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スタバから考える米国のデフレリスク(KlugView)
2009/02/12 (木) 18:35
米国コーヒーチェーン大手のスターバックスは、3月3日より全米の直営店でコーヒーと朝食のセットを3ドル95セントで提供すると発表しました。現在の価格では、単品での組み合わせとなり、料金は5ドルを超えますが、セット販売されることで価格は2割以上も引き下げられることになります。
スターバックスは、高級感あるコーヒーショップとして展開してきており、そのイメージを守るために、原則として値引きをしない方針を続けてきました。しかし、米国景気の減速を背景に、消費者がマクドナルドなど低価格チェーンにシフトしており、スターバックスも値下げに踏み切りざる得なかったようです。
学者やエコノミストの方々の間では、日本と米国のサービス業を比較すると、日本の生産性が低いとの指摘が多くあります。ただ調べてみると、日本のサービス業の生産性が低いのは、日本の労働者が怠け者のためではなく、米国が高単価でサービス業を展開している点にあることがわかります。たとえば、高級ホテルや高級レストランで成功している企業の多くが、日本企業ではなく、欧米企業であることは、わかりやすい例のように思われます。
高い単価で業績を拡大させるという意味でいうと、スターバックスは、米国サービス業の象徴的な存在といえます。単にコーヒーや食材を提供するだけなら、価格競争に巻き込まれるはずですが、スターバックスは、高級感というイメージ戦略で単価の引き上げに成功していました。
米国では、非農業部門雇用者数が、今年1月だけで59万8,000人も減少するなど、景気悪化が急速に進んでいます。ただ、これまでの米国であれば、たとえ景気が悪化したとしても、高いサービスレベル(高単価)を求める消費者層は、一定規模存在しましたので、こうした消費者層が米国のサービス業の持続的な拡大を招き、ひいては米国景気の次の拡大への原動力になりました。しかし、スターバックスが値下げを実施したということは、これまで通用してきた、高単価によるサービス業の拡大、という米国の成功パターンが崩れている可能性も考えられます。
米議会の上下両院執行部は、上下院でそれぞれ可決した景気対策法案の一本化をめぐる調整をし、最終的な予算規模を7,890億ドルとすることで基本合意しています。おそらく週内にも上下両院で再可決した上で、オバマ米大統領の署名を経て、景気対策法は成立するのでしょう。オバマ大統領によれば、景気対策法の施行により、今後2年間で約350万人の雇用が創出され、米国景気の底割れは回避されるようです。たしかに、これまで減少した雇用が回復すれば、ある程度は、景気が下支えされるのでしょう。
ただ景気対策法によって、雇用が回復したとしても、それは消費拡大のための必要条件でしかなく、十分条件とはいえません。米国が昔のように消費を拡大させるには、高単価によるサービス業の拡大、というパターンが戻る必要があるように思われます。仮に今後もスターバックスのような企業が増えてくれば、たとえ雇用が回復しても、米国が以前の日本のように、デフレで苦しむ可能性もあります。そういった意味で、第二、第三のスターバックスが米国で出現しないかを見定める必要もあるのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
今年(2009年)1月に非農業部門雇用者数は
どれくらい減少した?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
59万8,000人
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/02/12/004567.php