★阿修羅♪ > 国家破産62 > 167.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
白川日銀総裁記者会見の一問一答(ロイター)
2009年 03月 18日 18:27 JST
[東京 18日 ロイター] 白川方明日銀総裁は18日、金融政策決定会合後に記者会見を行った。質疑応答の詳細は、以下の通り。
(決定内容とその背景については省略)
──長期国債の買い入れ額の増額をこのタイミングで行う理由は何か。財政支出拡大の方向で議論が進んでいるが、今回の買い入れ額の増額との関係は。
「今回の長期国債買い入れの増額は、年度明け以降も金融市場の安定を確保するために引き続き積極的な資金供給を行っていくことが重要との判断のもと、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくことを目的としている。今回の措置はこれまでの増額と同様、あくまでも金融調節上の必要性に基づいて行うものあり、今後の国債増発への対応といったことを念頭に置いているものではない」
──長期国債買い入れの増額で銀行券ルールの限界に近づいているのではないか。ルール見直しの可能性は。
「長期国債買い入れの増額を技術的に説明する。銀行券ルールはなかなか一般的になじみがない。一般的な観念は、中央銀行が内部的に置いている精神規定との感じがあるかもしれないが、決してそうしたものではない。
今年2月から長期国債買い入れオペについて、残存期間別買い入れということを行った。同じ1兆円の国債を買っても、期間1年であれば1年でなくなり、10年であれば10年間残る。したがって国債がどれくらい中央銀行のバランスシートに残るかは、年間の買い入れ金額と年間に買い入れた国債の積に依存する。
従来、長期国債の残高をコントロールする上で、日本銀行は買い入れ総額という変数でしかコントロールできなかったが、残存期間別の買い入れで、年間の買い入れ額と残存期間の2つの変数でコントロールができるようになった。日本銀行は円滑な金融調節を行うため、長期の資金供給手段を一層活用するとし、その時に長期国債の買い入れの増額が適当と判断した」
「銀行券ルールとの関係をもう少し詳しく申し上げると、足もとの銀行券と足もとの長期国債の関係も重要だが、それ以上に重要なのは、この先、両方がどのようなかたちで推移するかという見通し。
もし、将来の銀行券の姿、将来の長期国債の姿を展望しないと、例えば、今期は国債を大幅に増額したが、来期は逆に売らなければならないということになる。その場合、市場にかく乱的な影響を与えてしまう。今回の増額ペース、年間21.6兆円の規模で長期国債の買い入れを毎年、行っていくと、長期国債の残高は数年のうちに銀行券発行高に近接していく可能性が高いと推定される。
こうした見通しは、先行きの銀行券の伸びや、オペで入ってくる国債の満期構成にも左右され、不確実性は残るが、さすがにここまで買い入れ金額を増額させると追加的な買い入れ余地は、かなり限定されると見られる」
「銀行券ルールを見直すことはまったく考えていない。銀行券ルールの意味は2つある。第1は円滑な金融市場調節を確保すること。第2点は銀行券ルールは長期国債買い入れが国債価格の買い支えや、財政ファイナンスの支援を目的とするものではない、という趣旨を明確にするという役割を果たしている。したがって銀行券ルールを見直すという考えはない」
──金融機関あるいは金融市場の監督規制について、見直しの議論が世界的に進んでいる。特に自己資本比率規制を強化すべきか否かについて意見が分かれているが、これについての所見は。
「金融機関に対する自己資本比率規制をどのように設計していくのが良いのかというのは、大変に重要な課題である。今回のサブプライムローン問題以降の金融危機を経て、この点について一段と活発に議論されている。(中略)今回はもちろん色々な議論はあったが、最終的には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明文で現時点での各国のポジションはそこにはっきり示されているというように思う。
例えば当面、最低自己資本比率の引き上げを求めていくということはしないということは、はっきりうたわれている。その上で、将来の自己資本比率規制のあり方という議論を、現在も行っているがこれからもしていく必要があると思う。(中略)特にいわゆるプロシクリカリティ──規制が経済の変動を逆に増幅してしまうことがありはしないか、そうしたことがもしあるとすれば、そうした要素をどうやって軽減していくかということが、非常に大きな論点になると思う」
──今のペースでは、数年のうちに、国債買い入れ残高が日銀券ルールに達する可能性がある。今後、政府がさらなる経済対策を打って、赤字国債を大量増発した場合でも、日銀は輪番オペを今後も増やすことはないと考えていいのか。
「長期国債オペの考え方だが、金融調節の必要性に則して判断していくということだ。先ほどいったことは、銀行券の将来の姿、今後の国債の入ってくるオペの正確な期間構成に依存するので、不確実性は残るが、しかし、かなりもう限界に近くなってくるということをいった。現実の姿というのは、今後時間がたつにしたがって、先のことがわかってくるが、現時点でそう判断している。つまり、あくまでも金融調節の必要に応じて判断をしていくということだ」
──今回、資金調達にめどがついたと判断していたが、リーマンショック以後の金融政策に一定の成果があったと評価しているのか。めどがついたというのは大企業が中心というようにみえるが、今後、中小企業の資金調達をどう円滑化していくのか。
「現在の金融経済情勢だが、先に言ったとおり、一言でいえば経済情勢は大幅に悪化しており、大変厳しい環境と思っている。
企業金融についての評価だが、前回との比較だと、CP・社債の発行環境は改善の動きがみられるが、全体としては企業金融の環境は厳しいと判断している。若干改善した部分に、政策措置の効果があるのかということだが、前の政策の効果だけで改善の動きがあるとはみていないが、政策もそれなりの効果は及ぼしていると判断している。
これは一個一個の政策措置でなくて、全体として我々がやっている施策、つまりドル資金供給、企業金融支援特別オペ、CP・社債の買入れ、それから金融政策ではないが金融機関保有の株式買入れの再開など政策のパッケージで一定の効果を生み出していると思う。
中小企業だが、先に行った政策は主として大企業に影響が及びやすいが、改善効果が大企業に残ると、それは取引を行う中小企業のほうにも影響がでるし、銀行からみて、大企業向けの資金繰りが少し緩和すれば、その影響は中小企業にも及んでくると思う。もちろん、これだけで十分と思っているわけではないが、我々としては色々な施策の結果、中小企業にも影響がでるようこれからも考えていく」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-37048120090318