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http://netallica.yahoo.co.jp/news/63672
トヨタが昨年の販売台数で米GMを抜き、創業72年目で初めて世界の頂点に立った。しかし、一方では、景気悪化で戦後初の営業赤字に陥るなど、その足元はグラグラ。事態はトヨタだけの問題ではない。国内最大、最強企業の失速は、日本の“沈没”を意味する。
●お膝元の愛知では50万人失業パニック
日本経済にとって致命傷となるのが、トヨタの大幅減産だ。
すでに報じられている通り、トヨタは2〜4月の国内生産台数を前年比半減させる。1日の生産台数は採算ラインの1万1000台を割る9000台。30年前の第2次石油危機当時と同じ水準である。
トヨタ本体の完成車4工場も減産強化の対象だから、関連企業が集まる愛知県のダメージは計り知れない。「トヨタがくしゃみをすれば、愛知は風邪をひく」というが、実際は風邪どころか、肺炎である。愛知県に拠点を置く共立総合研究所の主席研究員、江口忍氏による試算は衝撃だ。
「もし、このままトヨタの減産が1年続いた場合、愛知県の実質成長率はマイナス20%、県内総生産36兆5000億円のうち、7兆3000億円が吹き飛ぶ計算です。県内の失業者数は最大50万人に達する可能性もある。かつて世界恐慌で米経済が最も悪化した1932年でさえ、米国の実質成長率はマイナス13%。当時より過酷な不況が愛知に襲いかかるのです」
トヨタ不況の大津波は愛知を襲った後、日本全体の景気を急激に冷え込ませる。第一生命経済研究所主任エコノミストの永濱利廣氏は、この3カ月の減産だけで「GDPは2兆円減、失業者は12万人増」と試算した。
しかも、状況はより悪化する可能性が高い。22日発表された08年12月の貿易統計速報で、自動車輸出は米国向けで52%減、EU向けも63%減とガタガタだったが、今年上半期の輸出はさらに減少するとの見方が濃厚だ。
国内生産台数の6割近くを輸出している自動車メーカー各社は、今後ますます減産を本格化させるとみられている。株式評論家の杉村富生氏がこう指摘する。
「日本の自動車産業は、GDPの3.2%を占めます。ビッグ3の経営危機で大騒ぎしている米国でも0.8%だから、そのインパクトは絶大です。おまけに自動車産業はすそ野が広く、鉄鋼、樹脂、電子部品、機械など多くの産業に波及効果を及ぼす。自動車生産額が1兆円減ると、関連産業の減産は3.1兆円ともいわれている。仮にトヨタで生産台数の半減が1年間続くと、日本経済への影響は愛知県の2〜3倍、最大20兆円近いGDPが消える可能性もある。実際、日銀は09年のGDPの実質成長率見通しをマイナス2%に下方修正しましたが、08年のマイナス1.8%と合わせると、GDPは20兆円近く落ち込む計算です」
トヨタの減産次第では損失はさらに膨らみかねない。麻生政権は景気対策で12兆円を財政出動するが、これでは焼け石に水だ。首相は漢字だけでなく、数字も勉強し直した方がいい。
(日刊ゲンダイ2009年1月23日掲載)
2009/1/26 10:00 更新