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原田武夫  「金融サミットで明らかとなる国際協調という幻想」(2009-04-02 )
http://www.asyura2.com/09/hasan62/msg/301.html
投稿者 新世紀人 日時 2009 年 4 月 04 日 20:03:56: uj2zhYZWUUp16
 

http://blog.goo.ne.jp/shiome/e/252f75cf120a8f37b35ae83ec609e002

金融サミットで明らかとなる国際協調という幻想

  2009-04-02 12:30:00 | IISIAが読み解くマーケットと国内外情勢

1日(英国時間)、ロンドンで第2回金融サミットが始まった。開催前より様々な情報が世界中を飛び交ってきたが、一つだけ既に明らかなことがある。それは、鳴り物入りで開催される今回の金融サミットの結果、「国際協調」という発想自体が“幻想”であったということが判然とする点だ。

もはや誰も語らなくなった感があるが、そもそもこの「金融サミット(G20)」という協議の枠組み自体、米国勢と欧州勢との間でかなりの衝突を経て成立したものであることを思い出す必要がある。この枠組みでの話し合いを提案したのは、英国とフランスだ。これら両国がEU各国を巻き込む形でかなり強硬に要求してきたので、米国のブッシュ政権(当時)は昨年(2008年)11月、第1回会合の開催に応じた経緯がある。しかし、結果としてみれば文字通り「会議は踊る」であり、何らの具体的な成果も得ることなく閉幕したのである。

今次金融サミットが「国際協調の破たん」に終わると断言できる理由はいくつもある。第一に、オバマ米政権は「金融メルトダウンが止まないのは欧州勢が追加的な景気対策に踏み切らないからだ」とあらかじめ予防線を張る一方、ドイツ勢やフランス勢を筆頭に「EUとして行っている2000億ユーロの景気対策の効果が出てくるのは早くても2010年。それまでは追加的な景気対策など一切不要だ」と主張してやまなかった。議長国である英国はというと、とりあえず「2兆米ドルの景気対策に合意した」旨の共同声明案を作成、参加各国の事務レヴェルに回付した。ところが、これに反対するドイツ政府と思しき勢力が同声明案をメディアにリークし、怒り狂う英国勢との間で激しいバトルが繰り広げられ始めたのである。このように“追加的な景気対策”という負担をどこの国が負うのかを巡り、争いがやむ気配はない(ちなみに気になる日本の麻生太郎首相はというと、「財政的手段による刺激が必要だと分かる国と、分からない国がある」と述べ、暗に大陸欧州勢を批判する構えを見せているという)。

第二に何といっても忘れられないのが、マーケットの猛者たちの間では「ウォール・ストリートの信頼をもはや失った」とまで噂されているオバマ政権の窮状をあざ笑うかのように、ロシア、そして中国が米ドルを国際基軸通貨の地位から引きずり落とすべく、具体的な提案を行い始めたことである。特に3月31日に行われた独露首脳会談においてメドヴェージェフ大統領は、今次金融サミットは新たな国際通貨体制が成立するプロセスの端緒にすぎないとまで断言したとの情報がある。またロシア政府高官はここにきて部分的な金本位制への復帰による改革プランにまで言及し始めている。こうしたロシア勢の動きに輪をかけて派手なのが中国勢なのであって、3月23日には周小川・中国人民銀行総裁名でWEB上に「国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)について、人民元を通貨バスケットに入れる形で改革し、ひいては世界共通通貨としていくべき」との論文を発表し、前哨戦だというのに大いなる反響を呼んだ。ここで露中のターゲットはただ一つ、これまで国際基軸通貨としての地位を欲しい侭にしてきた米ドル、そしてそれを支える米国勢をそのポジションから引きずり落とすことである。中国勢が果たして“本気”であらかじめ外交カードを切ったとは思えないものの、いくら米国債の筆頭保有国だからといって、こうした態度を米国勢が許容するはずもない。その限りにおいても、金融メルトダウンという問題解決のため、「国際協調」が維持されるとはおよそ考えられないのである。

しかし、ここで考えなければならないのは、「世界各国のリーダーたちは、果たして本気で“国際協調”の維持・発展をこの金融サミットで目的としているのか?」という点であろう。そもそも米国由来のリスク資産に基づく損失額が世界全体で1000兆円を超える規模である中、どのようにしても金融マーケットに広がったこの「巨大な穴」を埋める方法はないという見方がマーケットでは一部に根強くある。そうであればなおのこと、所詮、国内における選挙で有権者たちより支持を得れば権力の維持をはかることができる政治家たる各国首脳たちからすれば、「国際協調」という美辞麗句に踊らされることなく、むしろ徹底して内向きに対応し、今次金融サミット自体においては何らの追加的な財政負担は約束しないのが得策だと考えるは理の当然なのである。とりわけ、年内に国政選挙を控えている諸国(ドイツなど)は正にそうであるはずだ。ましてや、国際基軸通貨そのものを改編ことなど、米国勢からすれば「他国と相談して行うべきこと」であるはずもなく、「やる時には誰にも言わず、徹底して自国に有利なタイミングに行う」べきものなのである。それが“国民国家”体制を前提とした場合の国際場裏の現実であろう。

そうである以上、「国際協調」を否定し、それを単なる幻想であったとした場合、“次なるシステム”は一体何なのかがポイントとなってくる。そこで実現するのは新たな地域統合という「超国家志向」なのか、それとも大混乱の中で国民国家が崩壊する中で成立する「よりローカルな主体中心の世界への移行」なのか。―――未曾有の大転換の今だからこそ、そのいずれかを見抜くための“情報リテラシー”が全ての日本人に求められているといえよう。

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