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Mintから見たアメリカ経済
by ゲスト ライター 2009 年 1 月 30 日
Aaron Patzerは、Mint.comのCEOでファウンダだ。ここは90万人の消費者の支出管理を支援している個人向け財務サイトなので、Mintのデータは消費者経済のスナップショットだ。下のゲスト記事でAaronは、そのデータを分析して消費者から見た現在の経済の姿を語ってくれる。
消費者は傷ついているが、Mintのデータが経済全体の指標と言えるなら、それは思ったほど悪くはない。
(Mintは第一回の本誌主催TechCrunch40大会の優勝者で、Aaronはそのときの経験を別のゲスト記事に書いている。)
今週スイスのダヴォスで開かれた世界経済フォーラムは、暗い雰囲気だった。どのセッションも、いや満員のセッションはどれも、グローバルな経済危機がテーマだった。しかし多いのはレトリックや責任のなすり合いばかりで、具体的なデータといえば株価の下落と救済の額ぐらいしかない。
私は技術者であり、“なんでも量化すること”を得意とする会社のファウンダなので、数字のないことにいら立った。経済が悪いというが、それはどれぐらい悪いのか? “本当に悪い”とか“大恐慌以来最悪”などの答えは、ほとんど意味がない。それは、ドルやセントで表すとどれだけなのか?
幸いにもMint.comならこの疑問に量的な答えを与えられる。9月に襲った最初の危機以来、私たちのサイトの登録ユーザ数はそれまでの4倍以上に増加し、経済に関する標本が90万も得られた。これは合衆国の全世帯数の1%に近い。つまりMint.comは、$50B(500億ドル)以上の資産と負債を、日々追尾していることになる。
昨年私たちは、このデータを使うSpendSpaceという機能で、ユーザの予算づくりを支援した。たとえば、あなたの家庭のコーヒーの消費量はサンフランシスコの世帯平均より多いか少ないか? あなたのAmazon.comやStarbucks、JetBlueなどでの平均購入価格や購入頻度は、ほかのMintユーザと比べてどうだろう?
このデータは統計値でありあくまでも匿名のデータだが、消費者保護のためにものすごく役に立つことを私たちは発見した。たとえばウォールストリートジャーナル紙は、銀行の手数料に関する私たちの経験値データを使って、もっとも劣悪な銀行を同定した。最近ではこのデータから消費者の支出傾向が生々しく分かるようになり、私たち全員にとって非常に価値あるものになっている。
2008年の支出総額を見ると、夏を境に変化が起きていることが分かる。5月6月は税の還付金やクレジットによる山があり、その後は1か月1世帯当たり400ドル減少している。11月にはさらに200ドル下降し、消費者の不安を表している。休日シーズンでふつうは消費の多い12月も、11月からの反発は弱い。
1月から11月までのカテゴリー別の支出を見ると、20%以上下降したのが、娯楽(-22%)、衣食住の住(家具、修理保全サービス、リフォームなど)(-21%)、燃料(-32%)、そして旅行だ(-24%)。食品、ショッピング、公共料金なども下降し、唯一、財務アドバイザーだけが上昇しているのは、人びとが不安な時代に助けを求めていることの表れだ。
平均勘定残高も興味深い。8月から12月までで平均貯蓄勘定は5500ドルへと半減した。幸いにもクレジットカード負債残高はほぼ横ばいだが、投資は24%減少、ローン(住宅ローン、住宅担保ローン、教育ローン、個人ローン)は11%増加した。
これが、大恐慌クラスの不況だろうか? それは私には答えられない定性的な質問だ。でも、これらの具体的なデータが語っているのは、もしもあなたが消費者相手のビジネスをしているのなら、あなたの顧客は1年前に比べて毎月400ドル少ない支出をしている、しかも貯蓄は半分消えてしまったし負債は平均で5000ドル増えた、ということだ。
良い意思決定のためには良いデータが必要だ。そしてデータは、それ自身、どんなスタートアップにおいても、もっとも価値ある副産物のひとつかもしれない。
http://jp.techcrunch.com/archives/20090130the-economy-according-to-mint/