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[ニューヨーク 22日 ロイター] 経済再生に向け2兆ドルの国債発行を計画しているオバマ新政権にとって、強いドルを目指す米国の方針が今度こそうそではないことを世界に納得させる必要がある。 オバマ大統領が就任してから48時間もたたないうちに、大統領が財務長官に指名したガイトナー氏は、上院の指名承認公聴会で「強いドルは米国の利益」との見解を示した。 「強いドルは米国の利益」という表現は、14年以上前に当時のルービン財務長官が最初に使ったが、ブッシュ前政権が頻繁に使いすぎたため、その重みや信頼性が失われた。 2000年から2008年の間に、ドルは対ユーロで約40%、対円では15%以上下落した。ブッシュ政権にとってドル安は、米国の貿易赤字と中国の貿易黒字という世界経済における大きな不均衡を是正するための重要な手段だった。 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの世界戦略部門のディレクター、サマルジット・シャンカール氏は「今回は、オバマ政権が強いドルを支持すると表明すれば、恐らく実際に真剣な行動を取ること意味している」と指摘。いずれ数兆ドルの国債が発行されるが、ドルが今後も強さを維持するだろうと海外の中央銀行や機関投資家が十分に確信できなければ、いったい誰がこの国債を購入するのだろうか、と述べた。 景気後退や事実上のゼロ金利、経常赤字の拡大という状況において、為替相場を直接操作することなくドルを支えることがオバマ政権の課題になる、とアナリストはみている。しかも、新政権は米国債の最大保有国である中国の反感を買うことなくこれらを成し遂げなければならない。 三菱東京UFJ銀行(ニューヨーク)のシニア金融エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「4500億ドルの赤字を埋め合わせる一方、2兆ドルの資金を調達するという困難な仕事が待ち構えている」と指摘。その上で、「われわれは、外国人がドルを見捨てるのではと常に心配しているが、外国人投資家がそうしたことをわざわざする理由はない」とし、「中国を含め、海外投資家の米国債保有額は、自国通貨や経済に影響を与えずに売却するにはあまりに多過ぎる」との見方を示した。 ガイトナー氏はさらに、上院財政委員会に提出した文書の中で、「オバマ大統領は中国が為替を操作していると確信している」とし、中国の為替政策が変わるようあらゆる外交手段を講じる考えを大統領が表明したと明らかにした。 <ドル高のサイクル>クレディ・スイス証券のグローバル為替部門ディレクター、ダニエル・カザイブ氏は「中国に関しては、米国はドル安を好むかもしれない」と見方を示した。ただ、実際の政策が及ぼす影響は最小限にとどまる可能性があると指摘した。 米国の2008年1─11月の対中貿易赤字は2465億ドルに達した。中国の米国債保有額は6819億ドルに膨らんでいる。 カザイブ氏は、英国やユーロ圏を中心に米国外で金融危機が一段と深刻化するなか、ドルは今後数カ月堅調を維持するとし、「ユーロが弱い限り、ドルは強さを維持する。世界の準備通貨は2つだけで、米経済のファンダメンタルズがどのような状況であってもドル安は現時点で問題とはならない」と語った。 リスク回避やクレジット危機の広がりでドル需要が高まり、ドルはユーロに対して、前年1.60ドルを上回る過去最低水準をつけてから約20%上昇した。現在のユーロ/ドルは1.2960ドル近辺で、年初から7.1%下落している。 メリルリンチのストラテジスト、ブライアン・ベルシキ氏は「ドルの相対的な強さは継続し、数週間や数カ月ではなく、数年続く可能性がある」と指摘、「大きな動きにはならないが、米国は他国よりも最も早く回復する」との見方を示した。メリルリンチによると、強いドルのサイクルは平均10年続く傾向がある。 前出のシャンカール氏は「オバマ政権では、ドルを支えるための口先介入が今までよりもかなり増えるだろう」とし、「ドルを支える姿勢を繰り返し表明すれば、メッセージは届くだろう」との見方を示した。 (ロイター日本語ニュース Vivianne Rodrigues記者;翻訳 伊藤恭子) |