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いずれ崩壊するハイレバ・スキャルパーとネオFXの蜜月の関係(KlugView)
2009/02/19 (木) 21:30
外国為替証拠金取引(FX)は、資金をFX業者に証拠金として預けることで、預けた資金(証拠金)を上回る規模で為替取引をすることが可能です。証拠金に対する為替取引の金額の割合は、「レバレッジ」と呼ばれますが、FX会社の中には、このレバレッジが高いことをPRポイントとして宣伝するところもあります。
高いレバレッジで取引をすると、短期間で高いリターンを得ることが可能になります。たとえば、レバレッジが400倍の場合、10万円を預けることで、4,000万円(=10万円×400倍)分の為替取引をすることができます。ここで為替レートが、利益が出る方向に0.1%動いたとします。4,000万円の0.1%は4万円ですので、証拠金10万円に対して4万円、つまり40%のリターンを得たことになります。仮にドル円レートが100円であれば、ドル円レートが利益が出る方向に10銭(0.1円)動くだけで、高いリターン(40%)を得ることが可能といえます。
為替市場では、0.1%程度の値動きは、短時間で多々生じます。このため、FX投資家の中には、レバレッジを最大限まで高め、為替市場での細かい動きを狙い、利益を得ようとする方も存在するようです。FX業界では、為替市場での細かい動きから利益を得ようとする行為をスキャルピング(scalping:頭の皮を刈り取る、という意味の英語)、スキャルピングをするFX投資家を、スキャルパー(scalper:頭の皮を刈り取る人 という意味の英語)と呼びますが、ここでは、スキャルピング、スキャルパーの中でも、高いレバレッジで取引する方を、ハイレバ・スキャルピング、ハイレバ・スキャルパート呼ぶことにします。
スキャルピングの場合、為替レートのスプレッドの小ささが、取引のリターンに大きな影響を及ぼします。スプレッドとは、通貨を買う価格と売る価格の差額を意味します。たとえば、ドル円において
100.00-10
と示されていれば、これは、1ドルを買うときは100.10円を支払い、1ドルを売るときは100.00円を受け取る、という意味になります。このスプレッドがあるために、同じ1ドルであっても、買うときは売るときよりも0.10円(10銭)高く、逆に、売るときは買うときよりも0.10 円(10銭)安くなります。つまり、買う人も売る人も、同じタイミングであれば、(この場合)10銭のコストを支払うことになります。このコストが、為替取引を取り次ぐFX会社の収入となります。
ハイレバ・スキャルパーは、可能な限りスプレッドの小さいFX会社で取引をする傾向があります。10銭程度の値動きを狙うわけですから、たとえ1銭であっても、スプレッドが小さいことは重要だからです。
ハイレバ・スキャルパーがある程度、存在することもあり、FX会社の中には、高いレバレッジと小さい(狭い)スプレッドを売り物にする会社も存在します。ある会社は、400倍のスプレッドを可能にする一方で、ドル円のスプレッドを1銭で固定とするサービスを提供します。ここでは、こうしたFX会社をネオFXと呼ぶことにします。つまり、ハイレバ・スキャルパーは、(当然)ネオFXを好んで利用することになります。
ネオFXにとっても、ハイレバ・スキャルパーは大歓迎です。ハイレバ・スキャルパーは、細かい値動きを狙うために、短時間で数多く取引をします。FX会社の利益は、為替レートのスプレッドに取引回数を乗じた結果と比例しますので、たとえスプレッドが小さくても、より多くの取引をしてくれるのであれば、利益は拡大するからです。言い換えれば、ハイレバ・スキャルパーとネオFXは、win-win(どちらも得をする)関係といえます。
ただ、こうしたwin-winの関係は、もうしばらくすると崩壊するのかもしれません。一部報道によると、FX会社などで構成される金融先物取引業協会は、FX会社間のルール作りを目指す専門部会を設立したようです。
FX会社による専門部会では、顧客資産を適切に保護することを目的に、レバレッジを50倍前後に抑えること、いわゆるレバレッジ規制を検討しているようです。レバレッジが高い場合、為替レートが利益の出る方向に動けば、短時間で高いリターンを得ることができますが、損失が出る方向に動けば、短時間で多額の損失を計上することになるからです。
WEBサイトをみていると、レバレッジを高めギャンブル的な取引ができることをFXの利点として褒め称える「有識者」も存在するようです。こうした「有識者」によれば、レバレッジ規制は、FX取引の縮小につながるから、実施しない方が良いそうです。
しかし、ネオFXのサービスが普及すればするほど、短期的には企業の利益が増えるかもしれませんが、多額の損失を計上するFX投資家が増える可能性を高め、中長期的にはFX取引全体が縮小するリスクも高まります。高いレバレッジによって、顧客が短時間で多額の損失が発生しないようにすることは、投資家だけでなく、FX会社にとっても有益と思われます。社会を見渡すと、短時間で多額の損失を計上する可能性があるFXに対しては、冷たい見方をする方もそれなりに存在します。おそらく「有識者」が、どれだけ声を大きく主張したとしても、レバレッジ規制は実施される方向に動くでしょう。
報道によると、レバレッジ規制は、早ければ今年4月から実施される可能性もあるそうです。仮にこの報道が真実であるとすれば、ハイレバ・スキャルパーとネオFXのwin-winの関係も、あと数ヶ月で終わることになります。ハイレバ・スキャルパーは、ハイレバ・スキャルピングに頼らないFX取引が必要となり、ネオFXは、高いレバレッジに頼らない経営に転換せざるを得ないことになります。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
スキャルピングとは、本来どんな意味?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
頭の皮を刈り取る、という意味
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/02/19/004620.php