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米国産牛の輸入緩和へ 安全性に?「時期尚早」
2013年1月30日 東京新聞[こちら特報部:ニュースの追跡]
米国産などの牛肉の輸入規制が2月1日から緩和されることになった。牛海綿状脳症(BSE)対策で国内外のリスクが低下したというのが理由だ。2月下旬に首脳会談で訪米する予定の安倍晋三首相の「手土産」ともなるが、安全性を疑問視する識者からは「時期尚早」との声も上がる。(小倉貞俊)
■日本基準の切り下げに 米の管理は欠陥だらけ 国民への説明が不十分
「国民の安全が本当に守られるのか。米国への規制を緩和するというより、むしろ日本の安全基準が切り下げられてしまう」。食の安全・監視市民委員会代表の神山美智子弁護士はこう話す。
今回の規制緩和は米、カナダ産牛の輸入できる月齢を現行の「20カ月以下」から「30カ月以下」に拡大。現在は輸入していないフランス産牛も、同じ基準に広げる。
BSEの原因物質が蓄積しやすい「特定危険部位」の除去義務は、30カ月以下の牛は不要とした。米国で食肉処理される牛の9割が輸入可能になり、流通は同月中旬以降に始まる見通しだ。
規制緩和は厚生労働省から是非を諮問された内閣府食品安全委員会がまとめた報告書が基になっている。神山氏は「報告書は米国の管理体制を是とするが、検査数が少なかったり、月例確認の方法が不完全だったりと欠陥だらけ」と指摘する。
国産牛の検査対象についても4月から、現行の「21カ月以上」から「30カ月超」に引き上げる。検査を担う自治体側では、安全性を考慮して独自に全頭検査をしてきたが、国が検査対象を狭めることで補助金の打ち切りも予想される。
日本消費者連盟の山浦康明共同代表は「安全のための取り組みをしてきた自治体を混乱させ、財政的に圧迫する恐れがある」と警鐘を鳴らす。
さらなる問題は、国民への説明が十分とは言い難いことだ。食品安全委が昨年10月に行ったパブリックコメントに400件を超す意見が寄せられ、うち9割が規制緩和に反対。12月の厚労省のパブコメにも、緩和に反対する主張が多かった。
食品安全委でプリオン専門調査会の委員を務めた山内一也東大名誉教授は「報告書が難解であるなど、消費者の不安に対応しようという姿勢が見えない。消費者と行政との情報交換や意思疎通は不十分だ」と苦言を呈する。
厚労省食品安全部は「規制緩和によるリスクは、もしあったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる」と説明。「今後、現地の施設の調査や検疫所の検査をしていきたい」とするが、前出の山浦氏は「環太平洋連携協定(TPP)の事前協議の中で、米の意向をくんだ政治決定に思える。結論ありきで、国民の意思が無視されている」と話した。
[BSE]
プリオンと呼ばれるタンパク質が異常化して牛の脳に蓄積し、組織がスポンジ状になる病気。人に感染すると致死性の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症するとされる。日本は03年、感染牛が見つかった米、カナダ産牛肉の輸入を停止。05年に再開(06年1〜7月は停止)したが、生後20カ月以下に限定している。BSE感染牛を原料にした飼料(肉骨粉)で感染が広がったが、飼料規制により発症は大幅に減った。
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