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● ニュースと感想 (2月17日)
「戦後最悪の不況」について。
昨秋以降の不況は、戦後最悪の不況になるそうだ。
2009年1─3月期のGDPを民間調査機関が試算したところ、マイナス 10%前後との結果が多かった。 GDPが2四半期連続で2けたマイナスになるという前例のない事態に直面する可能性が急浮上してきた。
10─12月期GDPは前期比年率マイナス12.7%と、第一次オイルショック時の1974年1─3月期(同13.1%)に次ぐ史上2番目の悪化となった。しかし実際には「戦後最大の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)となる可能性が高まっている。
( → ロイター )
はっきり言っておこう。これは、認識が甘すぎる。マクロ経済学のことを全然、理解していない証拠。
景気というのは、単に上がったり下がったり、波のように変動するものではない。「スパイラル」という特有の現象がある。昨秋には、巨額赤字の衝撃が襲ったが、これは、単なる「赤字」ではなくて、「巨大な需要不足」を意味する。(ここが肝心。り結局ではなくて生産量の減少。)
となると? そのあとは、「デフレスパイラル」という効果が発生する。それは、乗数効果の逆と考えていい。それはいつか収束するが、収束するまでは、循環的に拡大する。
したがって、「底打ち」は、まだまだ先だ。「半年だけ悪化して、その後は反転する」のではなくて、このあとどんどん、奈落の底に落ちていくはずだ。
たとえば、企業は解雇や採用取りやめをやっている。このせいで、来春以降の需要はさらに大幅に減少する。そのせいで、マクロ的には、総需要はさらにどんどん減っていく。したがって、
「春で底打ちすることはなく、今年いっぱいはどんどん悪化していく。来春になってようやく底打ちするかもしれない。さらに悪化が続くかもしれない。上向きになるのはずっと先」
という予想が成立する。
悲観的? いや、これは、悲観とか楽観とかではなくて、理論的に当然の帰結だ。よいとか悪いとかいっても始まらない。ただの自然現象みたいなものだ。
大事なことは、これが、天気みたいな自然現象ではなくて、人為的な減少だということだ。したがって、いくらでも進路を変えることはできる。無為無策ならば、上記のように状態は悪化するが、適切に処置を取れば、いくらでも改善する。
「まっすぐ進めば岩にぶつかる」
という予想をすることは大事だ。そのあとで、
「右にハンド得るを切れば、衝突を免れる」
という情報もある。それを理解すれば、何も問題はない。(その回避の方法はすでに何度も示した。)
ただ、問題は、その回避策を私が教えても、それを聞かない人が大部分だ、ということだ。
「政府は何もしないのがベストです。ハンドルはまっすぐ固定するのがベストです」
と語る連中(古典派経済学者)が多すぎる。となれば、
「岩にぶつかる」
というのは、避けられないだろう。これもまた、理論から得られる当然の結論。
[ 付記 ]
経済相は状況を楽観して、「年末には景気は回復するだろうと多くのエコノミストが予測している」と述べた。(朝日・夕刊 2009-02-16 )
懲りない人だ。年末には景気は回復するだろうと多くのエコノミストが予測したのは、今が初めてじゃない。この 18年間、ずっと同じように楽観していた。人は楽観したがるものだ。
そして、その結果が、「失われた 18年」である。いや、それより、もっとひどい。
ちなみに、2008年についての予測もそうで、「年末には景気は回復するだろう」という予測が大半を占めた。で、現実は? もちろん、大暴落。
それでもまだ、オオカミ少年を信じますか? 「景気回復が来るぞ!」と叫ぶ声を聞いて、本当に「来る」と思いますか?
私はそんなの信じないが、政府は信じている。で、その結果は?