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米不良資産買取計画:レバレッジ駆使の政府版CDO=双日総研(ロイター)
2009年 03月 31日 18:47 JST
[東京 31日 ロイター] 双日総合研究所副所長の吉崎達彦氏は31日、ロイターとのインタビューの中で米金融機関から不良資産を買い取る官民共同プログラムについて、不良資産救済プログラム(TARP)からの最大拠出1000億ドルで「1兆ドルの不良債権のかたをつけるレバレッジをもって制する政府版CDO」と評価した。
一方、米銀が抱える不良資産は12兆ドルに上るとの試算もあり、資本不足問題の払しょくには懐疑的な見方を示した。主なやり取りは以下の通り。
――リーマン・ショック以降の金融危機で世界的に株安が進んだ。
「危機モードからは半歩脱却しているが、金融危機の震源となった米国では、1)景気対策、2)金融安定化策、3)ビッグスリー経営再建――の3つの難題を抱えたままとなっている。ポールソン前財務長官が7000億ドルのTARPの枠組みを作り、その半分程度を使いきった後でオバマ政権にバトンタッチした。米国内の経済政策論議は1930年代の大恐慌がベースになっており、ケインズ政策には一定の理解を示す一方、金融安定化策は後手にまわりがちだ」
――ガイトナー財務長官が23日に発表した不良債権買い取り計画(PPIP)の枠組みは、かなり踏み込んだ対策と評価する声もある。
「エクイティ部分はTARPから最大1000億ドルを拠出する。それに不良証券買い取りプログラムと不良債権買い取りプログラムの融資を合わせる仕組みだ。負担額は14分の1になっており、政府負担はきわめて小さい。TARPからの最大拠出1000億ドルで1兆ドルの不良債権のかたをつけるレバレッジをもって制する政府版CDOとも言える」
「過去の日本の不良債権問題をめぐり、一括強制による簿価買い切りができれば金融は救える議論もあったが、これには政治的な壁も立ちはだかった。簿価で買えればいいが、時価でなければ納税者は納得しない。今回の枠組みは、競争入札で買い取ることにより、時価と簿価との間をミディアムをとれる制度設計になっている」
――4月下旬のストレステストを踏まえた米銀への追加資本注入の観測も絶えない。
「美しいプランではある。しかし、米銀が抱える不良資産は12兆ドルに上るとの試算もあり、いまのTARPの残金(3500億ドル規模)では太刀打ちできない可能性がある。圧倒的な兵力を投入して短期決戦を目指すパウエル・ドクトリンと対照的な、イラク戦争でのラムズフェルド戦略を想起させる」
「3500億ドルのうちPPIPに拠出される最大1000億ドルとの差額は、資本注入用に残しているとみられるが、ストレステスト次第で自己資本不足の問題が浮上しかねない。日本でも60兆円規模の公的資金枠をつくり、実際に利用したのは10兆円余りにとどまった。見せ金だとしても、追加資金を積む必要がありそうだ」
――米経済をめぐっては、GMやクライスラーなどビッグスリー救済問題にも課題が残る。
「2月時点で出された対策はとても再建案に値しない。技術がありながら無責任経営が続いた1970年代の国鉄と同じで当事者能力がない。自動車業界に助け船を出すのは金融以上にハードルが高い。思い切ったリストラに踏み切らなければ、いずれ立ち行かなくなる」
――3月期末の日経平均底割れは回避したが、5月危機説がくすぶる。
「リーマン・ショックから半年が経過しており、潮目が変わるタイミングだ。鉱工業生産では先行きプラス予測が示され、L字型回復の直角部分に達した感もあり、株式市場がこれを織り込むのはリーズナブルだ。米国市場の立ち直りには向こう1、2年はかかりそうだが、真水部分で10兆円以上の規模で補正予算が組まれるとの見通しもあり、5月危機は回避できるのではないか」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-37256320090331