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見かけはよくできているが小手先対策であることは同じETF買い取り策(KlugView)
2009/03/14 (土) 10:30
3月13日付の日本経済新聞は、一面で、政府・与党が、銀行等保有株式取得機構(株式取得機構)による上場投資信託(ETF)の買い取りを可能にする方向で検討に入ったと報じています。報道によれば、今月中にまとめる市場安定化策に、この案を盛り込めるよう細かい点の検討を急いでいるそうです。必要な法案を今国会に提出し、できるだけ早く実施できるようにしたいのでしょう。
もともと株式取得機構は、銀行や企業が保有する株式を対象に時価で直接買い取ることを目的とした機関です。ただ、銀行などにとっては、時価で売却してしまうと、株価下落による損失が確定するので、株式取得機構に保有株を売却することに否定的です。そこで、政府・与党は、株式取得機構が、個別株ではなくETFも買えるようにし、株式取得機構が有しているものの、あまり使われていない20兆円の買い取り枠を使って、少しでも日本株市場の需給を改善させたいのでしょう。
報道によると、現在、検討されているのが、株式取得機構が、株価指数に連動するETFを市場から直接買い取ったり、証券会社や投信会社が新規に設定するETFを買い取る、という内容です。機構は、買い取り原資を調達するため、政府が元本を保証した無利息の債券を発行し、債券を有する投資家は、将来、一定価格でETFに転換できるようにするそうです。またETFに転換した後に売却することで得られる利益への税金を軽減する措置も検討されているようです。
今月は決算期が集中する月でもありますので、株式取得機構によるETF買い取り策を先行的に報道させることで、今のうちから少しでもいいから株価を吊り上げたい、という政府の本音も感じられなくはありません。また、市場関係者の間からも、株式取得機構によるETF買い取りが、株式の需給改善につながる、と歓迎する声が出ているようです。ともかく、政府・与党だけでなく、市場関係者にとっても、今回のETF買い取り策は、それなりに喜ばしいことなのでしょう。
報道ベースの情報ではありますが、今回のETF買い取り策は、それなりによくできたものと思われます。株式の購入に用いられる資金は、ETF転換権付き債券を購入した投資家によるものです。年金基金など公的資金がETFの買い付けに直接用いられるわけではないので、公的部門による市場への介入、といったイメージを少なくすることができます。
また、資金を投資家から集めるため、政府の金銭負担は、ほとんどありません。仮に転換件付き債券の消化が難しいようであれば、多少金利を付与すれば、ETFへの転換権がありますので、かなり売れる可能性もあります。金利を付与したとしても、普通預金を下回る程度でしょうから、政府の金銭負担が大きくなることはありません。
しかし、気になるのは、株式取得機構が発行する債券の元本を政府が保証する点です。ETF転換権付き債券に政府保証を付ければ、デフォルトリスクは国債と同じになります。このため、ETF転換権付き債券が売れれば売れるほど、国債の消化に支障をきたす可能性が高まることになります。民間資金を株式市場に誘導した結果、国債の消化が難しくなり、長期金利の上昇を通じて経済に悪影響を及ぼすのであれば本末転倒といえます。
ETF転換権付き債券が、将来の株価上昇の重石になる可能性も忘れてはいけません。ETFの対象となる株価指数が、債券の権利行使価格を上回れば、ETFへの転換が進み、株式市場の売り圧力も高まります。
言い換えれば、ETF転換権付き債券は、将来の株価上昇を目先の株価上昇に移転する機能があり、その場しのぎ策の一種、といえなくもありません。ETF転換権付き債券による株価対策は、見かけ上は(それなりに)よくできたものなのでしょうが、小手先の対策という意味では、公的資金による株価対策などと、あまり大きな違いはないように思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
銀行等保有株式取得機構による上場投資信託(ETF)の
買い取り策とは、どんな内容?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
株式取得機構が、株価指数に連動するETFを市場から直接買い取ったり、証券会社や投信会社が新規に設定するETFを買い取る、という内容
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/03/14/004838.php