http://www.asyura2.com/09/gm15/msg/406.html
Tweet |
ジカ熱、日本感染拡大の最悪事態は起こる?薬なく謎だらけ、ブラジル渡航者と接触NG?
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13743.html
2016.02.11 文=新見正則/医学博士、医師 Business Journal
今日は、ブラジルの話で盛り上がっています。この夏、オリンピックの応援に行くかどうかですが、心配なのはジカ熱です。“極論君”は「WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出したのだから、そんな病気が流行っているブラジルに行くなど馬鹿げている」という意見です。“非常識君”は「ブラジルに行った人やブラジル人とは、日本でも決して接触しないように常日頃心がける」と主張しています。“常識君”は「妊婦がジカ熱に罹ると小頭症の子供が生まれる可能性が高くなるが、感染しても死亡することなどなく風邪と同じような症状で治まるので、妊娠していなければブラジルに応援に行く予定はまったく変更しない」ということです。
さて、ジカ熱の症状は発熱、頭痛、関節痛、皮疹、眼球結膜の充血などで風邪の症状と似ています。そして、ジカ熱で死亡した例はまだ報告がありません。死亡例はないのですが、妊婦が感染すると小頭症の子供が生まれる可能性を否定できません。ブラジルはジカ熱流行時のほうが、感染がなかった時期と比べて数十倍に上る数の小頭症の子供が生まれています。つまり可能性は高そうだということです。
感染は通常、蚊によって媒介されます。感染者が蚊に刺され、そしてその蚊が別の人を刺すことによってジカ熱の感染が拡大するのです。「通常」というのは、性的な接触で感染することがまれにあります。つまり蚊を介さずに、人から人に感染することが性的な接触で数例起こっています。性的な接触以外で感染が起こるかどうかは不明です。ジカ熱はまだ詳細がよく判明していないことが、なんとなく不気味なイメージを醸し出しています。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、ジカ熱地域への妊婦の渡航を控えるように警告は出していますが、妊婦以外の者が渡航することに関しては特段の警告は出していません。ブラジルでジカ熱感染が猛威を振るっていることは周知の事実です。ジカ熱に対するワクチンもない、そしてジカ熱を引き起こすウイルスに直接作用する薬剤もない現状では、ジカ熱が大流行しているブラジルにあえて渡航することは馬鹿げているという理論も決して間違ってはいません。
極論君の主張のように、特別な用事がなければ、あえてジカ熱感染の大流行地帯に行くことは控えたほうがいいということも一理あります。
しかし、ジカ熱は妊婦でなければ、症状は風邪と変わりません。風邪が流行しているからといって、せっかくのお休みを利用してのブラジル旅行や、大切な得意先との商談でのブラジル滞在を中止する人はいないでしょう。そうであれば、妊婦でなければ「ジカ熱、恐れるに足らず」ということになります。常識君の意見のように、妊婦以外は慌てることはまったくないのです。
■人種差別になるような対応は慎むべき
さて、ジカ熱のもうひとつの問題点は、ワクチンはない、直接ジカ熱ウイルスに働く薬剤もないのに加えて、妊婦が感染すると小頭症の子供が生まれるメカニズムも不明で、妊娠期間のどこで感染すると小頭症の頻度が増加するかも不明な点です。感染経路も、ほとんどが蚊の媒介によることは間違いないが、例外的な感染経路の詳細も不明なのです。
そんなに不明なら、非常識君が言うように「ブラジルへの渡航も、ブラジルから帰国した人との接触も、ブラジル人との接触も避けよう」という究極的な護身方法もあっているのかもしれません。しかし、日本で暮らしているブラジル人から、そして最近ブラジル渡航歴がないブラジル人からジカ熱が感染するという論理構成は、医学的にはあり得ないことです。非常識君的な対応も、もしかしたら正しいかもしれませんが、人種差別になるような対応は慎みましょう。
最悪のストーリーは、ジカ熱が実は人から人に感染することがまれではなく、そして日本人にはジカ熱の免疫がないので、ブラジルにオリンピックの応援に行った人からたまたまジカ熱ウイルスが国内に持ち込まれて大流行が生じ、妊婦の方にも感染して日本でも小頭症の子供が増加するという事態です。しかし、「たまたま」が相当連続しないと起きないので、現状で我々が慌てることはありません。
(文=新見正則/医学博士、医師)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > エボラ・ゲノム15掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。