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GDPが減ったから公共事業、というロジックの欺瞞(KlugView)
2009/02/17 (火) 20:05
昨年10-12月期の日本の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前期比3.3%減、年率換算で12.7%減となりました。マイナス幅の大きさは、第1次石油危機に該当する1974年1-3月期の13.1%減に次ぐ戦後2番目の規模となります。
実質GDPが大きく落ち込んだのは、輸出が13.9%も減少したためです。日本企業が得意としていた自動車、電機、機械の需要が世界的に減少し、日本からの輸出が急減しました。日本の場合、他国に比べ外需への依存度が大きかったために、世界経済の減速が日本景気を直撃する結果となってしまいました。
戦後2番目のマイナスということもあって、ここ数日、政府・与党や有識者と呼ばれる方からは、政府による大規模な景気対策の必要性を指摘する声があがっています。あくまで報道ベースの情報ですが、与党内からは、20兆円から30兆円規模の来年度(2009年度)補正予算を編成すべきとの声もあるようです。どうでもいいことですが、来年度の予算案がまだ成立していないにもかかわらず、補正予算の議論をする不自然さは、あまり疑問視されていないようです。
与党から20〜30兆円規模の対策が必要だとの声は、数学的にはそれなりにもっともらしい気もします。10-12月期の名目GDPは前期比1.7%減で、金額にすると8.5兆円の減少となっています。今年1-3月期のGDPも、10-12月期くらいの減少を示すとの予想も出ていますから、10月から3月までのGDPの減少分を政府が穴埋めするのであれば、20〜30兆円くらいの対策は、数学として考えると、決して多すぎるといえません。
ただ、政府による景気対策の場合、その中身は、公共事業の積み増しがメインとなってしまいます。政府としては、従来型の公共事業とは違うとアピールしたいのでしょうが、その違いは、道路や橋の建設が、光ファイバーの敷設や公共施設の耐震化に置き換わる程度でしょう。社会インフラを整備する、という意味では、違いはないように思われます。
仮に、政府による景気対策の理由が、昨年秋以降のGDPの減少にあるならば、公共事業を実施することは、やや筋が悪い気がします。先に紹介したように、昨年秋以降のGDPの減少は、自動車や電機といった輸出産業での需要減によるものですから、公共事業をいくら増やしても、輸出産業の需要減を埋め合わせることにならないからです。
GDPが減少したのだから、どこの分野で需要が減ろうと、公共事業を増やすことでGDP全体が戻るようにしてあげればいい、という発想は、社会インフラが未整備の国ならば、それなりに有効性があるのでしょう。しかし、日本の場合、社会インフラがそれなりに整備されており、財政を悪化させてまで公共事業を増やす必要性は、以前に比べて低下しているのが現実です。単にGDPの規模を合わせるために公共事業を増やすくらいなら、輸出の減少分を内需で埋め合わせられるよう、減税を拡大させた方が、より合理的な景気対策のように思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
2008年(昨年)10-12月期の名目GDPは
金額にしてどれくらい減少した?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
8.5兆円
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/02/17/004601.php