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(回答先: 【日本株週間展望】上昇、政策と経済指標の底入れ期待−短観に注目 投稿者 gikou89 日時 2009 年 3 月 28 日 22:31:35)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200903120013a.nwc
現在の金融危機がさらに深刻になれば、多くの中南米諸国で対外債務デフォルト(債務不履行)が懸念される。理由は財政破綻(はたん)ではない。いくつかの国のリーダーは、欧米の銀行に向けられた世界的非難を、国外の貸し手や投資家からの借金帳消しの口実に利用するつもりだ。
◆指導者にうまい口実
1980、90年代に中南米の多くの国々はデフォルトに陥った。そのほとんどがこの10年で、対外債務を減らすか、外貨準備高を増やすことによって、自国の支払い能力を改善してきた。その推移は、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの対外脆弱(ぜいじゃく)性指標から見ても明らかだ。この数字は国の1年間の借入総額を外貨準備高で割って算出する。
ブラジルの対外脆弱性指標は、02年の145%から08年は37%に減少。メキシコとベネズエラは45%と71%にそれぞれ半減した。01年にデフォルトを宣言したアルゼンチンは、ピーク時の03年には428%だったが、08年は102%に急降下した。
理論上は、外貨準備高が支払い義務のある流動負債を上回っているので100%を下回っても問題はない。しかし、現在の世界的な金融危機下では、支払い能力とデフォルトのリスクに関連性はない。
エクアドルの対外脆弱性指標は、02年の1189%から08年後半には172%に急降下した。同国はこの3カ月で、2つのグローバル債の利払いを停止。昨年12月に12年償還のグローバル債の3060万ドル(約30億1200万円)の利払いを停止したほか、2月15日には30年償還の利子1億3500万ドルの支払い停止を決定した。
同国のコレア大統領は、前回の1999年のデフォルト時に支払い条件が再検討された2つのグローバル債について、「旧政権が違法に約定したものだ」と主張。支払い条件の再検討中に、これら債権の取引価格が額面の20%に下落したにもかかわらず、「政府が額面の60%での返済に同意したのは反逆的行為だ」と述べている。
大統領のこの言葉から分かるのは、対外債務のデフォルト選択は、経済的というより政治的な理由が大きいということだ。大恐慌以来最悪の経済不況に対する責任が先進国の金融市場や投資家にあるとの考え方が、中南米諸国の指導者に完璧(かんぺき)な口実を与えている。
政治的な理由によるデフォルトの可能性は、アルゼンチン、ボリビア、エクアドル、ベネズエラで高まっている。これらの国の指導者は、欧米に公然と反抗することで、国民の支持を得られると考えているのだ。
アルゼンチンを除く3国は、エネルギー資源という唯一の輸出品に収入を頼っている。国際原油価格がピークとなった昨年7月の1バレル=147ドルから約45ドルに下落した今、各国の財政状況は悪化している。
しかし、輸出相手からの支援は期待できない。南米諸国の石油や天然ガスの輸出先は一部の国に集中しており、貿易相手国はすでに金融危機で大打撃を受けている。ベネズエラの輸出品の49%、エクアドルの43%の相手国は米国で、次に欧州諸国が続く。ボリビアの輸出の37%は主に天然ガスだが、相手国はブラジルだ。
◆異例の資金調達法
自国の産出品を売る相手を1つの国に集中させると、危機の際に命取りになる。欧米諸国やブラジルでは不景気でエネルギー消費量が減少し、国外へのエネルギー依存を減らしたいと考えている。
現在、中南米新興市場への資本投入はリスクを嫌って急激に減少しているが、各国とも通貨の変動相場制を採用していないため、危機への対応が危ぶまれる。エクアドルでは米ドルを法定通貨としているので、自国の通貨供給量を調整することができない。ベネズエラとボリビアは管理通貨体制をとっているが、自国通貨の価格を守るために、かなりの外貨準備高を無駄に使っている。
中南米諸国のリーダーの多くは社会保障費を輸出からの収入で賄い、貧困層を中心とする国民からの支持を得ようとしている。世界的な経済不況がさらに深刻化すれば、公共支出に対する要求は増え、輸出収入は減っていく。
この金融危機が2年以上続いて、中南米諸国のリーダーが政府支出の削減を拒むことになれば、公共支出もぐらつくことになる。政治家は社会不安に立ち向かうことを拒否し、資金調達を異例の方法に訴えることになるだろう。つまり、デフォルトしか選択肢が残されていないということだ。(コラムニスト Alexandre Marinis)