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ドル円を支えるかもしれないクラウディングアウトという現象(KlugView)
2009/02/28 (土) 10:00
26日のニューヨーク債券市場では、長期金利の指標である10年物米国国債が売られ、利回りは前日より0.07%高い2.99%で取引を終了いたしました。26日の取引中、10年物米国国債の利回りは一時3.02%と、2月9日以来の水準をつける場面もありました。
国債の利回りが上昇することは、さほど珍しいことではありませんが、この日(26日)の米国株式市場は、下落しただけに、やや気をつけたほうがいいかもしれません。一般に、株価が下がる場合、安全資産とみなされる国債の需要が高まるため、結果的に利回りは低下することになります。不況時に株価が下がり、長期金利が低下することが多いのは、こうしたメカニズムによります。
米国において、株安にもかかわらず、長期金利が上昇した背景には、米国政府による国債の大量発行があります。米国ではすでに景気対策法が成立し、米国政府は、景気対策法の財源として、国債を大量に発行していることを決めています。米オバマ大統領の予算方針演説によれば、今年度(09年度)の米財政赤字は、1兆7500億ドル(GDP比12.3%)と、1945年以来の高水準になると予想されています。
政府が大量の国債を発行すると、その国債を消化する(買ってもらう)ことが、より難しくなります。このため、政府は国債を発行する際に、より高めの利回りを提示する必要が出てくるため、国債市場では先んじて利回りが上昇することになります。
経済学には、クラウディングアウトという言葉があります。クラウディングアウトとは、「押し出す」という意味の英語です。政府が大量に国債を発行することで、金利が上昇し、その結果、民間の経済活動(個人消費や設備投資など)が抑制されてしまうことをさします。政府が大きく動いてしまったために、民間が政府に押し出される姿をイメージすればわかりやすいのかもしれません。
また経済学では、クラウディングアウトが発生すると、その国の通貨が上昇しやすくなると考えられています。つまり政府が国債を大量発行することで金利が上昇し、高い金利を目的とした通貨買いが強まり、通貨が上昇するという考え方です。
今週はドル円が一気に上昇しましたが、市場関係者からは、米国景気が依然として不安定であることから、ドル円の上昇が続かないとの見方が出ています。ただ、日本景気の悪化を背景に円安が進んでいるのも事実で、米国景気がいくら悪くても、市場が、米国よりも日本の評価を下げれば、結果としてドル縁が上昇してしまうのは不思議なことではありません。
こうした状況の中で、仮に米国でクラウディングアウトが発生すれば、さらにドル円が上昇する展開も考えられます。米国景気は悪い、という考え方に異論を挟むつもりはありませんが、市場は1つの考え方だけで決まるものではないだけに、長期金利の上昇など、他要因も含めて思考をめぐらせることが重要な気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
クラウディングアウトって何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
「押し出す」という意味の英語。
政府が大量に国債を発行することで、金利が上昇し、
その結果、民間の経済活動が抑制されてしまうこと。
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/02/28/004706.php