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ポンド下落の背景にある英国経済の憂鬱(KlugView)
2009/01/26 (月) 23:59
先週末(1月23日)、外国為替市場では英国の通貨であるポンドが大きく下落しました。ポンド円は一時、1ポンド=118.84円と、1973年の変動相場制以来、史上最安値を更新しました。2007年7月、ポンド円は1ポンド=250円台を付けていますので、現在のポンド(対円)の価値は、1年半前の半分以下になったことになります。
ポンドがここまで下落した理由は、英国銀行の予想をはるかに超えた巨額の損失です。英国銀行大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、1月19日、2008年通期の決算で、最大280億ポンド(約3.3兆円)の損失を計上する可能性があるとの見通しを示しました。英国企業としては、過去最大の損失です。
英国政府は、RBSの発表と同じ日に金融機関の追加救済策を発表しています。救済策の中には、不良債券から発生する将来の損失について、一定額を超えた分の90%を公的資金で肩代わりする損失保証制度が盛り込まれています。英国政府は、昨年10月にRBSなど大手3大金融グループに総額370億ポンド(約4.4兆円)の資本を注入しています。わずか3カ月前に、これだけ巨額の資金を投入することを決めても、金融機関に追加の救済策をしなければいけない点に、英国銀行の深刻ぶりが示されています。
日本や米国でも金融機関に公的資金を投入しているだけに、英国での銀行に対する公的資金の投入は、それほど違和感を持たない方もいらっしゃるかもしれません。ただ、英国経済全体の規模は、日本や米国と比べてかなり小さいだけに、英国の現状を日本や米国と同じように考えるのは、やや危険な気がします。
たとえば、英国の名目GDPは約1.4兆ポンド(約167兆円)です。日本が約500兆円、米国が約1260兆円であることを考えると、英国の経済規模がいかに小さいかがわかります。
英国政府が、日米政府と同じ規模(10兆円程度)で、金融機関に公的資金を投入するのは、金融機関の損失の大きさを考えれば自然のことです。ただ、英国の経済規模から考えると、それだけの資金を政府が調達できるのか?という疑念が生じてしまいます。英国の金融機関は、日米と同等クラスの規模になったものの、肝心の自国(英国)の規模が、金融機関と同じペースで拡大できなかったことが、今になって響いています。
ただ外国為替市場を見ると、今週はポンドがやや値を戻しています。1月26日のポンド円は一時125円台まで回復し、その後も124円台後半で推移しています。RBSと同じ英国銀行のバークレイズが、2008年通期の業績について、80億ポンド(約9500億円)の評価損を計上しても黒字を確保できる見通しで、政府から公的資金を投入する必要性がないと発表したことが好感されたようです。
しかし、バークレイズだけが頑張ったとしても、英国の金融システム不安が、それによって解決に向かうと考えるのはやや無理があるように思えます。経済規模を超えた規模で公的資金の投入を強いられる状況に変わりはないことを考えると、英ポンドは、目先は下落傾向を強めるように思われます。英国の状況は、アイスランドや韓国ですでに起きたことと非常に似ているようにも思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
英国の名目GDPはどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
約1.4兆ポンド(約167兆円)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/01/26/004428.php