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2009年1月29日 (毎月最終水曜日更新)
第61回 かくして金融危機はシステムに組み込まれた
「いったいどうして、ここまで金融が混乱してしまったのでしょうか」――すばらしい質問だね。
金融の混乱はこうして作られた
1910年、ジョージア州沖にあるジキル島で7人の男が秘密会議を開いた。当時、この7人が、世界中の富の6分の1を握っていると考えられていた。6人はアメリカ人で、J・P・モルガン、ジョン・D・ロックフェラー、米国政府の代表者たちだった。1人はヨーロッパ人で、ロスチャイルド家とワーバーグ家を代表していた。
1913年、この秘密会議の結果として生まれたのが米国連邦準備銀行だった。興味深いことに、この「米国連邦準備銀行」は連邦政府の機関ではなく、準備金もなく、そもそも銀行ですらない。アメリカ人とヨーロッパ人から成る7人の男たちが、連銀と通称されるこの組織を作ったのだが、その目的は、米国の銀行制度とマネーサプライをコントロールすることだった。
1944年、ニューハンプシャー州のブレトンウッズで会議が開かれ、これが国際通貨基金(IMF)と世界銀行の創設につながった。この2つの新しい機関の目的は、当初は聞こえが立派だったものの、本当のところは、連銀が米国に対してやっているのと同じことを世界に対して行うためだった。
1971年、リチャード・ニクソン大統領は大統領令を出し、米国はもはやドル紙幣を金と交換しなくてもよいと宣言した。これによって、世界の銀行制度とマネーサプライを乗っ取るための第一段階が完了した。
そして2008年のいま、世界は経済混乱の真っ只中にある。金持ちはますます金持ちになっているが、ほとんどの人はますます貧しくなっている。この混乱は、その大部分が、何十年も前に開かれたそのような会議に端を発している。言い換えれば、この混乱のほとんどは、計画されたものだ。
権力と支配
このような出来事は、大掛かりな陰謀の一部だと言う人もいる。ひょっとしたら、そうなのかもしれない。こうした現象は、資本主義者、共産主義者、社会主義者の間の闘争だと言う人もいる。もしかしたら、その通りかもしれない。
私自身は、地球規模の陰謀があるか否かなどという議論には参戦しない。そのような議論は時間の無駄だし、私に言わせれば、もっと大きな要因は、権力と支配を求める争いにある。この争いによって、良いこともたくさん起こったが、悪いこともたくさん起こった。私が知りたいのは、どうしたら自分がその犠牲者にならずにすむかということだ。ゾウの群れの争いを止めようとするネズミになる必要がどこにあるだろうか。
いま、ガソリン価格の高騰や景気後退、失業、住宅価格の下落、倒産の増加や事業閉鎖、貯蓄の消失、株式市場の暴落、インフレの台頭で困っている人が大勢いる。こうした現実はすべて、金融界における権力闘争の直接的な結果であり、何百万という人がその犠牲になっている。
極端な例を挙げるとすれば……
2008年7月、私は南アフリカ共和国に滞在していた。テレビ番組やラジオ局のインタビューを受けていると、世界経済について意見を求められることが多かった。私はあからさまにこう言った。この国の皆さんは地球規模の混乱を理解する機会に恵まれている。何といってもロバート・ムガベが支配するジンバブエに隣接しているのだから……。
私は、インタビューに次のように答えた。「ムガベ大統領がジンバブエに対してやっているのと同じことを、連銀やIMFが世界に対してやっています」記者の多くは、私の発言を明らかに不快に感じていた。私は、彼らの気持ちを和ませようとできるかぎりのことをして、自分は無政府主義者ではないと断言した。ジンバブエの場合は、権力闘争に歯止めが効かなくなった非常に極端な例だとけんめいに説明した。
ジンバブエの例は、話の要点をわかりやすくするための例えにすぎないということをわかってもらってから、私はこう続けた。「世界経済について知りたいなら、ジンバブエからの難民を昼食に招待することです」そして、難民たちに次のような質問をするといいと教えた。
景気はどれくらいのスピードで悪化したか。
自分がお金に困っているということを自覚したのはいつ頃か。
ジンバブエを離れようと最終的に決心したのはいつか。
別の選択肢があったとしたら、何をしていたと思うか。
三者三様のアプローチ
南アにいる間に、私はジンバブエ出身の3組の若い夫婦と話をした。そのうち2組は難民になったばかりで、いまは南アに住んでいる。もう1組はいまもジンバブエに住んでいる。どの夫婦の体験談も興味深いものだ。
最初の夫婦は、仕事をもっと早く辞めるべきだったと語った。だが二人は、じきに状況は好転するだろうと思って働き続けた。そして、ほぼ一晩のうちに、ジンバブエ・ドルの価値は暴落し、天井知らずのインフレになった。夫婦の給料が上がっても生活していけず、貯金もすぐに底をついた。ジンバブエを車で出たときは、二人はほとんど着の身着のままだったという。私は、別の方法があったとしたら何ができたと思うかと聞いた。彼らは、「ジンバブエに留まって南アフリカに商品を輸出するビジネスを立ち上げればよかった」と答えた。そうしていれば、国を脱出する前に南アの通貨と銀行口座を手に入れることができたからだ。
国を脱出した2組目の夫婦は、自分たちは、ジンバブエ・ドルが暴落した後も住宅ローンや他の借金の返済を続けていたと語った。二人は、「いま思うと、ジンバブエに留まって、貯金なんかしないでどっぷり借金につかり、暴落したジンバブエ・ドルで借金を返したほうがましだった」とも言った。この夫婦は失業して国を逃げ出した。マイホームは国に残したままで、ほとんど価値のなくなったジンバブエ・ドルで20万ドル持っている。
3組目の夫婦はいまもジンバブエに住んでいる。不吉な前兆を感じた二人は、南アでビジネスを立ち上げ、その利益でジンバブエ国内の有形資産を買い始めた。ジンバブエ国内の資産を買ったときは、南アの通貨で支払いをすることも多いという。彼らは、「ムガベ大統領がいなくなって国内が落ち着く頃には、自分たちの経済状態はすこぶる良好なものになっているだろう」と語った。
問題は多いが解決策はほとんどない
1913年、1944年、1971年の出来事には、3つの大きな問題がある。第一に、連銀、世界銀行、IMFが何も無いところからお金を作り出せるようになっていることだ。これが世界的なインフレの最大の原因になっている。世界規模のインフレによって、生活必需品の価格が上昇し、その結果、給料や預貯金の価値は下落する。
たとえば、ガソリン価格が高騰したとき、多くの人は「原油価格が上昇している」と言った。だが実際には、高い原油価格の主な原因は、ドルの価値の下落にあった。連銀、世界銀行、IMFが、ジンバブエと同じように、偽物のお金を大量に刷り、それによって物価を上昇させ、私たちの生活の質の低下させている。
第二の問題は、経済危機の規模がますます大きなものになっていることだ。1970年代、連銀は数百万ドル規模の危機に見舞われ、この問題を解決した。1980年代には、それが数十億ドル規模の問題になっていた。いま私たちが直面しているのは、数兆ドル規模の危機だ。不幸なことに、危機が大きくなればなるほど、ますます多くの偽金が金融システムに流れ込んでくる。
黙示録が現実のものになる日は近い
第三の問題だが、1913年の時点では、連銀が保護するのはバンクオブアメリカのような大手の商業銀行に限られていた。1944年以降、連銀、世界銀行、IMFは、タンザニアやメキシコのような第三世界の国々を救済しはじめた。そして2008年、連銀はベアスターンズのような投資銀行まで救済するようになった。この投資銀行が、政府系住宅金融機関のファニーメイとフレディマックの崩壊劇の中で、どんな役割を演じたかはあまりにも有名だ。2020年までに、おそらく史上最大となる救済が行われるだろう。それは、社会保障制度とメディケア(高齢者医療保険制度)だ。この救済には、少なくとも100兆ドルはかかるはずだ。
どんなに油田を掘り当てても、どれだけ食糧を生産しても、ドルの価値が下がり続けるので物価は上がり続ける。連銀が創設されてからというもの、米国ドルの価値は90%以上も目減りした。1910年にジキル島に集まったあの7人の男たちのせいで、ドルの価値はこれからも下がり続ける。
だが、この偽金による金融システムが、大きな貢献をしてきたことも確かだ。世の中を良くしてきたし、たくさんの人を金持ちにした。その一方で、悪いこともたくさんしてきた。いまから2020年までのどこかの時点でこのシステムは崩れると、私は確信している。いまがまさに金融崩壊の前夜だ。だからこそ私は金(ゴールド)に賭けている。頭文字が同じ言葉でも、「犠牲者(victim)」ではなく「勝利者(victor)」になるほうが良いにきまっている。
※ ロバート・キヨサキについてさらに知りたい方はこちらをご覧ください(外部サイト)。
※ ロバート・キヨサキの本コラム‘Why the Rich Get Richer(金持ちがますます金持ちになる理由)’は米国Yahoo! Financeに掲載するために執筆されたものです(2008年11月24日)。
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前のコラム: [第60回 資本主義は倒壊し、アメリカの納税者はそのかけらを拾う]
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[新世紀人コメント]
日本でも「札をどんどん刷っちゃえ」との意見が出ている事は危機的状況を示唆している。
たしかに「限定的にやればいい」といえばもっともに聞こえる。
でも、「限定」に留める事は出来ないだろう。
これはインチキ策で逃げ切ろうと言う事なのだ。
経済危機はインチキを許してはくれない。
限定的に札を刷っても確かな効果は上がらないだろう。
そうなると更に増刷する欲求が生じてくる。
やがて止められなくなって増刷を繰り返す事になる。
それでも景気は回復しないだろう。
これは麻薬中毒と同じなのだ。
麻薬中毒者は肉体も心もボロボロの廃人になる。
そう、日本経済も廃人になるのである。
これはまずいでしょう。
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