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ソ連崩壊で生じた危機対策から(ヤスの備忘録3月11日)
http://www.asyura2.com/09/hasan62/msg/111.html
投稿者 あ+ 日時 2009 年 3 月 13 日 10:49:43: 8WlTWJKy3iQ86
 

デミトリ・オルドフのセミナー

何回かこのブログでも紹介し、いまヒットしている「崩壊よ、もう一度」の著者、デミトリ・オルドフのセミナーの内容を簡単に要約する。このセミナーはロングナウ財団が主催したものである。

ロングナウ財団は、現代音楽作曲家のブライアン・イーノなどが社会の長期的な傾向を予測するために設立した研究センターである。毎月、ベストセラー作家や著名なジャーナリストや研究者などを招いて公開セミナーを開いている。今回はデミトリ・オルドフがゲストだった。

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講演はユーモアを交えながらも、2010年前後にアメリカでが分裂する実質的なプロセスを、ソビエトの崩壊過程を参照しながら具体的に語った。以下がその簡単な要約である。

アメリカの崩壊とソビエトの崩壊を比較して

・ソビエトは次の4つの点がポイントとなって崩壊したが、アメリカも同様である。

1)原油生産の低迷
2)膨大な貿易赤字
3)コントロールできなくなった巨額な防衛費
4)巨額な外国債務

これは一言で言うと、帝国の維持費があまりに巨額になり、そのコストのために国内経済を維持できなくなるというような状態だ。

・国家の機能が維持できなくなると、それは通貨の価値の大幅な低下となって現れる。つまり、ドルの紙くず化である。

・アメリカは原油の大半を輸入に頼っている。ドルの大幅な減価は、原油価格の極端な高騰となって現れることは間違いない。これがソビエト崩壊時のルーブル下落で起こった現象だ。

・原油価格の急騰はガソリンが手に入らなくなることを意味する。これを安易に考えてはならない。ソビエトではこのため、トラックによる国内の物流システムがほとんど停止してしまったため、もの不足が深刻化した。スーパーや店頭からものが消えるのである。アメリカでも同様の現象が起こることは間違いない。

・そのような状態でも最後まで稼働しているのが都市の公共交通機関だ。したがって、ものは不足しているものの、都市にいる限り移動の手段には困らない。

・また、都市では電気、ガス、水道などのライフラインも最後まで供給は止まらない。生活の基盤となるインフラが維持されているので、なんとかなるものである。

・一方、郊外の一軒家など移動の手段が自家用車しかない地域で生活している人達はたちまち孤立することになる。完全な自給自足の体制ができていない限り、郊外や田舎の生活は勧められない。こうした地域には自治体のライフラインも早いうちに供給停止になるため、生活の維持は本当に難しくなる。

・危機に際しては、ソビエト国民はアメリカ国民よりもはりかに有利な立場にいたように思う。まず、狭く窮屈な環境ではあったが、全国民に団地のようなアパートが提供されていた。そしてアパートの住民たちは、通例趣味としての家庭菜園をもっており、それはアパートのすぐ近くにあった。そこから採れる野菜を食べることが日常の楽しみであった。このようなライフスタイルのため、ソビエトが崩壊してもホームレスは存在せず、また餓死者もほとんど出ることはなかった。ましてや、アパートは自立した共同体としての特性をもっていたため、住民同士で助け合い苦しいときをしのいだ。

・しかし現在のアメリカは、かなりの数の国民が郊外の一軒家に住んでいる。こうした住宅街では、家庭菜園どころか、食料をはじめほとんどすべてのものはスーパーやファーストフードのチェーン店に依存している。物流のシステムが停止すると、こうした地域の住民はすぐに飢えるので都市への人口の大移動が起こるだろう。

・また生産のシステムでもソビエトのほうが有利な体制にあった。ソビエトの生産システムは恐ろしく非効率だった。どの国営企業を市場のニーズを無視して生産していたため、膨大な在庫品の山を抱えていた。だが、こうした在庫品は、ソビエト崩壊後に市場に放出され、もの不足をかなり緩和させた。

・しかしながらアメリカの生産システムははるかに効率性が高い。市場のニーズに適合した生産システムであるので、在庫品はまったくといってよいほど存在しない。したがって、物流システムが崩壊すると、一気にものの深刻な欠乏状態に突入するはずだ。

・だがそうではあっても、ソビエト崩壊を生き抜いたわれわれの体験はアメリカ人の参考になるはずだ。崩壊の時期だが、私は2010年くらいとみているが、5年前後のずれはあるだろう。

生き延びるためにやるべきこと、避けるべきこと

・家庭菜園など、自給できる状態を高く維持することは当然大切である。家族や隣近所の人々とコミュニティーを作り、いまからいざというときに備えるべきだ。

・ソビエトの崩壊時でもっとも邪魔になったのは、社会的地位の高い50代の男性である。仕事を失い、高い社会的地位を追われた彼らは、自我を傷つけられ、国家がどうの、社会がどうの、システムがどうのと悪態をついて飲んだくれ、粗大ゴミ化する。まったく役に立たないどころか、生活をなんとか維持しようと頑張っている人々の足を引っ張る。こうした人々と関わりにならない方が無難である。

・反対に、新しい環境にもっともよく順応し、食糧生産などに労を惜しまないのが主婦を中心とした女性たちである。彼女らは、かつての社会的地位が高かろうが低かろうが、さっと作業着に着替え、労働に精を出す。

・ところで、ソビエトの崩壊時には、給料を支払えなくなった軍や警察から離脱した武装した兵士や警察官が徘徊するようになる。キャリアを失っているので、彼らの多くは精神的に不安定で、ささいなことに切れて銃をぶっぱなす危険な集団だ。

・こうした武装集団と真正面から戦ってはならない。彼らはプロであり勝ち目がないからだ。逆にお友達になっておいたほうがよい。少し怖いかもしれないが、彼らを家に招き入れ食事や寝る場所を提供すると意外に彼らは味方として役に立つ。

・たとえば、ちょっとした風車などが必要になり、公有地にそうした施設を立てたりするとまず役所がやってきて風車を取り壊すように文句を言ってくるが、武装集団が味方についていると一発銃をぶっ放して脅すだけで、彼らは二度と来なくなる。これは、食糧生産のため、他人の土地を耕作しなければならないときも脅しが有効だ。

以上である。

一般的には、物流システムが崩壊するなら、都市を避けて田舎に住み、自給自足的な生活スタイルを確立するべきだとのイメージが強いが、ソビエトの崩壊時のオルドフの説明だと田舎ではライフラインが早期に途絶えてしまい、生き残るのが難しいとのことだ。考えてみればそうなのかもしれない。

いずれにせよ、アメリカの崩壊や分裂を取り上げるセミナーや記事がすごい勢いで増えている。アメリカ国内でも、かなり真剣に扱われるようになっているような印象をもつ。

http://ytaka2011.blog105.fc2.com/blog-entry-117.html  

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