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中国による米ドル覇権潰し提案をどう見るか
2009-03-26 12:30:30 | IISIAが読み解くマーケットと国内外情勢
来る4月2日にロンドンで開催される第2回金融サミットを控え、中国勢がスケールの大きな提案をWEB上で行ったことが話題を呼んでいる。「今こそ国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)を拡充すべきだ」というのである。
具体的には中国の中央銀行である中国人民銀行のホームぺージ上に、周小川総裁の名で発表された論文が事の発端となっている。極めて単純化していうと、「米ドルを国際基軸通貨とした体制には限界が見え始めている」「IMFのSDRを拡充して対処するのが適当であり、かつSDRの構成通貨を見直し、中国の人民元もそのバスケットに含めるべきだ」というのである。この論文の公表(3月23日)に先立ち、一部の英国系メディアが同様の主旨のリーク報道を流していただけに、日本では「これで今次金融サミットにおける流れは決まった」といった分析が流布され始めている感がある。
しかし、こうした中国側からの「公式提案」ともとれるメッセージの発信を受け、マーケットでは“冷ややか”ともとれる反応が聞こえてくる展開になっている。こうした流れを踏まえ、欧州系メディアの中には「この提案は長期的な展望に立った頭の体操(Gedankenspiel)にすぎない」(ノイエ・チューリッヒャー・ツァィトゥング(スイス)参照)といった見解、あるいは「(北海油田という)資源を持った国・ノルウェーの通貨であるクローネの方がマシ」といった分析すら提示されているのだ。
確かに冷静にとらえた場合、中国勢が会議本番の始まる前にすぎない現段階で“全ての手の内を見せている”と考えるのには難があるというべきだろう。第2回金融サミットの直前である4月1日、米中首脳会談が実施される予定である。“外交の世界における常識”からいえば、現在、事務レヴェルでの折衝が米中間で激しく行われていると見るのが適当なのであって、そうした外交ルート、あるいはインテリジェンス、さらには軍部のルートを経由した包括的なディール(パッケージ・ディール)における一幕として、中国勢がまずは目いっぱいの提案を行っているかのような演出をしているととらえるのが妥当なのだ。
しかも、こうした提案はそもそも中国勢のオリジナルではなく、「発案者がいる」との見解すら報道され始めている。ここで手を挙げているのはロシアであり、「ロシア提案を中国がサポートした」(RIAノーヴォスチ(ロシア)参照)といった論調を唱え始めているのである。ここに来て急接近している感のあるロシアと中国ではあるものの、完全に共同歩調であると見るのもまた難がある。むしろ「露中接近」をいう“最悪のシナリオ”をあえて喧伝することで、米国から何らかの譲歩を引き出そうとする中国の経済外交戦略であると見ることも可能なのである。
また、そもそも誰しもが注目してこなかったSDRについて拡充することはIMFを強化することにつながるが、それがマーケットを跋扈するファンドや投資銀行といった“越境する投資主体”の利益に果たして叶うのかという根本的な疑念がある。なぜなら、金融メルトダウンの中、相次ぐ景気対策のために資金難となっている各国は巨額の財政赤字を抱えるに至っているが、東欧各国、あるいは米国の州レヴェルを始めとして、事態は「もはやこれまで」、すなわちデフォルト(国家債務不履行)すらやむを得ないという流れになってきているからである。こうした状況の中、手ぐすねを引いて待っているのが本来は企業再生を主たる事業とした “越境する投資主体”である「プライヴェート・エクィティー(PE)」だ。そのPEは、デフォルトになった国家や公共団体に対する貸付けを行うべく、今や遅しと待ち構えている。それなのに、IMFが強化され、デフォルト寸前の国家に対する救済措置などが講じられてしまっては、とんだ“業務妨害”なのである。このPE業界がいかに強力なロビイング能力を持っているかについては、二転三転しつつも、結果として巨額の“民間資金”をあてにする形で不良債権を買い取る「官民合同ファンド」がオバマ米政権によって設立される流れになったことからも明らかであろう。
確かに中国勢は現在、米国債の最大の保有者である。しかし、だからこそ、米国に対して何らかの「奥の手」を使わせる中、米ドルに関する通貨改革を強行させ、それによって米国マーケットが長期的には復活を遂げる中、それに対する最大の利害関係者(ステークホルダー)としての地位を確保することの方が得策なのである。なぜなら、「目立たず、しかし口を出し、最大の利益は確保する」がマーケットにおける鉄則だからだ。一時の政治的野心に駆られる余り、もはや大転換を余儀なくされているブレトンウッズ体制の残滓と共に千載一遇のチャンスを失うことほど、中国勢にとっての大きな潜在的損失はないのである。
それでは、米ドルを巡る通貨改革を行わせるため、中国からのプレッシャーを受け続ける米国が行うであろう「奥の手」とはいったい何なのか?アメリカ大陸における米国を中心とした新たな地域統合というシナリオなのか?―――この点こそが、次なる本当の“潮目”を読み解く際、真に最大の焦点となってきているというべきなのだろう。
[新世紀人コメント]
なかなかに刺激的なレポート兼論評である。
チャイナの今回の発言も単に経済的利益確保を目指してのものではないだろう。
政治的な思惑を込めたものでもある筈だ。
チャイナの改革・開放路線が政治体制を破壊される事を事を防ぐ目的の選択で在る事を理解してこの事を忘れてはならないであろう。
チャイナは過去の日本の米国に対する特にに経済的な歩みから大いに学んで来ている筈だ。
この事を彼らは決して口外しないだろう。明治維新からも大いに学んでいる筈だ。
つまり「近代化」と「経済の高度化」を日本の対欧米の事例から徹底的に学んで国家の防衛策を立案し実行したと私は見ている。
日本だけではなく、何処の国も学ぶ事に関しては優れているのだ。
経済の戦いは政治の戦いでもある。
日本は昔から、まず政治において負けて、経済に負けて戦争に負けるというパターンを繰り返してきた。
ただしこれは明治維新以後の歴史に限っての事である。
米国の今後がどのように変遷してゆくかについては、予断を許さないだろう。
これについてはあくまで冷徹に観測してゆく他は無いだろう。
一切の期待は無用であり危険である。
米国の支配者層は幾つもの派閥に分かれてはいても人民に対して冷酷に振る舞い国家システムを植民地的に運営してきた。
今後の行く先にも変わりは無いであろう。
今後の歩みの中で米国の真の支配者の姿がその影が垣間見れる事になると私は考えている。
それは未だにベールに包まれてレポートされている筈なのだ。
姿を表に表わさない事が最大に効率的であるからだ。
オバマは単なる支配人だ。彼の芸の巧さを鑑賞しよう。
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