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強欲は破滅への道。生き銭 死に銭(泉の波立ち)
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投稿者 あ+ 日時 2009 年 1 月 17 日 17:02:41: 8WlTWJKy3iQ86
 


● ニュースと感想  (1月17日)

 「春闘への対応」について。
 春闘で労働側が「賃上げを」と要求したことに対して、マスコミが迷っている。「賃上げをすれば景気回復効果はあるが、賃上げをする余力は企業側にはない」という状況のもとで、「どうしたらいいのか?」と。
 朝日は、「正しい解を探ろう」というシリーズを始めるそうだ。
 読売は、「労使で(喧嘩せずに)解決に当たれ」という社説。
 (いずれも 2009-01-16 朝刊。 → あらたにす )

 そこで、私が真実を教えよう。こうだ。
 「解はない、というのが正解である」
 数学における「解が存在しないことの証明」みたいなものだ。とにかく、「こうすればOK」という解決案はない。それが正解。
 なぜなら、正しい解決案は、「労使の間」にはなく、「労使の外」にあるからだ。つまり、マクロ政策にあるからだ。

 労使がいくら頑張っても、正解はない。どちらかが富を得れば、どちらかが富を失う。トレードオフの関係にある。配分をいくら最適化しても、しょせんは配分の問題であって、総量の問題ではない。総量の問題を解決するのは、政府のマクロ政策であって、労使の配分ではない。

 なぜか? 現状では、総和が「マイナス」だからだ。企業は今、赤字決算である。ここで、労働者の所得を増やせば、企業が倒産しかねない。それではかえって悪化する。かといって、賃下げをすれば、それはそれで、総需要が減って、状況は悪化する。……だから、正解はない。
 正解があるとしたら、総和が「プラス」であるときだ。具体的には、数年前だ。そのときに、トヨタなどが輸出でボロ儲けした(円安差益を得た)分を、労働者に還元すれば良かった。そうすれば、経済は拡大のスパイラルに乗っただろう。(当時、私はそうせよと主張した。)
 しかしながら、現実には、トヨタなどは賃上げを断固拒否した。その分を、内部留保に回した。金は死蔵されて、総需要拡大に向かわなかった。……だから、その後、円安が終わったときには、為替差損をこうむるばかりになった。
 状況の良いときには金を自分で独り占めしていた企業。そういう強欲さが、今になって、自分に跳ね返ってくるわけだ。自業自得。……自動車産業が大赤字になるとしたら、それは、自動車産業が以前、あまりにも強欲であったからだ。労働者に回すべき金を、すべて自分で独り占めしようとした。そのせいで、労働者に金が回らなくなり、客として買ってくれる金がなくなった。
 この点は、昔のT型フォードとは正反対だ。( → 2008年3月15日 )

 ゲーテは言った。「チャンスは前髪をつかめ。(後ろは禿げている)」と。
 数年前に、チャンスはあった。正解をつかむチャンスが。……しかし、今になって、「労使で正解を求めよう」としたって、もはや正解はないのだ。チャンスは逃げたのだ。(禿げたのだ。)手遅れというものだ。

 昔々、強欲地主がいました。たっぷり儲けているときには、金をすべて独り占めして、小作人には与えませんでした。その後、日照りになって、作物が実らなくなりました。「溜池があればなあ」と思って、「溜池をつくろう」と唱えましたが、小作人は誰も働きません。彼らは働くための体力がないからです。もともと小作人にも作物を与えていれば、小作人はそのころ溜池を作っていたでしょうし、今になって日照りで困ることもなかったでしょう。しかし、今になって大騒ぎしても、手遅れです。というのは、強欲地主は、溜め込んだ金を「米ノ国」に投資して、その投資で失敗して、スッテンテンになってしまったからです。
 「あのとき、ヒゲもじゃの変人の言うことを聞いておけばよかったなあ」
 と強欲地主は思いました。しかし、ヒゲもじゃの変人は、「自業自得だよ。勝手にすれば」と答えるばかりでした。
(その趣旨は? 意地悪しているわけじゃありません。「どうせあんたは、こっちの言うことを聞く意味をもたないんだろ」という趣旨。「本当は別のところに正解はあるんだけど、あんたたちは正解を聞く気がないんだよ」という趣旨。  (^^); )

 [ 付記 ]
 やたらと賃上げするのが正解ではない、ということは、次のことからもわかる。
  → 日産、主力車「マーチ」生産をタイに全面移管

 日産自動車は業績の悪化を受け、収益改善に向けたリストラに乗り出す。主力小型車「マーチ」の生産をタイに全面移管して原価を3割削減、円高を活用して日本に輸入する。

 やたらと賃上げすれば、国内の雇用はどんどん減ってしまう。「賃上げすればいい」というものではないのだ。
(かといって、「賃上げは駄目」というものでもない。経済というものは単純なものではないのだ。……そこを経営者も労働者もわかっていない。単に自分の損得だけで考える。どっちもエゴイスト。エゴイストには真実はいつまでもわからない。)
(本当の正解は、「労使が政府にマクロ経済学を推進させる」ということなのだが、エゴイストには思いも寄るまい。)


● ニュースと感想  (1月16日c)

 「セーフティ・ネット」について。
 経営者側と労働者側が共闘して、政府に「セーフティ・ネット」を求めたという。

 両者は、「労使は社会安定の基盤である雇用安定に向け最大限の努力を行う」とする共同宣言を採択。そのうえで政府に対し、短期的に、雇用保険の適用拡大や失業者の住宅確保対策などセーフティーネット(安全網)の早急な整備を要求。
( → 朝日新聞 2009-01-15 )

 「労使が一致して……」というのはいいが、それで「労使そろって自分たちで何かをする」というのではなくて、「労使で国に『金寄越せ』と要求する」というわけ。比喩的に言うと、いつも喧嘩していた夫婦が仲良く団結するというので、ほほえましい区思っていたら、実は夫婦そろって他人の金を盗むことに協力した、というわけ。……情けないですね。金を盗むためでなければ協力できないとは。  (^^);

 本質的に言えば、こうだ。
 すでに「定額減税の意味」の項目で述べたように、「金は天から降ってこない」のである。労使は政府に「セーフティ・ネットの充実を」と述べているが、その意味は、政府に「金寄越せ」と言うことだ。しかるに、金は天から降ってこない。とすると、どうなるか? 彼らが金を得た分、他人の金が奪われることになる。
 具体的に言えば、経団連関連の労使が得をするかわりに、それ以外の人々が損をする。たとえば、農業や商業関係の人々。また、自営業の人など。また、普通の正社員など。
 
 はっきり言っておこう。「貧しいときには貧しさを分かちあおう」というのは、美談かもしれないが、経済政策ではない。経済政策というものは、「貧しいときには貧しさをなくす(豊かにする)」というものだ。そこを勘違いしてはいけない。
 何度も述べたが、失業者に与えるべきものは、金ではなくて、労働機会なのだ。月に2万円だか5万えんだかの金を与えればいいのではなく、月に20万円を稼げるだけの労働機会を与えればいいのだ。「2万円を上げたから、これで与えるものは十分」と思うようでは、根本的に対処が間違っている。

 要するに、彼らは、「金は天から降ってくる」と思い込んだすえに、政府に「金寄越せ」という要求をしている。頭が卑しいだけ。そして経済のことを何もわかっていない。……こういう馬鹿連中がいるから、世の中はいつまでたっても、よくならない。
 彼らが真に賢明であれば、「自分に2万円を寄越せ」と述べるかわりに、「国全体に総需要をもたらせ」と述べるはずなのだ。そこがわからない愚かさ。……愚か者には、福は来ない。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/  

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