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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu183.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米大手銀行は資本を維持するのに必死で、資金を貸し出していない。
まるで債務超過で、政府が出資しているから、存続できているにすぎない
2009年1月15日 木曜日
S&P500 5年間のチャート
◆米株式市場が6週間ぶり安値、銀行の損失拡大懸念などで 1月15日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-35868120090114
[ニューヨーク 14日 ロイター] 米国株式市場は大幅下落し、6週間ぶり安値水準となった。世界的な銀行の損失拡大を懸念する見方が広がった。朝方発表された米小売売上高は景気後退の深まりを示す内容となった。
S&P500とナスダックはそれぞれ3%超下落、ダウは30銘柄すべてがマイナスとなった。
シティグループCは23%超急落。収益性やビジネスモデルをめぐる懸念が強まった。今週の決算発表では巨額の損失を計上するとみられている。
モルガン・スタンレーのアナリストが英HSBCHSBAHBCについて、配当の半減と最大300億ドルの資本増強を迫られる可能性が高いとの見方を示したことも金融セクターを圧迫。また、ドイツ銀行DBKGnDBは、2008年10―12月期決算で48億ユーロ前後の損失を計上するとの見通しを示した。
米商務省が発表した12月の小売売上高は前月比2.7%減。景気低迷が深まる中、年末商戦における消費の落ち込みが示された。
ダウ工業株30種は248.42ドル(2.94%)安の8200.14ドル。
ナスダック総合指数は56.82ポイント(3.67%)安の1489.64。
S&P総合500種は29.17ポイント(3.35%)安の842.62。
S&P金融指数は5.7%安。シティは23.2%急落。アナリストは、シティが傘下の証券会社スミス・バーニーの経営支配権をモルガン・スタンレーMSに売却することについて、シティ解体の前兆であり、同社が早急に資本を必要としていることの表れとみている。シティはこの日、予定よりも6日早い16日に第4・四半期決算を発表すると明らかにした。
15日に決算発表を前倒しするとしたJPモルガン・チェースJPMは1.7%安。
S&P小売指数は3.6%安。
米原油在庫の増加などを背景に米原油先物が値下がりしたことを受けてエネルギー株も売られ、エクソンモービルXOMは3.6%、シェブロンCVXは3%、それぞれ下落した。
米連邦準備理事会(FRB)がこの日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、08年末から09年初めにかけて米経済が引き続き弱まったことを示す内容となり、地合いを一段と悪化させた。
◆米政府がバンカメに追加支援検討、米銀への懸念強まる 1月15日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35879620090115
[ニューヨーク 14日 ロイター] 関係筋は14日、米政府がバンク・オブ・アメリカへの追加支援について交渉中であることを明らかにした。同日の米株式市場では、シティグループの株価も23%急落。
米大手銀行に不良資産や景気の悪化に対応できる自己資本があるかとの懸念が強まっている。
関係筋は14日、米政府がバンク・オブ・アメリカへの追加支援について同行と交渉中であることを明らかにした。実現すれば、シティグループに続いて2度目の政府緊急支援を仰ぐ銀行となる。
バンク・オブ・アメリカは、1月1日付で買収したメリルリンチの吸収が難航している。
メリルは第4・四半期に大幅な損失を被り、関係筋によると、バンク・オブ・アメリカは昨年12月、米政府に対し、この損失によりメリルの買収を完了できない可能性を伝えた。同行と政府はそれ以降、交渉を続けているという。
バンク・オブ・アメリカとメリルは10月、財務省の不良資産救済プログラム(TARP)のもとで合計250億ドルの支援を受けている。
ウエストウッド・キャピタルのダン・アルパート氏は「米大手銀行は資本を維持するのに必死で、資金を貸し出していない。まるで債務超過に陥ったような経営をしており、市場も大手銀行をそのようにみている。政府が出資しているから、存続できているにすぎない」との見方を示した。
14日の米株式市場では、シティグループの株価が23%急落、5ドルを割り込み、昨年11月の救済策発表後の最安値をつけた。
同社の業績やビジネスモデルに対する不透明感が強まった。
シティはこの日、予定よりも6日早い16日に第4・四半期決算を発表すると明らかにした。市場では5期連続の赤字が予想されている。決算発表では、大規模な事業縮小計画が発表されるとの見方が多い。
関係筋によると、シティグループは、法人金融・投資銀行・リテール銀行に業務を集約し、全体の事業規模を従来の3分の2程度にする見通し。トレーディング業務も縮小し、不良資産は将来的な売却を視野に入れて別組織に分離する計画という。
JPモルガン・チェースも、第4・四半期決算を予定より6日早い1月15日に発表する方針を明らかにしている。
同社のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、15日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙に対し、2009年に金融危機が深刻化するとの見通しを示した。
同CEOは「経済状況の最悪期はまだ過ぎ去っていない。09年の大半で引き続き悪化するとみられる」と述べた。
さらに「われわれのセクターでは、消費者ローンとクレジットカード事業が悪化する見通しだ」と加えた。
◆米住宅価格、今後さらに下落へ=ゴールドマン 1月15日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-35879720090115
[ワシントン 14日 ロイター] 米ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジャン・ハジアス氏は、米住宅市場について、大量の住宅が売れ残っているため、住宅価格は今後さらに急落する可能性があり、政府による大規模な介入が望ましいとのリポートをまとめた。
同氏は、クレジット関連の損失予想を、昨年3月時点の1兆2000億ドルから上方修正し、総額2兆ドルを超える可能性があるとの見方を示した。
2兆ドルの半分以上は住宅ローン関連の損失。残りは、商業用不動産、クレジットカード、自動車ローン、社債関連の損失になる見通し。
同氏は、ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏)が、2010年第3・四半期までにさらに20─25%下落する可能性があると予想。
住宅価格は、様々な基準からみて標準的な水準かそれに近い水準にあるが、市場に大量の在庫があるため、標準値を大幅に下回る水準まで価格が下落する見通しという。
同氏は、デフォルトの増加を防ぐため、政府が積極的な介入を検討することが望ましいと主張。
デフォルトの防止には、不公平感が生じるリスクがあるが、住宅ローン金利の引き下げよりも、元本削減が効果的だとの認識を示した。
状況がさらに悪化すれば、政府が「最後の家主」となって、安値で買い上げた住宅を家を失った人に賃貸することを検討する可能性もあるという。
(私のコメント)
ロイターのニュースを見てみましたが、アメリカ大手の銀行の経営危機の第二段が来ている。政府とFRBの700兆円もの大盤振る舞いで何とか動揺を食い止めようとしたのでしょうが、破綻の危機はあちこちから火の手が上がってきてオバマ政権では食い止められないかもしれない。
日本のバブルの崩壊は政府が何度も終息宣言を出しても収まらず15年以上もの長期不況になってしまった。これは時間をかけて不良債権を償却してきたから長引いたのであり、アメリカは政府の大盤振る舞いで克服しようとしている。しかしアメリカ経済は財政も経常収支も大赤字であり、信用がいつまで持つかが問題だ。
大手金融機関の損失の大きさもまだわからないし、投資銀行の内容も全く不透明で、関連ヘッジファンドの実態も全く分からない。分かってはいても公表すればまずいから公表できないのでしょうが、償却できる範囲内でしか損失を出せない。アメリカ政府による金融機関への資本注入で何とか持っていますが、政府もいつまでも資本注入は出来ないだろう。
シティもバンカメも二度目の資本注入になりますが、損失の全貌が明らかにならないと政府の救済策はかえって無駄金になりかねない。今や大きすぎて潰せないのではなく、大きすぎて救済できないと言う状況になりつつあるのではないだろうか? ロイターのニュースでも住宅価格の下落は続きそうですが、市場を建て直すのは徳政令を発動するしかないのかもしれない。
「株式日記」でも住宅ローンの徳政令を提案した事がありましたが、銀行もダイエーなどの大企業に対しては数千億円もの債権放棄が行なわれているのに住宅ローンへの債権放棄は全く行なわれていない。政府が指導すれば出来るのですが、政府の経済諮問委員会は新自由主義経済論者に固められて、銀行潰し政策が行なわれた。
アメリカは新自由主義経済の総本山だったのですが、いまやアメリカは社会主義国家になりつつある。住宅ローンの半額の債権放棄を行なえば債務者も返済は楽になり、その分が消費に回る。しかし日本は市場原理主義を貫いてダメな企業は潰す政策で潰してきた。確かにダメな企業は潰した方が長期的には正しい政策なのでしょうが、速く経済を立て直すには徳政令で救済したほうが早く立ち直る。
最終的にはアメリカ政府自身がデフォルトして借金をチャラにすればいいのかもしれませんが、中国や日本の持つドル債券も紙切れになるから一番被害を蒙る事になる。71年のニクソンショックのドル安や、85年のプラザ合意のドル安で借金を半分チャラにしてきたのですが、再び近いうちに第二のプラザ合意が行なわれるかもしれない。しかし今度はG20で行なわれてドルの基軸通貨体制も終わるのかもしれない。
最終的にシティやバンカメはどうなるのだろうか? 大前研一氏はナショナルバンクになるしかないと述べていますが、アメリカは日本の郵政を強引に民営化させたのに、アメリカは民間銀行を国営化して救済しようとしている。これは究極のモラルハザードであり、自分たちの損失をみんな国におっ被せて銀行経営者達は逃げ切るつもりだ。
◆シティバンクはもはやナショナルバンクになるしかない 1月14日 大前研一
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/165/index1.html
そのシティバンクに対して米国政府は、現在のところ公的資本を450億ドル注入している。ブッシュ政権下の財務長官であったヘンリー・ポールソン氏が発表したシティバンクの救済措置は、この3000億ドルの「不良債権となる可能性のある資産」について、10%をシティバンクが負担し、残り90%についてはFDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:米連邦預金保険公社)と米国政府が保証する、というものであった。
わたしは、このやり方は多いに問題があると思う。シティバンクがこの3000億ドルを自力で売却しようと努力し、それでもだめだったら保証しましょうというのなら話は分かる。しかしポールソン氏は、その前に保証を公約してしまったのだ。これは米国民に大きな負担を強いることになる。
なぜこのような発言が出てしまったのか。理由は簡単だ。シティバンク前会長のロバート・ルービン氏(先週シティバンクの取締役を辞任する、と発表している)が元財務長官であっただけではなく、その前にはゴールドマン・サックスで上司であったからである。つまりポールソン氏は彼の弟子のようなものなのだ。「師匠の会社はつぶせない」ということで、何が何でもシティバンク救済を最優先としてしまったのであろう。ちなみにルービン氏の弟子筋は米国の政財界にも多く、オバマ政権で財務長官に指名されたニューヨーク連銀総裁のティモシー・ガイトナー氏、また、国家経済会議委員長となるローレンス・サマーズ氏(彼は今後FRBの議長になるとわたしは見ている)などもそうだ。
ともあれ、ポールソン氏の救済措置によって3000億ドル中2700億ドルが不良債権化を免れたとしても、シティバンクはバッドバンク部門を切り離さなければならない。それが筋だ。
実はシティバンクが抱える問題はそれだけではない。同行は住宅ローン証券化商品・消費者ローン証券化商品・その他の証券化商品(CDO:サブプライムローンの債務担保証券を含む)など、簿外に膨大な不良資産を抱えている。その額は実に1兆1440億ドル。これらが不良債権化したときにはもはや米国の国家予算をもってしても救済不能である。
簿外に持っていったものはいずれ処分したら赤字部分だけが本体に戻ってくる。これはイ・アイ・イ・インターナショナルなどを簿外に持っていった旧長銀(現新生銀行)やカブトデコムを処理した北海道拓殖銀行などのやり方と同じだ。おそらくシティバンクも最も難しい証券化商品を簿外に持っていき少しずつ処分していこうとしているのだろう。しかし100兆円という資産を処分して、たとえ10%が毀損したとしても資本金が無くなるくらいである。ましてや今大問題となっている小口債券化した商品ばかりを簿外に持っていったということだから、その程度の損失では済まないと見ておいた方がよいだろう。
先に「(シティバンクは)通常であれば即破綻は免れない」と書いたが、実はもはや救済不能の状態であるのだ。つまりシティバンクは「シティ」ならぬナショナルバンクになるしかない。だが、この1兆1440億ドルもの負担を米国政府が負ったとき、米国は沈んでしまう可能性が高い。
以上がシティバンクの現状分析とその問題点のあらましである。