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(回答先: ザ・バンク 堕ちた巨像 投稿者 gikou89 日時 2009 年 3 月 31 日 01:06:09)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200903300032a.nwc
マニラの旅行代理店で私が米国人だと分かった途端に投げ掛けられた言葉は、「そう、あなたはあの悪名高いAIGの国の人なの!どうしてそんなことが起こったの?」というものだった。
◆中国の発言に波紋
AIG、つまり米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループの恥ずべきスキャンダルの渦中にあっては、別に驚くことではない。海外に住む米国人ならあまりにもありふれた経験だ。
1440億ドル(約14兆円)と1830億ドルという2つの数字がその理由を説明してくれる。前者はフィリピンの経済規模で、後者はAIGが受けた救済措置の額だ。保険会社1社を生き残らせることが、フィリピンの国内総生産(GDP)より高くつくのだ。
膨大な貯蓄で米国が発行する巨額の国債を買い入れると見込まれるアジアで、そのことがどのように受け止められているか考えてほしい。米当局者が忘れてはいけないのは、米国債の最大の顧客が米国を注視しており、終わりない借り入れもいずれはなんらかの結末をもたらすということだ。
こうした状況で、中国の温家宝首相が中国の保有する米国債の安全性について懸念を表明したことは劇的だ。中国人民銀行の周小川総裁は、新たな国際的な準備通貨の創設を訴えて波紋を広げている。
米国はこうした発言を無視すべきではない。特に米国債の最大の保有国である中国の声はそうだ。ロンドンで来月開催される主要20カ国・地域(G20)金融サミットを前に中国はドルに代わる基軸通貨についての議題を持ち出した。
◆世界の命運握る両雄
米国は、ムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)といった格付け会社が米国の信用格付けを最上級の「AAA」から引き下げる日が来るかもしれないということを考える必要がある。米ドル保有に伴う巨額の損失をアジアがいつまでも我慢することはないことも認識すべきだ。
企業1社を救うのにフィリピンやチェコ、チリといった国のGDPより多額の資金を投じる米国に、アジアの人々はまゆをひそめている。多くが懸念するのは、AIGがさらに資金を必要とし米政府に打撃を与え続け、米国の借り入れに抑制が効かなくなることだ。
事実上のゼロ金利政策や米国債3000億ドル買い入れ、住宅ローン担保証券(MBS)購入拡大といった最近のFRB(米連邦準備制度理事会)の政策は、アジアにとって数少ないグッドニュースだ。フィリピン中銀のテタンコ総裁は、「新興市場を落ち着かすことになるかもしれない」と言う。
世界の命運を握っているのは、バーナンキFRB議長のようだ。ガイトナー米財務長官もそうかもしれない。「バイ・アメリカン」条項や巨額の借り入れ実現を目指す政治家は、海外では人気がない。
FRBが昨年11月、ブラジルとメキシコ、シンガポール、韓国とそれぞれ300億ドルの通貨スワップ協定を結んだことは画期的だ。より最近実施した日本のような「量的緩和」は、もっと重要かもしれない。金利低下と貸し出しを促すため米国債やMBSを買い入れることは、アジア最大の輸出市場である米国に命を吹き込むことになるはずだからだ。
世界一の経済大国である米国は、ドルの崩壊を招くことなく多額の国債発行が可能であることを世界に納得させる必要がある。(コラムニスト William Pesek)