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「そうなんだ!今は1998年当時のアメリカのLTCM(ロングタームキャピラルマネジメント)の破たんをさらに大規模にして、世界規模にしたような破たんが起きているのだ!」と、やっと思い当たった。
LTCMとは、アメリカのノーベル経済学者などが集まって1994年に立ち上げたヘッジファンドである。金融工学の先端を駆使したヘッジファンドということで、設立当初は、大いに設けて、大いに崇拝されたヘッジファンドだった。けれども、彼らのやっていることの中身は、実は、非常に小さな市場の揺らぎを見つけて出しては、それに思いっきりレバレッジを掛けて、さやとりを根気よく続けるといった、けっこう古典的ものであった。LTCMについて、詳しく知りたい方は、↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/LTCM
など、グーグルなどなどで、検索してみてください。
「金融工学」といった、一見先端を走っているかのように見受けられる新技術を駆使する頭脳集団によるヘッジファンドということで、LTCMは多くの幻想をふりまきながら、設立当初は世界中から崇拝者を集めていた。しかしながら、ロシア通貨危機といった想定外のリスクが起きたことが引き金になって、急速に破たんしてゆく。
このとき、破たん処理をしたのが、前FRC議長のグリーンスパンと、ゴールドマンサックス出身のルービン前財務長官だ。
このとき、LTCMは、およそ1,400億ドルとも1,500億ドルとも指摘される資金を運用していた。そして、LTCMの1998年の穏やかな破たん処理で必要になった救済額は、その運用金額のおよそ0.025%。、もとい2.5%弱に当たる35億ドルだった。
その後、ルービンは、なぜか、LTCMの破たん処理に懲りることなく、とりあえず、「強いドル」を標ぼうして、世界中からお金をアメリカにかき集めて、アメリカを「巨大な国家ぐるみのヘッジファンド国家」へと脱皮させてゆく下地を創り上げてゆく。
今起きているのは、「巨大なヘッジファンド国家の破たん」、あるいは「欧米型投資銀行のビジネスモデルの破たん」の始まりなのだ。
言い換えたら、「世界中からお金を借金してまでかき集めて、小さな小さな市場のゆらぎに思いっきりレバレッジを掛けて、「より大きな利ざや」を稼ぎ、世界から集めた借金の金利を返済しながら、自社・自国をも大いに繁栄させてゆこう」とする「国家規模での巨大な実験:ヘッジファンド国家」の「終わりの始まり」が、今現在の世界中の株式市場の大暴落として、現れているのだ。
「あ!!!どこまで続くか分からないけど、とりあえず始めてみた欧米型の投資銀行モデルという巨大な実験(ヘッジファンド国家の実験)が大失敗してしまったんだ!」ということを、今現在、世界中のマーケットが読み取り始めてしまっているのだ。
では、この危機の「出口はどこか?」
世界中にばら撒かれてしまった金融派生債券(金融派生商品ともデリバティブ商品とも呼ぶ)の総額は、IMFが今年2008年5月に発表した一番新しい数値では、およそ6京円弱だ。
6京円とは、6,000兆円の10倍だ。
この金融派生債券6京円とは、欧米型投資銀行がレバレッジをかけて思いっきり膨らませて創り上げた金融派生債券の一部を、ごちゃごちゃに様々な金融派生債券に混ぜ合わせた金融商品の総額である。
この6京円弱の天文学的数値の金融派生債券が、今、「資産インフレの中では、土地、株式、不動産、資源、新興国がWin−Winの関係を保つはずだから、永遠に住宅価格も上がり続ける」といった神話崩壊で、急速に破たんし始めているのだ。
先端の金融工学を駆使したと自称していた「金融派生債券バブル」が崩壊しているのが、今なのだ。(話がくどくなって、ごめんなさい。)
こんなことをブログで書いてよいか、分からないのだけど、思いっきりレバレッジをかけた派生債券を大量に含む金融派生証券6京円が破たんしたら、その救済には、LTCM並みの「運用金額の2.5%相当の救済額」が必要だと仮定するのがノーマルなのではないか?
この仮定がノーマルなら、今回の世界規模での金融危機では、公的資本投入やら公的資本注入やらで、およそ、「6京円×0.025=1,500兆」円規模の救済額が必要だということになるのではないか?
アメリカが続々と総額200兆円規模の救済額の計画を発表しても、あるいは、欧州が一時銀行の国有化を次々表明して資本注入を実施すると声明を発しても、「救済額の桁が一桁違うような気がするのだけど・・・????」との思惑から、世界中の株式市場がなんとはなしに全く反応しなで、「どこまで続くか・・・このぬかるみぞ・・・」の精神状態になってしまっているのではないか。。
「本当に必要な救済額は実はかなりの天文学的数値」だからこそ、アメリカは手際よく、前持って、2007年3月以来、アメリカの会計基準の不透明化を推し進めているのだと思う。
話が長くなってしまった。
結論から言えば、アメリカもイギリスも、日本以外の欧米の銀行は、もう「日本の都市銀行・地方銀行のビジネスモデル」を見習うしか、他に「出口」がないように思う。
言い換えたら、彼ら欧米の投資銀行あるいは商業銀行も、自国の政府に大量の国債を発行してもらって、その大量に発行した国債を彼ら欧米の銀行が大量に買い支えなければ、自分たちも生き延びられないように思う。
実際、欧米の銀行への資本注入は、今後数年間だらだら続くのではないだろうか。
なぜなら、アメリカをはじめヨーロッパも、今後は金融機関を救うために、多くの国債をだらだらだらだら発行しなければならなくなるからだ。
欧米型の投資銀行モデルは、いまや、世界中から嫌われているから、欧米の国債を今から買ってやろうという気の良い国は、世界広しといえどもそれほど沢山いるわけではない。日本と中国とアラブ穏健派の国々くらいだ。
さらに、これら三国でも、外貨準備の合計は、今まででも、数兆億ドル(数百兆円)規模なわけで、とうてい、欧米型投資銀行モデルの大失態の「ツケ」である1,500兆円以上の欧米国債を今後も買い支えるには、この三国だけでが、あまりにも「焼け石に水」だ。
もう、話は決まりじゃないでしょうか???
今後は、アメリカやイギリスやEUでは、投資銀行や投資銀行もどきのことをしていた商業銀行たちは、「日本の銀行並に、いや、日本の銀行並み以上に、自分たちを救うために国家が発行してくれる国債を大量に買い支え続けるだけの金融機関に成り下がる」という「出口」し見えないのだ。
話(結論と処方箋)はいたって簡単だったのですが、こんな現状(結論と処方箋)を、あの誇り高き彼らアングロサクソンやユダヤ系の人々がすぐに受け入れらるのだろうか・・・・。
でも、それ(現実を受け入れること)が嫌なら、彼ら欧米人は、どんなエリートでも、すべからく富める者も貧しき者も、全員、1〜2年ほど、無給で今まで通り働かなければならない。あるいは、いかなる資産家でも、欧米人は、すべての資産を没収されなければならなくなる。
あるいは、この「日本型銀行ビジネスモデル」を彼らが受け入れてくれないと、大惨事、もとい第三次世界大戦が始まってしまうかもしれない・・・。
昨夜のG7での結論も、「資本注入への意志はある!」との表明はあった。が、どれだけ具体的な数値を用意するかの具体的な話がまるっきり出てこなかった。この具体性の乏しさはのは、こういった背景があるのではないか?
(は彼ら欧米型投資銀ビジネスモデルの破たん処理には、実はかなりの天文学的数値の国債発行が必要である!といった背景があるのではないか?、
言い換えたら、速やかに今現在の危機を処理するには、「金額が日本円にして1千兆円以上といった救済額が必要だ」なんて、とてもじゃないけど、口が裂けても、誇り高き欧米人は、まだまだ言えない背景があるのではないでしょうか???まだ誰か、日本の金融機関や中東の王様を騙し続けたら、この危機を乗り越えられると未だに思って折のではないでしょうか???)
こんなざっくり計算(仮説)をする私は、お馬鹿なのでしょうか?
不謹慎でしょうか?
ヒントは、やはり、なんといつも通りの、水野和夫本の近著である「資本主義2.0」でした。(私のブログにも張っておきますので、興味のある方は、ぜひとも、目を通してみてください。この本は、口語で書かれた平易な文体で、統計も使っていないから、とても読みやすいです。「そうめん」のようにするすると読めます!!!!)
エコノミスト水野和夫氏と宗教学者:島田氏二人の対談集が「資本主義2.0」だ。この書籍は、とっても奇妙かつ面白い仮説本なのだ。
ノーベル経済学賞をあげたいくらいだ。
今年夏、私は読んだ本の中で、一番毛色の変わっていた奇妙な図書だった。
でも、面白い!!!
ここで再び「資本主義2.0」でも明快に記されているのが、「日本の転倒性」。
「日本の転倒性」とは、私も幾度かこのブログで紹介しましたが、「日本の資本主義が世界でいちばん先端を走っている」ということを意味しています。
水野和夫氏は、「資本主義2.0」で、大変分かりやすい言葉で、この「日本の転倒性」を詳述してくださっています。
「『日本の転倒性』とは、日本経済は戦後一丸となって、欧米に追い付け追い越せと頑張っていたら、あっという間に、彼らをぶっちぎって、あっという間に日本経済が世界経済の先頭を走るようになっていた。けれども、自国の経済が先頭を走っているとの自覚が日本には無かったから、いつまでたっても、日本は、日本の後ろを追いかけている欧米のマネをしようとしてしまった。まるで、『先頭を走る車のドライバー(←日本)』が、どうやってもっと上手に走ろうかと迷って、バックミラーに映っている「後ろから追いかけて来る車のドライバー」(←欧米)の姿を参考にして、走行・迷走している」ことを指しています。
この「日本の転倒性」を理解したら、今後のアメリカ発金融危機が、どのように処理されてゆくべきかが、なんとはなしに仮説としては、あるいは、たいていの人が納得するシナリオとしては、当たらずとも遠からずの図星が出てくるのではないでしょうか。
欧米が、「既に利ざやが極端なまでに薄くなってしまった先進国の経済は、やがては国債をばかすか発行して、金融機関はその国の国債を買い支える役目しか残っていないという『日本型金融ビジネスモデル』」に気がつくこと。言い換えたら、欧米が、「日本型斜陽国家の運命」を諦めて受け入れて、この「日本型金融ビジネスモデル」に追随してくれるまでは、まだまだ、内外の株式市場の大荒れが続くのではないでしょうか・・・。
来週からも、世界の債券市場も株式市場も為替市場も、「この現実」に気が付くまで、まだまだ荒れに荒れるのではないでしょうか?
やっと本格的な秋が始まった今、理解できたことは、この「資本主義2.0」(資本主義2.0とは、言い換えたら、ポスト資本主義と呼ぶべきか?)は、文章がきわめて難解だった「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」の入門書だったということだ。
「資本主義2.0」は、大変平易な話し言葉で記されている。
たいていの人にとっては、水野和夫本の集大成である「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」は、あまりに難しくて、とてもじゃないけど買って読む気もしないし、買ってみても、難しすぎて最後まで読み切れない人が多いと思う。
マニアじゃなかったら、「人々はなぜ〜〜〜」は、まず理解不能だろう。
そういった人向けに、水野先生が、宗教学者との対談という形で、「人々はなぜ〜〜〜」の内容を、話し言葉で分かりやすく口語でかいつまんで伝えようとしたのが、この「資本主義2.0」だったのだと、やっと私も秋になって合点がいったのだ。
世界中の株式市場が大暴落して、世界経済が、80年ぶりの世界恐慌の瀬戸際まで追い込まれている今、やっと、私も、エコノミスト:水野氏と宗教学者:島田氏の対談集「資本主義2.0」の企画の意図が、理解できた。
http://diary.jp.aol.com/applet/uvsmfn2xc/20081011/archive