿勢を示すかのように、金融サミットが開催された4月2日、米政府はUBS事件で提出させた個人口座情報を基に、スティーブン・マイケル・ルービンスタインというフロリダの会計士を逮捕し、起訴した。容疑は2007年に虚偽の税務申告をしたこと。
起訴状によると、ルービンスタインはUBS主催のアートイベントでUBSのバンカーと定期的に会っていたという。彼は税金逃れをするために、保有するUBSの口座からモナコにある別の口座に移し、さらに英領バージン諸島にあるペーパー会社を経由して、米国に環流させていた。TJNのクリステンセンによれば、まさに典型的な脱税方法だった。
このUBS事件は、米国人の脱税摘発のみならず、スイスの根幹とも言える銀行機密法の終焉にまで発展するのか。クリステンセンは「歴史的な変遷の時期がついに来た。機密法はいずれ過去のものとなるだろう」と自信を見せる。
◆G20のターゲットはタックスヘイブンだ 4月2日 永田町異聞
http://ameblo.jp/aratakyo/entry-10234984994.html
今日からロンドンで始まるG20サミットの隠れたメインテーマは、タックスヘイブン(租税回避地)対策だろう。
表向きの議題である金融や財政出動については、参加各国の思惑の違いがあり、足並みをそろえるのはむずかしい。その一方で、G20メンバーではないスイスやカリブ海諸国などのタックスヘイブンをやり玉にあげ、巨額の税収奪還をはかりたいという思いは共通しているようだ。
グローバル経済のなかで企業が国際化し、各国間で法人税の奪い合いが起きているのは周知の通りだ。企業は、税金の安い国に納税し、資金をため込んで国際競争に勝ち抜こうとする。
これに対して、不況の深刻化による税収不足に悩む各国は、企業からタックスヘイブンに移転されるカネを奪い返すのに躍起になり始めた。たとえば、守秘義務厳守で知られる「スイス銀行」に対する米国の強硬姿勢だ。
大手銀行UBSが米国人顧客のために組織的な脱税工作をしていたことがわかり、米捜査当局が米国免許取り消しをちらつかせて顧客の資料を要求、さすがのUBSもこれには逆らえず、情報を提供した。「スイス銀行」の力の源泉ともいえる守秘義務に風穴があけられた瞬間だった。
タックスヘイブンによって、米国が取り損なっている税金は毎年、1000億ドルにのぼるとみられ、オバマ大統領も上院議員時代からこの問題に積極的に取り組んできている。
タックスヘイブンとは、企業や富裕層への税率が低い国で、有名なところではカリブ海のケイマン諸島、スイス、モナコ、シンガポール、リヒテンシュタインなどがある。これらの国に本社を移すか、子会社をつくって利益を移し替えるなどの方法で、数々の有名企業が税金を逃れているのが現実だ。
日本では、株式の50%超を日本居住者または日本企業が所有するペーパーカンパニーとみなせば、海外所得にも課税されるが、その税法の抜け穴を見つけて、巧妙に大企業がタックスヘイブンを利用してきたことがわかっている。
2006年、大阪国税局が武田薬品に1223億円の申告漏れを指摘、ソニーや三菱商事、三井物産、マツダなども追徴課税されているが、いずれもタックスヘイブン絡みの脱税的行為と判断されたわけである。
タックスヘイブンは、低い税金を設定して外国企業や大富豪のマネーを集め、マネーロンダリングの温床にもなっているが、流入したカネで辛うじて国家を維持している小国が多いという点で、問題は単純ではない。しかも、グローバル競争下における、企業の成長システムとして組み込まれてしまっている面もないとはいえない。
それでも、G20に集う各国首脳は景気刺激や金融危機対応などで巨額の財政支出を強いられており、これまでのようにタックスヘイブン問題に対して悠長な構えではいられない。
今朝の各紙は当然のことながら、G20が財政出動、金融規制監督強化、保護主義防止などでどれだけ協調できるかを注視する論説を展開しているが、「本質的な対応策を協議する準備はできていないように思われる」(田中直毅)という専門家の冷めた見方もある。
財政出動やファンド監視について米国と欧州各国の温度差が指摘されるなど、G20の成果に暗雲が垂れ込めるなか、タックスヘイブンへの圧力強化だけは明確な姿勢が打ち出されそうな気配だ。 (敬称略)
(私のコメント)
日本を代表するような大企業がタックスヘイブンを利用して脱税しているようですが、テレビなどではこのようなニュースはあまり報道されないようだ。その反面では竹中平蔵などが盛んにテレビに出ては日本の法人税が高すぎると主張している。海外に子会社を持つような大企業ともなればタックスヘイブンの子会社に利益を集めて脱税したくなる気持ちもわかりますが、個人や零細企業などはこのような脱税は難しい。
小泉純一郎や竹中平蔵は外資から貰ったワイロをスイス銀行に隠しているといわれますが、G20の会議によればタックスヘイブンを利用した隠し財産の秘密はだんだん守られなくなりつつあります。スイスなどの小さな国ではこれといった産業もないから昔から金融立国で銀行業が主要な産業となってきた。シンガポールなどもそうでしょう。
しかしアメリカ発の国際金融危機で、世界の金融機関は大きな損失を抱えるようになり、各国政府資金によって救済されるようになり、その代償として認められてきた特権が剥奪されてくるようになりました。銀行経営幹部の高額なボ−ナスも批判を浴びて返上させられるようになりました。
タックスヘイブンを利用した脱税行為も今までは見逃されてきましたが、世界主要経済国にとってはタックスヘイブンの存在を認めることはできないと言うことで意見は一致している。G20会議にはいわゆるバナナ共和国は参加していないから話はまとめやすい。アメリカやイギリスなどの経済大国も金融立国を経済戦略としてきましたが、投資銀行などの国策企業が破綻したりして金融立国戦略の破綻がはっきりしたから、再びもとの産業立国に戻りつつある。
アメリカもドルという基軸通貨の特権を利用してドル札を刷り散らかして世界から物を買ってきた。アメリカ国民もサブプライムローンやクレジットカードローンを利用して物を買いまくってきましたが、今やその流れは逆流しつつあります。バーナンキFRB議長などはヘリコプターマネーでインフレを発生させて国や国民の債務の縮小を図ろうとしていますが、それは上手く行くだろうか?
だからアメリカのインフレを見越して金や石油などが買われましたが、実際に起きているのはドル高と超低金利などのデフレ経済だ。それだけ信用収縮の規模が大きく、政府やFRBがいくら大盤振る舞いをしてもインフレにならない。これは日本でも90年代から起きている現象なのですが、信用がいったん毀損されると信用の回復はなかなか難しい。
その結果主要各国は税収も落ち込んで、大企業や資産家がタックスヘイブンに隠しこんだ資産に税の網をかぶせなければならなくなった。「株式日記」では累進所得税の復活を主張していますが、大企業も個人の資産家もタックスヘイブンに資産を移して租税を回避している。竹中平蔵やホリエモンたちは税が高くなれば海外に行ってしまうと主張していますが、タックスヘイブンにも税の網が被さるようになれば海外に逃げても同じ事だ。
バナナ共和国や新興国などでは海外からの投資を呼び込むために税金を安くしたり金利を高くしたりして呼び込んできましたが、金融立国のアイスランドの破綻を見れば分かるようにタックスヘイブンとしての国家戦略はいったん破綻すると実体経済がないだけに救いようがなくなってしまう。
タックスヘイブンの規制を強めてしまうと、スイスやシンガポールなどの金融立国はまさに命取りになりかねないのですが、G20などへの協力もしなければならない。日本でも多くの大企業や資産家等がタックスヘイブンを利用していますが、住居を香港やシンガポールなどに移している人もたくさんいる。半分以上そちらで生活して半分近くは日本で生活すれば税金は日本に払わないし、香港は15%の税率だから安くて済むからだ。
しかしタックスヘイブンへの規制が強くなれば、実質的に日本で稼いでいれば日本の税金が適用されるようになるだろう。オランダなどもタックスヘイブン並みの税制で企業を呼び込んでいますが、リップルウッドなどは日本で2000億円の利益を稼いでもオランダに会社があるから日本には全く税金は払わなかった。
G20の経済規模は世界のGDPの80%だから、残りの180ヶ国は20%の経済規模しかない小国ばかりだ。だから金融で食って行くしかないわけですが、税金逃れにタックスヘイブンを使うことは難しくなっていくだろう。日本の税率が40%でタックスヘイブンが10%の税金でも10%の税金を納めれば済むのではなく残りの30%は日本に税金を納めさせられるだろう。だから国籍でも変えるしか方法は無くなる。
企業にしても同じで、タックスヘイブンの子会社に利益を隠しても連結決算でまとめて税金を収めさせられるような規制になるだろう。ソニーや三菱商事、三井物産、マツダなども追徴課税されましたが、もはやどこに利益を隠そうとばれる時代が来たのだ。バブル崩壊後に日本の金回りが悪くなったのは裏金がみんなタックスヘイブン逃げてしまったからですが、香港やシンガポールの裏金もいずれ炙り出される時が来るだろう。マネーロンダリングは出来ない時代が来つつある。