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評判の悪い消費税率の引き上げをあえて擁護する(KlugView)
2009/01/27 (火) 19:45
1月27日午後、今年度第二次補正予算が成立しました。26日の参院本会議では、野党が提出した修正案が可決されましたが、衆院の議決を優先する憲法の規定により成立が確定しました。これにより、国会では来年度予算案の審議が本格化する見通しです。
第二次補正予算案の審議では、総額2兆円の定額給付金の是非が話題になりましたが、来年度予算案の審議では、消費税率の引き上げの是非が話題になりそうです。政府は、来年度税制改正関連法案を閣議決定しています。この改正案では、付則の中で、景気回復を前提としながらも、消費税率の引き上げについて、2011年度までに必要な法整備を講じることが明記されています。
政府は、消費税率の引き上げの時期を明確にせず、また景気回復を前提とするなど、消費税率の引き上げに反対する議員たちにかなり譲歩した感があります。しかし、それでも、国会議員の方々の中には、消費税率の引き上げを法案に記すことに対して否定的な意見をもつ方がいるようです。消費税率の引き上げは、選挙に悪影響を及ぼすほか、景気が悪化する可能性が高まる、などの考えがあるからのようです。
ただ、財務省を中心に数多く宣伝されているように、日本の財政には、あまり余裕がありません。特に日本の場合、これから少子高齢化が進むのですから、債務(借金)を後生に残せば、現在よりもより大きな債務返済の負担が、家計に降りかかると思われます。
財政をこれ以上悪化させないためには、当然のことですが、歳出削減を進めるか、歳出を増やしながらも歳入を増やす(増税する)か、どちらかを選ばなければなりません。ただ、最近の世論は、社会保障費の抑制に対して強い反発を示しているように思われ、これからさらに歳出削減を進める考えは、国民の支持を得られない可能性が高いと思われます。
今後、財政を悪化させずに、歳出を増やすのであれば、増税は避けられないのが自然な考え方です。あくまで個人的な推察でしかありませんが、国民の多くも、方法論はさておき、負担が拡大することは、ある程度、容認しているような気がします。
国の税収には、大きく分けて、消費税、所得税、法人税の3つがあります。今年度二次補正予算によると、所得税が16.1兆円、法人税が14.7兆円、消費税が10.3兆円が見込まれています。ここ数年は、企業収益が拡大傾向だったこともあり、法人税収が拡大傾向にあります。
ただ、企業収益と法人税収を比べると、企業収益が大きく増えている割に、法人税の伸びがあまり大きくありません。弱者である家計に消費税率の引き上げを強いるくらいなら、利益を増やしている企業に法人税の負担を増やしてもらう方がよいと考えるのも、一見合理的に思えるかもしれません。
しかし、法人実効税率を各国で比べると、日本が40%程度であるのに対し、フランスが33%、英国が28%、中国が25%と、日本より低くなっています。こうした状況の中で、日本の法人税率が引き上げられれば、日本企業が海外に逃避する可能性は高まります。特に最近では円高が進展しているだけに、企業の海外移転メリットは、ここ数年に比べ高まっているのが事実です。
税制の議論になると、企業が悪者になることが多いようですが、企業は利益を上げるだけでなく、雇用を創出し、家計に賃金を支払う主体です。家計の負担を嫌がり、法人の負担を強めてしまうことで、日本企業が海外に逃げてしまえば、家計は企業から得られる賃金が少なくなり、家計の負担はむしろ高まってしまいます。
そもそも、財政において歳出増加の必要性が指摘されているのは、年金や生活保護といった社会保障を手厚くするためです。社会保障は、家計が恩恵を受けるわけですから、受益者負担の観点から考えても、家計の負担を引き上げるのが筋のように思われます。負担拡大は嫌だが、恩恵はもっと増やしてほしい、という議論を声高に主張するほど、日本に住む方々は非合理ではない、と期待したいところです。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日本の消費税って総額どれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
10.3兆円(今年度二次補正予算時点)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/01/27/004434.php