★阿修羅♪ > 国家破産61 > 322.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
液晶テレビで勝者になるためのソニーの戦略とは(KlugView)
2009/01/29 (木) 19:51
1月29日、ソニーは、2008年10-12月期の決算を発表しました。売上高は、前年同期比24.6%減の2兆1,546億円、営業利益は180億円の赤字となりました。
営業利益を分野別に見ると、ドイツの会社と共同保有していたソニーBMGを連結子会社にしたことで245億円の営業利益を確保したほか、劇場公開の映画(007/慰めの報酬)の好業績で129億円の営業利益を計上しています。一方、金融ビジネスでは、ソニー生命が保有している日本株の減損処理を主因に374億円の営業赤字を計上したほか、エレクトロニクスが159億円の赤字を計上しています。
金融ビジネスの赤字は、日本株の下落が減損処理の原因であり、本来の事業である保険料収入は拡大した模様です。このため、ソニーの収益性を評価するうえで、金融ビジネスでの営業赤字は、金額は大きいものの、一過性のものとみてよいと思われます。しかし、ソニーの本業ともいえるエレクトロニクスにおいて、159億円もの営業赤字を計上したことは、ソニーにとって暗い話題といえます。
ソニーの発表によると、エレクトロニクスで営業赤字になった主因は、液晶テレビ、PC、デジタルカメラにあるようです。PCとデジタルカメラは、円高の進展などで大幅な減収になったようなので、営業赤字の要因になるのも理解できます。
ただ、ソニーが発表する資料では、液晶テレビが大幅な減収になったと記載されていません。おそらく、液晶テレビについては、赤字覚悟で価格を引き下げたことで、なんとか販売数量はそれなりに水準を維持したものの、利益ベースで多額の損失を計上したと推察されます。
現在、液晶テレビのメーカーとして、サムソン、ソニー、シャープ、LGなどがありますが、上位5社のシェアは6割程度で、中国企業を初めメーカーが乱立しています。各種資料で推測すると、ソニーの液晶テレビのシェアは、サムソンに次いで世界2位とはいえ、12%程度と思われます。
一般に、競争相手が多く、自社のシェアが小さい場合、企業は、売上を確保するために、価格を引き下げることに頼りがちです。本来であれば、機能性などで差別化を図りたいのですが、競争相手が多いと、価格面での競争が激しくなり、シェアが小さいために小売業者への影響力も限られてしまいます。
特に液晶テレビの場合、デザイン性や機能面でのイノベーションを図ったとしても、すぐに他者に真似されやすい傾向にあります。これまでデザイン性や機能面で差別化を図ってきたソニーとって、液晶テレビという分野は苦手分野といってもいいでしょう。
また、ソニーの場合、比較的高いとされる人件費が重荷となっている気がします。テレビ事業の人件費は明らかになっていませんが、会社四季報などで公表されている一人当たり賃金をみると、ソニーは、液晶テレビのライバルであるシャープより2割以上割高です。サムソンなどの韓国企業と比べれば、ソニーの人件費の高さは、より大きなものになるでしょう。
価格引下げ圧力が高く、人件費が割高であれば、ソニーが液晶テレビの分野で赤字を計上することは、さほど不思議なことではありません。ソニーが赤字を続けながらも、液晶テレビ事業を続けるのであれば、同業他社が競争から脱落し、結果的にシェアが高まるのを待つしか商機がありません。ただ、この戦略は、かなり資源を必要とする消耗戦の類といえます。
ソニーがより効率的に液晶テレビ事業で勝者になるには、同業他社が脱落するのを待つよりも、M&Aを通じて同業他社を買収した方が、時間コストも含めると合理的な気がします。サムソンやシャープが、すぐにソニーに液晶テレビ事業を売却するとは思えませんが、2社ともソニーと同様、液晶テレビ事業では苦戦を強いられているはずで、ソニーがそれなりの買い取り価格を提示すれば、それなりに前向きな姿勢を示すと思われます。世界的に需要が落ち込んでいる現状を考えると、液晶テレビの再編は、決して非現実的なことではないでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
2008年10-12月期のソニーのエレクトロニクスでの
営業赤字はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
159億円
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/01/29/004462.php