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AIG、公的資金の使途への批判強まる(日本経済新聞)
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米政府が株式80%を保有している経営再建中の保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(NYSE:AIG)は週末、注入された公的資金を、さまざまな銀行への支払いに充てたり、同社を破たん寸前に追い込んだ部門の従業員へのボーナス支給に充てたりしたことについての相次ぐ批判をかわそうと躍起になっていた。
透明性を高めるよう求められているAIGは15日、同社が受け取った公的資金1733億ドルの約3分の2を、国内外の銀行や自治体など取引先への支払いに充てたと明らかにした。
AIGがこの情報を開示したのは、昨年405億ドルの損失を出した部門の従業員に約4億5000万ドルのボーナスを支給する計画を厳しく批判されたことを受けたもの。この部門で大きな損失を出したことで同社は破たん寸前に追い込まれ、政府の救済を受けざるを得なくなった。
今回の情報開示は、AIGと政府が、次第に接近しながらも違和感のある関係になってきていることを浮き彫りにした。政府は、6カ月前には不安を抱える債権者だったが、今では辛抱強い支持者である以外に選択肢はない。
カミングス下院議員(民主党、メリーランド州選出)は15日、声明で「この構図は、何かが極めて不適切だ。AIGの見境のない行動は直ちにやめさせなければならない」と述べた。また同氏は、ボーナス支給問題を理由に、政府がAIGの最高経営責任者(CEO)に指名したエドワード・リディ氏の辞任を求めた。
AIGの広報担当者はカミングス議員の声明についてコメントを避けた。その一方で、リディ氏からの書簡に言及した。この書簡で同氏は「ガイトナー財務長官の前任者であるポールソン前財務長官から昨年9月にAIGのCEO就任を要請された」と記している。また同氏は「ボーナスやCEO続投のための手当は受け取っていない」と述べ、「私が受け取るのは私への評価だけだ」としている。
AIGの取引先リストは、世界の有力金融会社一覧のようだ。130億ドルを受け取った米ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)など大手米銀のほか、仏ソシエテ・ジェネラル(13080.FR)やドイツ銀行(NYSE:DB)など欧州の金融大手も含まれる。ソシエテ・ジェネラルとドイツ銀はそれぞれ約120億ドルを受け取っている。
こうした資金は、全額ではないがその多くが、AIGが販売したクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)にかかわるもの。CDSは証券投資の保険の役割を果たすもので、AIGが販売したのは主に米住宅ローンにかかわるものだった。AIGの状況が悪化するにつれ、取引先は損失に備えた担保の受取額が増えていった。一部は、米連邦準備制度理事会(FRB)が大半を出資する新会社が昨年後半、保険対象の証券を買い取ることで補てんされた。
これらの取引先金融機関の多くは、AIGの証券貸出事業の顧客でもあった。また、これまでのAIGへの融資のうち数十億ドルが現金で返済された。ゴールドマン・サックスの広報担当者は「AIGへの当社のエクスポージャーは常に、担保またはヘッジで全額守られている」と語った。ドイツ銀の広報担当者はコメントを避けた。
こうした詳細については、AIG救済策が最初に決まった08年9月中旬以降、ほとんど公になっていない。AIGとFRBは、こうした情報を開示すれば、取引上の立場や関係に悪影響が出るとしていた。だが米議会議員は、公的資金がどこに支払われたのかについてさらに情報を開示するよう迫っている。
これまでに開示された情報によると、昨年9月16日から12月31日までに、AIGが受け取った公的資金のうち約1200億ドルは、現金や担保などの形で国内外の銀行や自治体などに支払われたことになる。
この金額には、デリバティブ(金融派生商品)取引を手掛け住宅ローン関連資産の読みを誤ったAIGファイナンシャル・プロダクツが支払った520億ドルも含まれる。また437億ドルは、証券貸出事業の顧客だった銀行や証券会社への返済に充てた。さらにFRBから借り入れた240億ドルも含まれ、これは住宅ローン担保証券(MBS)関連のCDS契約を打ち切るために保険対象のMBSの買い取りに充てた。
特に公的資金が実質的にAIGを経て民間企業や外国の銀行の損失補てんに使われていたという事実を含め、こうした情報を開示することは、政治的リスクを伴う。
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